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極上のシーフードがとれる島根町野井。小さな子どもでもパクパク食べる岩牡蠣とは?
松江の北、日本海に突き出た島根半島。
ここにある島根町野井地区は、豊かで変化に富んだ自然が息づく「大山隠岐国立公園」の一部です。
日本海の荒波に削られた海岸や小島には、岩牡蠣・アワビ・サザエ・亀の手などの珍味がいっぱい!
さらに定置網漁でとれるイカやタコ、地魚など、春夏秋冬の美味しい魚介類に恵まれています。
中でも魚介類が苦手な人や小さなお子さんでもパクパク食べる、という岩牡蠣は、例えるなら‟海のミルク”ならぬ‟海のフレッシュミルク”。
牡蠣特有のえぐみや臭みがない、とっても澄んだ味わいです。
オンラインショップで島根町の魚介類を全国にお届け! 現地で海を見ながら味わえる直営ショップもあり。
島根町の海でとれるのは、天然・養殖の岩牡蠣と貝類、そして四季折々に回遊してくるさまざまな魚たちです。
1年を通じてよくとれるのは、サザエ・アワビ・ウニ・ムラサキイガイ(ムール貝)・亀の手・ニナ貝(小さな巻貝)・ベベ貝(小さな傘のような形をした貝)などの貝類と、タコ。
さらに春には養殖ワカメ、初夏にはモズク、夏から秋にかけては様々なイカ、冬にはナマコなど、四季折々の海の恵みを楽しめます。
そのうち永見さんが自ら素潜り漁でとった岩牡蠣や貝と、勤めている定置網漁の会社「野井定置漁業」がとった魚を販売。
うち98%は永見さん自身がとったもので、出どころが確かで鮮度も抜群です。
これらの貝や魚をオンラインショップで全国にお届け!
さらに直売所を兼ねた飲食店「永幸丸Rock Oyster Terrace」も営んでいて、現地でとれたてを味わうこともできます。
「こんなに美味しい貝や魚は初めて食べた!」とよく言われるという、永見さんのお店。
「魚介類が好きな人がたくさん来られますが、『亀の手・ムラサキイガイ・ベベ貝などの島根の貝は初めて食べてとても美味しかった!』とよく言われます。私は横浜の出身で、地元の友人や前職の流れでおつきあいのある経営者さんや政治家さん達もよく利用してくださいますが、銀座や六本木のお店に行き慣れている方々でも『こんなに美味しい魚介類は初めて食べた!』と驚かれます。私自身も食にはこだわりがあっていろんなお店を食べ歩きましたが、島根町の貝や魚は抜きんでて美味しいと思います。最近北海道に行って北海道の魚介類も食べましたが、それらよりも美味しいです。実際、北海道の漁師さんが島根の海まで来て漁をして帰っていく、という話も聞きます」
そんな島根町の極上の魚介類を広めたくて漁師になった、と言う永見さん。
「こんなに美味しいものが、どうして世間に知られずくすぶっているんだろう? どんな産地のどんなブランドにも負けない岩牡蠣や貝や魚を、もっと知って欲しい! という想いで始めました。島根町の海産物は、誰にでも自信をもって出せるしおすすめできます」
島根町野井との運命の出会い。神奈川出身の青年が島根の漁師になるまで。
「実は、もともと魚介類はあまり好きじゃなかったんです」
と言う永見さん。
「でも島根町の牡蠣や魚介類を食べて、すごく好きになりました! 島根町との出会いは、島根県へのUIターンを進める『ふるさと島根定住財団 』が行なっている産業体験でした。当初は漁業・農業・林業の第一次産業をすべて体験するつもりで、最初にいま勤めている野井の定置網漁の会社に行きました。ここにも野井にも3~4ヶ月しかいないつもりでしたが、野井の海産物がとても気に入って、そのままずっと勤めることにしたんです」
素晴らしく美味しい岩牡蠣や魚がとれるのに、漁業にも、その基盤となる地域にもたくさんの課題があった野井地区。
それらの打開策をいろいろ思いついたこともあって、運命を感じたそうです。
そしてさっそく漁業の後継者不足や、良質なのにそれに見合った価格がつかない、といった野井の問題の打開策を実践し始めました。
漁業全体の課題「未利用魚」の活用にも挑戦! ‟命をいただく重さ”を直視。
永見さんがさらに真剣に向き合っているのは、日本の漁業全体の課題でもある「未利用魚」の問題です。
「未利用魚」とは、知名度が低かったりとれる数が少なかったり、骨が多い、トゲや毒がある(適切に取り除けば食べられる)、大きさにバラつきがある、などの理由で売りにくい魚のこと。
野井で行なわれている定置網漁をはじめ、漁業では、この「未利用魚」がどうしても出てしまいます。
その数は、なんと漁でとれる魚の約30~35% !
その実態を初めて知った永見さんは、人が食べるために仕掛けた網で、それだけ多くの命が無駄にとられて捨てられている、という事実に涙を流してしまったそうです。
「もともと殺生をしたくない性格で、蚊に刺されても叩かないで血を吸わせてあげるくらいなんです。命の重さは人も虫も魚も同じです。それを一網打尽に捕まえて、人間の役に立つ・立たないといった基準で選り好みして捨てる、というのがとても悲しかった。
『そんな矛盾に向き合って、どうにかするために自分はここに来たんだ』と実感しました。そこで未利用魚を活用するためのレシピを考えたり、食べやすく加工したり、美味しさをPRしながら売ることにしました。未利用魚は調理法によってはとても美味しくなるし、もしも美味しくなくてもきちんと食べるのが、漁でとった魚への礼儀だと思います」
野井で特に多くとれる未利用魚は、アイゴという白身魚(写真上)。
背ビレや腹ビレに毒がありますが、適切に取り除けばとても美味しく食べられます。
とれたてならお刺身が最高で、塩焼きにしても骨からの身離れが良くて食べやすいそうです。
「うちの子達は『マグロの刺身よりもずっと美味しい!』と言いますね。ほかにもバター醤油やにんにくバターのソテーが好評です」
これらの『未利用魚』は、松江市内のスーパー「みしまや東川津店 」の「漁師市場」コーナーで販売しているほか、永見さんの直営店「永幸丸Rock Oyster Terrace」で予約すれば食べられます。
※水揚げの状況により在庫がない場合もあり
「先日も直営店でバーベキューのご予約客に出して大好評でした。 『ダツ』という未利用魚も美味しいので、ぜひ召し上がって未利用魚の問題を考えてみてください」
「島根町の魚介類は最高!」 それを広めて漁業の灯を絶やさないために奮闘中。
「島根町と野井の魚介類は本当に美味しいんです!」
と、繰り返し語る永見さん。
「さらに先輩の漁師さん達がとても真面目で一所懸命で、自分のような新参者にも漁の穴場やコツなどを惜しみなく教えてくれるんです。なのにいざ出荷しても、その努力や価値にみあった対価を得られていませんでした。
ですので野井の皆さんの努力と魚介類の品質にきちんと付加価値をつけて、全国の人々に広めていきたい。これが私の恩返しであり、目標でもあります」
さらに
「島根町にもっと若者を呼び込んで『野井』という素晴らしい海産物のブランドを発信しながら、日本随一の美味しさを誇る岩牡蠣を地場産業として盛り立てていきたい!」
とも語る永見さん。
「同じ価値観を持って野井と島根町のために動いてくれる方は、ぜひ来てください。お仲間大募集中です」
漁業の体験から転職・移住まで、至れり尽くせりでコーディネートしてくれる「ふるさと島根定住財団 」もあり。
極上のシーフードがとれる港町でのスローライフに惹かれたら、ぜひ永見さんのお店を訪ねてみてください。
- DATA
永幸丸
Instagram:https://www.instagram.com/iwagaki_eikoumaru/
Facebook:https://m.facebook.com/%E6%B0%B8%E5%B9%B8%E4%B8%B8-103288308783717/?ref=page_internal
食べチョク:https://www.tabechoku.com/producers/24173
島根県ふるさと納税返礼品:https://www.furusato-tax.jp/city/product/32000
<直売所・飲食店「永幸丸Rock Oyster Terrace」>
住所:島根県松江市島根町野井678-4
予約・お問い合わせ:080-6379-9324
営業時間:10:00~15:00 (L.O.14:30)
営業日:日曜
※岩牡蠣のシーズン以外は要予約(InstagramのDM または TEL)
※営業情報はInstagram を参照
※冬季は雪や強風のため休業多し
<漁業の体験・移住などのご相談>
ふるさと島根定住財団:https://www.teiju.or.jp/
取材協力・
写真提供:
永幸丸/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)