米子城跡の見どころ ~中海のそばにそびえる天空の城~
米子(よなご)城跡があるのは、鳥取県米子市の中心部。
日本海とつながる汽水湖・中海(なかうみ)に張り出した湊山を中心に築かれています。
標高90mの天守台(本丸)からは、360度の大パノラマを楽しめます。
眼下の中海をはじめ、日本海・隠岐の島・島根半島・大山まで一望できるロケーションは格別!
ふもとには米子市街が広がっていて、駐車場から本丸まで徒歩約20分と観光もラクラク。
絶景好きにもお城好きにも人気の名城です。
現在の米子城跡に天守などの建物は残っていませんが、石垣などは江戸時代の姿のままです。
頂上の「本丸」(写真)には、かつては大小2つの天守がそびえていました。
この2つの天守が米子城の最大の特徴です。
ほかにも五重の「大天守台」や、小天守台と呼ばれる「四重櫓(やぐら)台」(写真右側)、中海と米子市街を見渡せる「遠見櫓」、城兵の集合場所だった「枡形」など、往時の姿を想像できる石垣が数多く残されています。
さらに中腹にある内膳丸(出山に築かれた郭(くるわ))から、本丸の遠見櫓(やぐら)にかけて尾根を登るように築かれた「登り石垣」(写真)は、朝鮮半島の倭城の技術を取り入れた非常に珍しいもの。
二の丸や三の丸にも見事な石垣が残っていて、城の全景は世界遺産のマチュピチュ(ペルー)を思わせます。
ほかにも魚のタイにそっくりな「鯛石」(写真)や、石垣の上にポツンとたたずむ「忘れ石」など、個性的な奇石などがいっぱい!
春夏秋冬の景色も美しく、貴重な史跡と絶景を堪能できます。
米子城跡の絶景 ~ 四季の風景・ダイヤモンド大山・オレンジロード・ライトアップetc ~
米子城跡は空・山・海・街の全てを一望できる絶景の城!
四季折々の風景をはじめ、日の出から夜景まで、24時間うつろう景色を楽しめます。
大山の頂上から日が昇る「ダイヤモンド大山」や、夕日が中海に光の道を描く「オレンジロード」など、レアな天体ショーが見られる時も。
期間限定の夜間ライトアップも好評で、夜空に輝く天空の城を楽しめます。
そんな米子城跡の絶景の数々をご紹介しましょう。
①四季の風景
米子城跡は桜の名所としても有名です。
ふもとに広がる湊山公園と共に、桜×絶景の競演を楽しめます。(3月下旬~4月上旬)
夏は新緑や夕焼け、秋は抜けるような青空と圧倒的な雲の存在感、冬は雪景色(12月下旬~2月)と、四季折々の風情を感じられます。
②ダイヤモンド大山 (観測期間:10月22日ごろ・2月20日ごろ)
米子城跡が「絶景の城」と呼ばれるきっかけになった天体ショー!
広々とした天守台から、大山の頂上から昇るご来光を鑑賞できます。
毎年10月と2月には、誰でも気軽に参加できる「ダイヤモンド大山観望会」も開催されます。
ただ眺めてもよし、スマホやカメラでシャッターチャンスを狙ってもよし。
※「ダイヤモンド大山観望会」の日程と参加方法は米子市HP でご確認ください
③オレンジロード (観測期間:5月初旬~下旬/7月下旬~8月上旬)
島根半島に沈む夕日が、眼下の中海にオレンジ色の道を描きます。 これを見るための「オレンジロード観望会」が5月中旬頃に開かれます。
※「オレンジロード観望会」の日程と参加方法は米子市観光協会HP でご確認ください
オレンジロードのシーズン以外も、見事なサンセットを楽しめます。
④夜間ライトアップ(夏・秋・年末年始など)
米子城跡が夜闇に輝く人気のイベント!
夏や秋、年末年始など、不定期で開催されます。
天守や石垣が幻想的に浮かび上がる光景は、デートスポットにもおすすめ。
ガイドと一緒に夜の米子城跡を歩く「米子城跡ナイトウォーク」が開催されることもあります。
※「米子城ナイトウォーク」の日程や参加方法は米子まちなか観光案内所 にお問い合わせください
米子城跡のイベント
米子城跡では一年を通じてさまざまなイベントが開催されます。
いずれも悪天候などによって中止になる場合があるので、米子城公式ホームページ で最新情報をチェックしてください。
新年明けまして米子城 (1月1日早朝)
元旦の恒例行事で、天守台から初日の出を鑑賞します。
鳥取屈指の絶景スポットから拝む神々しい初日の出は、縁起の良い新年の始まり!
二の丸にある枡形には、温かい飲み物や軽食などを販売するキッチンカーが登場します。
参加者には登城記念証などのプレゼント(先着順)もあります。
※キッチンカーの登場やプレゼントの有無は、年によって異なります
米子桜まつり (3月下旬~4月上旬)
米子城跡近くの湊山公園は米子市随一の桜の名所です。
春は園内に約500本の桜が咲き誇り、毎年3月末~4月上旬に開催される「米子桜まつり」では、屋台の出店やボンボリの点灯、ライトアップなどが行われます。
米子城跡も桜の名所で、絶景と桜の競演を堪能できます。
見て触って城山自然ツアー (各シーズン)
米子城跡がある湊山の自然観察会。
さまざまな植物や昆虫などを、(公財)日本自然保護協会登録の自然観察指導員の案内で観察できます。
ウバユリ(写真)やヤマジノホトトギスなど、普段はなかなか目にする機会のない珍しい植物も!
米子城跡に残る豊かな自然を体感できます。
米子がいな祭 (8月)
米子の夏の風物詩。
JR米子駅前通りや米子城跡などで、たくさんのイベントが行われます。
祭のクライマックスの「がいな花火大会」では、米子城跡から見える米子港(中海)を舞台に約1万発の花火が打ち上げられます。
米子城跡の歴史
かつての米子城には五重の天守と四重の小天守(四重櫓)がそびえていました。
その歴史の始まりは、応仁の乱~戦国時代にかけて。
伯耆国日野郡(現在の鳥取県日野郡)を支配していた日野山名氏出身の、山名宗之によって飯山に砦が築かれたと言われています。
さらに戦国時代末期の1591年(天正19年)に、豊臣秀吉の命によって西伯耆(にしほうき/鳥取県西部)の領主となった吉川広家が、現在地の湊山に近世的な石垣を持つ城を築き始めました。
これは秀吉の朝鮮出兵の戦略のもとに、日本海側の抑えとして造られました。
その後吉川広家は関ヶ原の合戦の後、岩国(山口県南東部)に転封(治める領地を変えること)されました。
ですが、その後も米子城の築城は続けられ、中村一忠が城主だった1602年(慶長7年)ごろに完成しました。
その後も城主が移り変わりながら、1869年(明治2年)まで城は健在でした。
ですが明治維新で藩庁に引き渡されて、士族に払い下げられた末に、建物の大半が売られて解体されてしまいました。
しかし、今も残る天守台や石垣などに往時の雄姿が偲ばれます。
現代も米子を象徴する“山陰随一の名城”です。
- DATA
国史跡 米子城跡
HP:https://yonagocastle.com/
住所:鳥取県米子市久米町63 (米子城三の丸跡(旧湊山球場))
お問い合わせ:0859-23-5436(米子市文化振興課) ※土日祝休
お問い合わせの受付時間:8:30~17:15
見学時間:自由
※急な登り道があります/早朝・夕方・夜間に登城される際はライトをご持参ください
※ゴミは各自でお持ち帰りください
取材協力・
写真提供:
米子市文化振興課・岡雄一/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)