小泉八雲記念館の見どころ
小泉八雲記念館には3つの展示室とライブラリー、ミュージアムショップ、多目的スペースなどがあります。
八雲の作品や生涯の解説をはじめ、毎年テーマを決めて開催される企画展や、それにともなうワークショップ、講演会などが開かれます。
各コーナーの見どころや、イベントなどの魅力をご紹介しましょう。
①エントランス・ミュージアムショップ
入館してすぐに現れる最初のコーナー。
八雲の生涯がわかる映像を上映していて、八雲の著書やグッズなどが買えるミュージアムショップがあります。
まずはここで映像を見てから展示室に進むのがおすすめです。
②展示室1
エントランスの次に現れる最初の展示室。
八雲の生涯を「その眼が見たもの」「その耳が聞いたもの」「その心に響いたもの」という3つのテーマに沿って紹介しています。
八雲が愛用したバッグや小物などの遺品をはじめ、その生涯を追った年表や、八雲が心惹かれた日本の文化や風土などを紹介しています。
③展示室2
小泉八雲の功績や、作品を書くにあたっての姿勢などを「再話」「クレオール」「いのち」といった8つの切り口で紹介しています。
「再話」コーナーでは、松江出身の俳優・佐野史郎さんと、同じく松江出身のギタリスト・山本恭司さんによる朗読・音楽を楽しめます。
八雲の書斎を再現したスペースでは、学生時代に左目を失明して、右目も強度の近眼だった八雲が愛用した、特注の背の高い机を展示しています。
④展示室3
八雲にまつわるさまざまな企画展が見られる展示室。
毎年テーマを替えて約1年間展示されます。
過去の企画展は『怪談』執筆の舞台裏や、妖怪についての未発表の遺稿などを紹介した「小泉八雲、妖怪へのまなざし」(2020年6月~2021年6月)、八雲が愛した昆虫とその鳴き声をテーマにした「虫の詩 かそけきものの声音を愛す」(2022年6月~2023年6月)など。
企画展に合わせたさまざまなイベントもあり、企画展の内容のレクチャーや子どものためのワークショップをはじめ、松江水燈路(毎年9月末~10月中旬)に合わせたナイトミュージアムでは、コンサート・落語会・朗読会などが開かれます。
⑤ライブラリー
小泉八雲の著書や、八雲にまつわる書籍をそろえたライブラリー。
作品やその舞台となった土地を検索できるシステムもあります。
来館の記念に! ミュージアムショップの人気グッズ
小泉八雲の作品と人生にひたった後は、ミュージアムグッズで来館記念のお土産探しがおすすめ。
八雲の著作や作品集、作品にちなんだグッズなどがいっぱいです。
中でも人気が高いのは以下の3つだそうです。
①書籍 『小泉八雲の怪談づくし』(税込 1,950円)
八雲が再話した怪談のうち、厳選した74編のお話と、一部作品へのコメントやイラストを収録した本です。
②怪談ノート (税込 500円)
八雲の代表作『怪談 (KWAIDAN)』の初版本の装丁をデザインしたノート。
『怪談』ファンは必携です!
③お化け行燈(ペーパークラフト) (税込 1,000円)
1枚の紙に印刷された絵のパーツから、おもちゃを組み立てて楽しむ立版古(たてばんこ)。
いわゆる玩具絵(おもちゃえ)で、八雲のお気に入りだった「お化け行燈」の復刻版です。
小泉八雲の日本へのまなざし ~日本を愛した作家の素顔~
小泉八雲は当時の諸外国に浸透していた西洋中心主義や、人間中心主義の世界観に偏ることなく、オープン・マインドなまなざしで日本文化を観察・理解して西洋世界に発信しました。
著書のひとつ『知られぬ日本の面影』(1894)では、山陰の民衆文化を五感を駆使して観察。
人々に優しく寄り添うまなざしで、その姿を生き生きと描き出しています。
そして代表作の『怪談』(1904)は、日本の書籍に記されていた原話や口承文芸を妻セツが語り、八雲が文学として魂を吹き込みながら英語に翻案した再話文学。
怪奇の恐怖や美とともに、人間の世界と超自然の不可分な結びつきを描き出しています。
収録されている話の中には「雪女」や「耳なし芳一」など、作者の八雲よりも広く知られるようになった作品もあります。
そして「怪談文学の作者」という肩書は、八雲のほんの一面に過ぎません。
その活躍と功績はとても多岐にわたります。
アメリカのニューオーリンズでジャズ胎動期の音楽を採集したり、世界初のクレオール料理(ニューオーリンズ地域で生まれた複数の食文化が融合した料理)のレシピ集を出版したり、日本語の「津波」の意味や恐ろしさを世界へ発信したり。
さらに「自然との共生とシンプルライフの大切さ」や、「教育における想像力の大切さ」を説くなど、ジャーナリストや教育者としても多面的に活躍しました。
小泉八雲の生涯 ~偉大な作家の一生と日本への帰化~
小泉八雲は1850年(江戸時代の嘉永3年)にギリシャで生まれたアイルランド人です。
その後はアイルランドやイギリスで暮らし、アメリカに渡って物語を書いて投稿したり、出版社で働いたりするうちに、その才能を認められて広く名を知られるようになりました。
さらに週刊誌を創刊したり、ルポライターや編集者として活躍するなど、多方面に才能を発揮。
歴史や異文化にまつわる本や小説を多数出版し、39歳となった1890年(明治23年)に日本に渡りました。
その後、英語の教師となって島根県の松江市に赴任。
そこで生涯の妻となる小泉セツと出会い、結婚しました。
八雲は松江だけでなく熊本や神戸、東京などにも住みましたが、妻セツと出会った松江での暮らしは、その著書や生涯に多大な影響を与えました。
そして妻セツとの間に長男が生まれたのをきっかけに、数年後に日本に帰化。
本名のパトリック・ラフカディオ・ハーンから「小泉八雲」へと改名しました。
小泉八雲の第二の故郷で、「怪談」のルーツとも言える松江。
そこに建つ小泉八雲記念館で、八雲の生きざまと幻想的な作品世界にひたってみませんか?
- DATA
小泉八雲記念館
HP:https://www.hearn-museum-matsue.jp
住所:島根県松江市奥谷町322
電話:0852-21-2147
【開館時間】
4月1日~9月30日:8:30-18:30(受付18:10まで)
10月1日~3月31日:8:30-17:00(受付16:40まで)
休館日:年中無休
※館内メンテナンスのため年数回の休館日あり
入館料:大人410円/小・中学生200円
※団体割引あり(20名以上)
※障がい者手帳、療育手帳などの所持者と介護者1名は無料
※お得な2館共通券(小泉八雲記念館・小泉八雲旧居)/3館共通券(松江城天守・小泉八雲記念館・武家屋敷)あり
- DATA
小泉八雲旧居
HP:https://www.hearn-museum-matsue.jp/residence/
住所:島根県松江市北堀町315
電話:0852-23-0714
【開館時間】
4月1日~9月30日:8:30-18:30(受付18:10まで)
10月1日~3月31日:8:30-17:00(受付16:40まで)
休館日:年中無休
※館内メンテナンスのため年数回の休館日あり
入館料:大人310円/小・中学生150円
※団体割引あり(20名以上)
※障がい者手帳、療育手帳などの所持者と介護者1名は無料
※お得な2館共通券(小泉八雲記念館・小泉八雲旧居)あり
取材協力・
写真提供:
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ライター:風間梢(プロフィールはこちら)