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三徳山三佛寺投入堂とは? ~1300年の歴史を持つ驚異の建築!~
三徳山三佛寺投入堂(みとくさんさんぶつじなげいれどう)が建つのは、標高900mの三徳山の絶壁。
天台宗のお寺・三佛寺の奥院で1300年以上の歴史をもつ驚異の建築物です。
目もくらむような崖のくぼみに建つ姿は、なんと平安時代後期に建てられたもの!
※木材の年輪年代測定によって判明/1086~1184年ごろ
日本最古の木造建造のひとつです。
三徳山三佛寺投入堂の由来は、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)だと言われています。
小角が蓮の花びらを3枚散らし、その1枚が落ちた場所に三佛寺が建てられました。
※残り2枚は伊予石槌山(愛媛県)と吉野(京都)に落ちた
さらに投入堂は役小角の法力(仏様から授けられた神通力)によって「投げ入れられた」と伝わっていて、詳しい建築方法は今も謎のまま。
そんな神秘的な由来のお堂で、今もお坊さんたちが修行する深山にひっそりと建っています。
投入堂までのアクセスと登山の注意点(服装・靴など)
三徳山のふもとまでは車かバスで行けます。
【車】中国自動車道「院庄IC」または米子自動車道「湯原IC」から約50分
【バス】JR倉吉駅から約40分
登山の往復時間(約1~2時間)を考えて、余裕をもって旅の計画をたてましょう。
三徳山入山の受付時間は8:00~15:00までなので、早めに到着するのがおすすめです。
また、1人では入山できないため2人以上のグループで行くか、現地で他のグループを待ってから一緒に入山しましょう。
※単独登山での事故や遭難を防ぐため
登山には三佛寺への志納金(寄付金)と入山料が必要です。
さらに雨や雪などの悪天候の日は閉山されます。
当日に入山できるかどうかを、必ず三佛寺のホームページ でご確認ください。
そして投入堂までの道のりはとても険しい山道で、鎖場(鎖が張られた崖)などを登らなくてはいけません。
ハイキングではなく登山やクライミングに近いので、必ず動きやすい服装と歩きやすい靴で行きましょう!
※ソールがしっかりしたスニーカー・トレッキングシューズ・登山靴がおすすめです
(金具やスパイク付の靴は登山道の保護のため禁止)
※バッグは両手を使えるリュックサックが便利です
また、鎖場の鎖などをつかむために軍手またはグローブも必須!
飲み物・タオル・非常食なども持参しておくと安心です。
投入堂までの順路と見どころ ~三佛寺・文殊堂・鐘楼堂・投入堂~
投入堂がある三徳山には、ほかにもさまざまな見どころがあります。
修験道の聖地ならではの神秘的なムードで、歴史ある史跡や絶景を楽しめます。
①三徳山三佛寺
まずは本堂の三佛寺にお参りして、登山の受付をしましょう。
三佛寺そのものが歴史あるお寺なので、立派な本堂やたくさんのお地蔵様など、見ごたえがあります。
ここで服装と靴のチェックがあって、登山に向いていない服装は入山を断られることがあるためご注意ください。
靴がNGの場合は、販売している草履を買う必要があります。
②文殊堂
中国地方の最高峰・大山(だいせん)まで見渡せる絶景スポット!(写真右下)
投入堂までの登山道の途中にあります。
目もくらむような高さの縁側に腰かけて、景色を楽しむこともできます。
ただし柵がないので、くれぐれも落ちないように気をつけましょう。
③鐘楼(しょうろう)堂
文殊堂の次に現れる、鐘が吊り下がった小さなお堂。
三佛寺の除夜の鐘はここで撞(つ)かれます。
鐘楼堂を越えてさらに登っていくと、いよいよ投入堂が現れます。
④投入堂
三徳山三佛寺の奥院で、険しい登山道を乗り越えてやっとたどり着ける国宝のお堂!
間近で見上げると、驚くべき建築と不思議で神秘的な光景に感動します。
※お堂がある崖を登ったり、お堂の中に立ち入ることはできません
観光のための登山はここが終点。
来た道を折り返しますが、帰りは急な下り坂になるため、三佛寺にたどり着くまで気を抜かずにがんばってください。
三徳山三佛寺の行事
三徳山三佛寺では、一年間を通じてさまざまな行事が行われています。
観光客が見学・参加できるものもあるので、タイミングが合えばぜひ立ち寄ってみましょう!
①炎の祭典・採燈護摩(さいとうごま)・火生三昧(かしょうざんまい)火渡り神事 (10月最終日曜日)
大勢の山伏がホラ貝を吹く中、炎の中に願い事を書いた護摩木(ごまき)を投じてその成就を祈願します。
炎の上を素足で歩いて病気平癒などを願う「火渡り神事」など、昔ながらの修験道の行事も行われます。
②除夜の鐘 (12月31日)
大晦日には鐘楼堂で除夜の鐘つきが行われます。
古式ゆかしい年越しの儀式で、深山に鳴り響く鐘の音を聞きながら、すがすがしい新年を迎えられます。
鐘楼堂まで登って現地で見学することもできます。
(写真は秋の鐘楼堂)
※夜の登山道はとても危険なため、登山道が暗くなるまでに鐘楼堂に到着しましょう
※必ずライトを持参しましょう(ヘッドライトがおすすめです)
③三徳山御幸行列 (3年に1度/4月下旬)
旧暦3月18日に行なわれる春の法要。
三徳山の神様を御神輿(おみこし)に乗せて、三徳山から三朝温泉街まで練り歩き、たくさんの人々にご利益を授けて廻ります。
その起源は室町時代までさかのぼり、三徳山にお祀りされている三所大権現(蔵王・子守・勝手)がご降臨することから「権現祭」とも呼ばれています。
六角高御座(たかみくら)形の立派な御神輿を中心に、総勢約200人が練り歩く盛大な法要です。
三朝温泉と三徳山 ~参拝前後に立ち寄りたい「白狼伝説」の温泉 ~
三徳山へのお参りの前後には、車で約10分の三朝(みささ)温泉に立ち寄るのがおすすめです。
日本屈指のラジウム温泉で、三徳山の参拝者が登山の前後に身を清める伝統があります。
お参り前に三朝温泉に入り、三徳山へ登り、さらに帰りに三朝温泉に入るのが習わし。
この伝統と文化は日本遺産に認定されていて、昔の修験者とほぼ同じ体験ができます。
三朝温泉は源頼朝の父・源義朝の家来だった大久保左馬之祐(さまのすけ)が、三徳山にお参りする途中で発見したと伝わっています。
お参りの道中、白いオオカミを弓で射らずに見逃したところ、夢の中に菩薩さまが現れて温泉のありかをお告げされました。
これを「白狼伝説」と言い、その後約850年にわたって三徳山参拝の拠点となってきました。
平安時代から続く信仰の歴史が今も残る、三徳山と三朝温泉。
絶景の背後に流れるストーリーも魅力です。
- DATA
三徳山三佛寺投入堂 (みとくさん さんぶつじ なげいれどう)
HP:https://misasaonsen.jp/sightseeings/mitokusan/ (三朝温泉観光協会)
HP:https://www.mitokusan.jp/ (三徳山三佛寺)
※雨・雪・荒天時は入山禁止となるため、当日の入山可否を三徳山三佛寺のHPでご確認ください
住所:鳥取県東伯郡三朝町三徳1010
観光のお問い合わせ:0858-43-0431(三朝温泉観光協会)
お問い合わせの受付時間:8:00~17:00
登山の受付時間:8:00~15:00
本堂参拝の受付時間:8:00~17:00
【観覧料】
三佛寺本堂まで:大人400円 / 小人(小中学生) 200円
投入堂まで(入山料):大人800円 / 小人(小中学生) 400円
※登山は小学校高学年以上、2名以上から(未就学児・単独者の登山は禁止)
※入山手続きは「三徳山三佛寺本堂」裏の「登山事務所」で受付
※すべりにくい靴(登山靴・運動靴・ワラぞうり)で入山してください(ワラぞうりの販売あり)
※登山道の荒廃防止のため、杖、金具やスパイクのついた靴での入山はお控えください
※火器類の持ち込みは禁止
※荒天時(雨・雪・暴風など)の入山は禁止
取材協力・
写真提供:
三朝温泉観光協会・鳥取県/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)