ヘアアイロンを使う時に 「なんとなく150℃くらい」、あるいは「クセが強いから、とりあえず一番高い温度」で、毎日髪をセットしていないでしょうか?
その何気ない習慣が、あなたの髪を日々傷めつけているかもしれません。
今回紹介する内容を読めば、あなたの髪質に本当に合った最適な温度設定が分かります。
さらに、髪へのダメージを最小限に抑える正しい使い方や、高温に頼らなくても髪型を長時間キープする具体的なコツも把握できるでしょう。
もう髪のダメージで悩まないために、まずはヘアアイロンの「正しい温度」から見直してみてください。
髪へのダメージを防ぐヘアアイロンの温度設定の基本を紹介
ヘアアイロンはスタイリングに便利な一方で、温度や使い方を誤ると髪へのダメージが心配されます。
きれいな髪を保つためには、ただ温度を低く設定するだけでなく、熱が髪に与える影響の基本知識から、アイロン前後のケア、そして正しい使い方までを総合的に理解しておきましょう。
100℃以下でも油断は禁物?熱ダメージが始まる温度
「ヘアアイロンの温度は、100℃以下なら髪は傷まない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、それは誤解である可能性があります。
髪の主成分であるたんぱく質は熱に弱く、研究によっては約80℃あたりから徐々に性質が変わり始め、髪の強度が低下すると言われているからです。
特に100℃を超える温度は、髪の水分を急激に奪いやすく、ダメージが大きくなりやすいでしょう。
これはヘアアイロンに限った話ではなく、高温になりがちなドライヤーを同じ場所に当て続ける際も同様に注意が必要です。
ヘアアイロンを使う際は、設定温度の数値に関わらず、「低い温度でも髪はダメージを受ける可能性がある」という意識を持ち、短時間で仕上げるよう心がけてください。
アイロン前に必ず守りたい2つの準備
ヘアアイロンによる熱ダメージは、アイロンを当てる前の「準備」を徹底するだけで、大きく減らせます。
特に重要な2つのポイントを確認しましょう。
- 熱ダメージを抑えるための2つの準備
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- 髪を完全に乾かす:濡れた髪に高温のアイロンを当てると、髪内部の水分が急激に沸騰して「水蒸気爆発」が起こり、髪の表面を覆うキューティクルが激しく損傷する。
- 保護剤で髪をコーティングする:洗い流さないトリートメントや、熱から髪を守る成分が含まれたスタイリング剤は、髪の表面に薄い膜を作り、熱ダメージから髪を守る「バリア」のような役割を果たすから。
手のひらに適量をよく伸ばし、髪の内側から毛先にかけて、髪一本一本を均一にコーティングするよう意識して丁寧になじませるのがコツです。
このひと手間で、熱が直接髪に伝わるのを和らげることができます。
髪に負担をかけないアイロンの通し方・当て方
適切な温度設定とアイロン前の準備が整ったら、「アイロンの使い方」そのものが重要になります。
以下はその具体的な使い方です。
- 髪に負担をかけないヘアアイロンの使い方
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- 一度にアイロンを通す毛束は少量にする:一度に多くの毛束を挟んでしまうと、クセが伸びずに何度も同じ場所にアイロンを通すことになり、髪への負担が増大する。
- 素早く、同じ場所に留まらない:髪は熱が当たっている時間が長くなるほどダメージを受ける。根元から毛先まで、髪の表面をすっと滑らせるように素早く通す。
- 強い力でプレスしない:髪は熱ダメージだけでなく、無理な力による「摩擦ダメージ」によってもキューティクルが傷つくため、髪をやさしく挟んで滑らせる。
このように正しい使い方をマスターできれば、髪へのダメージを最小限に抑えられます。
仕上げのアウトバストリートメントで髪を徹底保護
ヘアアイロンを使った後の髪は、熱によって水分が奪われ、乾燥しやすく非常にデリケートな状態になっています。
ヘアセットの最後にもうひと手間を加えて、髪を保護しましょう。
ヘアセットの仕上げとして、アウトバストリートメントを少量、毛先を中心になじませてください。
これにより、熱で失われた油分や水分を補い、開いたキューティクルを整えてツヤを与える効果が期待できます。
この仕上げのケアによる効果は、熱によるダメージを補修するだけではありません。
じつは、日中の乾燥や紫外線といった、外部の刺激から髪を守る役割も果たします。
どのようなアウトバストリートメントを選べば良いか迷う方や、ご自身の髪質に合うタイプを知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
※参考:アウトバストリートメントとは?くせ毛のような乾燥しやすい人や予防としても最適!
髪質ごとに合わせた最適なヘアアイロンの温度の目安
ヘアアイロンの最適な温度は、髪質によって大きく異なります。
熱の伝わり方やヘアセットのしやすさが違うため、ご自身の髪質に合わない温度で使い続けると、スタイリングがうまくいかないばかりか、不要なダメージを与える原因にもなりかねません。
まずは、髪質ごとの適切な温度設定を以下にまとめました。ご自身に合った温度設定を見つける参考にしてください。
太くて硬い髪・くせ毛の場合(160℃〜180℃)
髪が太くて硬い方や、しっかりとしたくせ毛の方は、髪の表面を覆うキューティクルが厚く、髪の内部まで熱が伝わりにくい傾向があります。
そのため、ヘアセットでヘアアイロンを活用する場合は「比較的高めの温度設定」にしておいてください。
このような髪質の場合、低い温度で何度もアイロンを通すと、かえって熱が当たる総時間が長くなり、髪への負担が増えてしまいます。
「160℃〜180℃」の適切な温度で、手早く「短時間で一度に決める」方が、結果的にダメージを抑えられるでしょう。
ただし、髪が硬いからといって、安易に180℃を超える温度設定にするのは避けましょう。
髪への負担が非常に大きくなるため、まずは160℃あたりから試し、ご自身の髪がヘアセットしやすい温度を見つけてください。
細くてやわらかい髪(軟毛)の場合(120℃〜150℃)
髪が細くやわらかい、いわゆる「軟毛」と呼ばれる髪質は、太い髪に比べて熱の影響を受けやすく、ダメージにつながりやすい性質を持っています。
そのため、ヘアアイロンの温度は低温設定を基本に考えましょう。
まずは「120℃」といった低い温度から試し、ご自身の髪でヘアセットできるかを確認してください。
もし形がつきにくい場合でも、「上限は150℃程度を目安」とし、それ以上の温度設定は髪に大きな負担をかけてしまうかもしれません。
軟毛の場合、髪型の持続性を求めるあまり高温にしてしまうと、ダメージが目立ちやすくなります。
スタイルキープよりも、髪を傷ませない意識のほうが重要です。
軟毛の方のスタイリング方法や、おすすめの髪型についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。
※参考:軟毛でもアイロンを使っていい?おすすめの髪型と選び方もまとめてみた
ダメージ毛・カラーやブリーチ後の髪の場合(100℃〜140℃)
すでにヘアカラーやブリーチを繰り返している髪、または枝毛やパサつきが気になるダメージ毛は、ヘアアイロンの使用に最も注意が必要です。
これらの髪は、キューティクルが乱れて剥がれている状態の可能性もあり、髪内部の水分や栄養分が失われがちな非常にデリケートな状態となっているケースも少なくありません。
いわば「髪の体力が落ちている」状態のため、健康な髪よりも熱によるダメージを格段に受けやすくなっています。
そのため、ヘアアイロンの温度は可能な限り低く設定しておいてください。
まずは「100℃〜120℃」を目安にスタイリングできるか試し、形がつきにくい場合でも「140℃を上限」と考え、短時間で手早く済ませましょう。
また、他の髪質以上に、アウトバストリートメントなどのアイロン前の保護剤の使用は必須です。
熱から髪を守るバリアを作っておくと、ダメージの進行を最小限に抑えられます。
仕上がりを格上げするヘアアイロンの温度設定
髪全体のヘアセットをしている時に、いつも同じ温度設定でヘアアイロンを使ってイないでしょうか?
「ストレートにしたい日」と「カールをつけたい日」、あるいは「健康な根元」と「ダメージが蓄積した毛先」では、最適な温度が異なります。
目的や髪の部位によって温度を細かく使い分けることが、ダメージを抑えながらきれいな髪型の仕上がりを叶えるための大切なポイントです。
ここでは、ヘアセットの質をさらに高めるための、具体的な使い分けについて解説します。
きれいなストレートヘアを作る基本の温度
まっすぐなストレートヘアを作る際、美容室での縮毛矯正をイメージする方もいるかもしれません。
確かに美容室での施術では、薬剤と組み合わせながら「175℃〜180℃」といった高温のアイロンを使い、髪の内部構造に働きかけてクセを伸ばす場合があります。
ただし、これはあくまで薬剤の反応を計算に入れた専門的な技術です。
毎日のヘアセットでこの温度をそのまま真似してしまうと、髪に深刻なダメージを与えかねません。
ご自宅でストレートヘアを作る際の基本は、あくまで先程解説したご自身の「髪質に合わせた温度」を守ることです。
むやみに高温に頼らず、適切な温度で手早く仕上げる意識でヘアセットを行いましょう。
ふんわりカールを作る基本の温度
ふんわりとしたカールを作る場合は、髪の性質を理解しておきましょう。
髪は、ヘアアイロンで熱が加わった時ではなく、その熱が冷めていく過程で形が固定されるという性質を持っています。
そのため、高温で一気に巻こうとするよりも、140℃〜160℃程度を目安に、ご自身の髪質に合った温度で毛束にじっくりと熱を伝え、アイロンを外した後にそのカールを少し冷ます時間を作ってください。
もし温度が高すぎると、髪のたんぱく質が熱で硬くなり、かえってしなやかさのない、不自然な仕上がりになってしまう場合もあります。
やわらかいカールを作るには、適切な温度で熱を加え、冷ます過程を意識しておいてください。
【部位別】前髪・根元・毛先の最適な温度を使い分ける
同じ一本の髪でも、生えてきたばかりの「根元」と、長期間ダメージにさらされてきた「毛先」では、健康状態が異なります。
そのため、すべての部分を同じ温度でスタイリングするのではなく、部位ごとに温度を使い分けるのが、髪への負担を減らしながら上手に仕上げるための理想的な方法です。
- 部位別の最適な温度設定
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- 前髪(120℃〜150℃):前髪は他の部分に比べて髪が細く、量も少ないため、低い温度でも十分にヘアセットが可能。120℃〜150℃程度の低温設定をしておく。
- 根元(140℃~160℃):根元は生えてきたばかりで比較的健康な部分が多いため、140℃〜160℃程度の温度で、地肌に当たらないように注意しながら短時間だけ使用する。
- 毛先(120℃~140℃):毛先は、最もダメージが蓄積しているデリケートな部分である点を認識しておく。できるだけ設定温度を下げる(120℃〜140℃)配慮が大切。
前髪は第一印象を左右する重要なポイントですが、失敗しやすい部分でもあります。
より詳しいコツや失敗しないためのポイントは、こちらの記事で解説しています。
※参考:前髪は第一印象で大切!それなのにアイロンで失敗する人が考える大事なポイント
200℃以上の高温設定が推奨されない理由
市販のヘアアイロンの中には200℃を超える温度設定が可能な製品もありますが、なぜその使用が推奨されないのか、明確な理由があります。
それは、200℃を超えるような極端な高温にさらされると、髪の主成分であるたんぱく質が「焦げた」ような状態になり、二度と元に戻らない「タンパク変性」という深刻なダメージを引き起こしてしまうからです。
タンパク変性が起こると髪は硬くなり、しなやかさを失ってしまうでしょう。
また、ほんの一瞬当てただけでも髪内部の水分を必要以上に奪い去ってしまうため、ひどいパサつきや枝毛、切れ毛の直接的な原因となります。
どんなにクセが強くてヘアセットが難しい髪質であっても、日常的に200℃を超える温度設定で使用することは、髪にとって非常にリスクが高い行為です。
きれいな髪を将来にわたってキープするためにも、200℃以上の設定は避けるべきでしょう。
高温にしなくてもヘアセットを長時間キープさせるコツ
「しっかりセットしたはずなのに、夕方にはもう崩れている」と感じる経験はないでしょうか?
髪型の持ちを良くするために、ついヘアアイロンの温度を上げてしまう方もいるかもしれません。
しかし、髪型をキープするためには、必ずしも温度の高さだけで決まらないので注意しましょう。
本当に大切なのは、アイロンを当てる前の準備から仕上げまで、ヘアセットのプロセスそのものです。
ここでは、髪への負担を抑えながら、セットしたてのスタイルを一日中キープするためのコツを解説します。
スタイリングの持ちが変わる!アイロン前の3つの仕込み
スタイリングの成否は、アイロンを手に取る前の段階で大半が決まっていると言っても過言ではありません。
高温に頼る前に、まずは以下の3つの基本的な仕込みができているか確認しましょう。
- ヘアアイロンを使う前の大切な準備
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- 髪を完全に乾かす:髪が濡れた状態でのアイロンは、水蒸気爆発によるダメージが深刻となる。その防止なのはもちろんだが、湿り気が残っているとスタイルの持ちも悪くなるという理由もある。
- スタイリング剤で熱から守る:熱保護(ヒートプロテクト)成分が入ったスタイリング剤やトリートメントを事前になじませておくのも大事。
- ブラッシングで髪を整える:アイロンを通す前に、ブラッシングをして髪のもつれを丁寧に解きほぐしておく。熱のムラがなくなって崩れにくくなる。
これらの準備に加えて、さらに根本的な対策として、髪そのものの健康状態を高めておくのも重要です。
髪の内部がダメージで空洞化していると、ハリやコシがなくなり、ヘアセットが決まりにくくなります。
その中でも、「ヘマチン」のような補修成分が含まれたアウトバストリートメントはおすすめです。
日々のケアで髪の芯を強くしておくことも、ぜひ意識してみてください。
以下は、ヘマチンが豊富に含まれた弊社が開発したアウトバストリートメントです。
気になる方はお試しください。
※商品詳細:エポプレミアムヘマチン
崩れにくくするアイロンの当て方・通し方の基本
アイロンを使っている最中の使い方は、少しの技術的な工夫で、髪型の持ちは大きく変わります。
高温設定に頼る前に、まずは以下の基本動作を見直してみましょう。
- 崩れにくくするアイロンの使い方の基本
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- 毛束を少量ずつ取る:一度に多くの毛束を挟むと、毛束の内側にまで熱が均一に伝わらないため、時間はかかっても毛束を少量ずつ取って丁寧に熱を通すこと。
- 「一度で決める」意識を持つ:熱が足りない気がして、何度も同じ場所へアイロンを通すのもNG。ご自身の髪質に合った適切な温度で、「一度で決める」意識が大事。
- カールは「冷まして固定」する:髪は熱が加わった時ではなく、その熱が冷めていく過程で形が記憶されるため、カールを作ったら手のひらで数秒支えて「クールダウン」させること。
このように、アイロンを通す際の毛束の量や回数、そしてスタイリング後の冷まし方といった基本動作を見直すだけで、髪への負担を減らしながらキープ力を高めることにつながります。
セットしたての形を固定する仕上げのひと工夫
ヘアアイロンでせっかくきれいに形を作っても、その後の「仕上げ」を怠ると、外部からの刺激ですぐに崩れてしまいます。
特に湿気はヘアセットの際の大きな敵です。
髪型を長持ちさせるためには、仕上げにヘアスプレーなどを正しく使ってください。
スプレーを使う際は、髪から20cmほど離し、一箇所に集中しないように髪全体へふんわりと軽くかけるようにしましょう。
必要以上に近くから噴射してガチガチに固めてしまうと、不自然な仕上がりになるだけでなく、シャンプーで落としにくくなる場合もあります。
また、髪型の崩れを引き起こす最大の原因は「湿気」です。
髪が湿気を吸うと、せっかくセットした髪型が元に戻ろうとして、うねりが出てしまうケースも少なくありません。
キープ力のあるスタイリング剤やスプレーは、この湿気から髪をコーティングして守る役割も果たします。
高温に頼らなくても、こうした仕上げのひと工夫で髪を外部の刺激から守ることが、セットしたての髪型を長時間維持するためにも重要です。
その習慣は大丈夫?髪を守るための注意点
スタイルを長時間キープしたいと思うあまり、無意識のうちに髪へ負担をかける習慣が身についていないか、最後にもう一度確認してみましょう。
- 髪を守るための習慣を復習!
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- 180℃を超える温度は避ける:上記でも触れた内容。180℃を超えるような高温は、髪のたんぱく質が変性するリスクがある。
- 何度も同じ箇所に当てない:クセが伸びないからといって、アイロンを何度も同じ場所に通すのも避けるべき。「一度で決める」ことを意識が大切。
これまでに解説した「アイロン前の準備」や「正しい当て方」、「仕上げの工夫」を丁寧に行えば、過度な高温や回数に頼らなくても、髪型の持続性は十分に高められます。
ここまで様々な注意点をお伝えしましたが、「これだけ気をつけていても、そもそも毎日ヘアアイロンを使うこと自体が髪に良くないのでは?」と根本的に不安に思う方もいるかもしれません。
毎日のアイロン使用に関するリスクや、ダメージを最小限に抑えるための対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
※参考:ヘアアイロンを毎日使うのはダメ?毛先のトラブルが起きるリスクが高まるのは間違いなし
最適な温度設定で、ダメージの少ないツヤ髪を目指そう
今回は、ヘアアイロンの温度設定について、基本から応用まで詳しく解説しました。重要なポイントは、以下の3つです。
- ヘアアイロンを使う上で重要なポイント
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- まずは自分の髪質や目的に合った、最適な温度を知ること
- アイロン前の準備や、髪に負担をかけない使い方を徹底すること
- 高温に頼らずとも、一連の工程を丁寧に行うことで、スタイリングは長持ちすること
ヘアアイロンは、正しく理解して使えば、髪へのダメージを最小限に抑えながら、毎日のヘアセットを豊かにしてくれる心強い味方です。
今回紹介した内容を参考に、ぜひ明日からのヘアアイロン習慣を見直し、ダメージを恐れない、自由なヘアスタイリングを楽しんでください。
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