毎日のヘアアイロンを使っていて、毛先がパサつくといった悩みを抱えていないでしょうか?
中には、ドラッグストアでダメージ補修と書かれたシャンプーを実際に使っている方もいるかもしれません。
しかし、実際に使ってみても効果が実感できないと感じている方が少なくないでしょう。
じつは、熱によって硬くなってしまった髪を、市販のシャンプーだけで元通りに補修できません。
今回は、市販シャンプーのみのケアでは満足できない理由と、その根本原因である熱ダメージの正体、さらに頭皮環境の関係についても解説します。
さらに、熱に負けない健康な髪を育むための本当のシャンプーの選び方と、今日からできる予防のためのヘアケアについてもチェックしてみてください。
市販の熱ダメージケアシャンプーで満足できない理由
よくドラッグストアには、ダメージ補修を謳う商品が数多く並んでいると思います。
ところが、実際に使ってみると「期待したほどの効果が得られなかった」という経験をした方は少なくないでしょう。
しかし、これは必ずしもその商品が粗悪だからではありません。
市販のシャンプーが持つ役割と、熱ダメージの深刻さとの間にギャップがあることが主な原因です。
以下では、なぜ市販のシャンプーだけでは熱ダメージのケアが難しいのか、その理由とシャンプーの正しい役割について解説します。
市販シャンプで熱ダメージの補修を実感しにくい理由
なぜ、市販のダメージケアシャンプーを使っても、髪の悩みは解決しにくいのでしょうか?
その背景には、熱ダメージ特有の性質と、市販品の設計上の限界があります。
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- 髪の内部ダメージが深刻であるため:市販のシャンプーだけで、髪の内部構造に変化させるだけのダメージ修復効果は期待できない。
- 表面的なコーティングが中心であるため:多くの市販品は、シリコンなどのコーティング成分がメインで配合されている傾向がある。
- 補修成分の濃度が限定的であるため:市販品は価格や安定性を重視するため、補修成分の濃度が控えめな場合がある。
熱ダメージを受けた髪の状態や、傷みやすい人の特徴については、以下の記事でも詳しく解説しています。
※参考:傷んだ髪になりやすい人を知ってる?ケアの方法と唯一の予防法
髪が熱で傷むメカニズム「タンパク質変性」
髪の主成分は、ケラチンというたんぱく質です。
このたんぱく質は熱に弱く、高温が加わると構造が変化して固まってしまう性質があります。
これが一般的にいう「タンパク質変性」です。
わかりやすい例として、生卵をイメージしてみてください。
生卵に熱を加えると、固まって「ゆで卵」になります。
しかし、一度ゆで卵になってしまったものは、どんなに冷やしても元の生卵に戻りません。
髪もこれと同じです。
ドライヤーやヘアアイロンの熱で一度タンパク質変性を起こし、硬くゴワゴワになってしまった髪は、二度と元のしなやかな状態には戻りません。
これが、市販のシャンプーなどで後から補修しようとしても限界がある理由です。
だからこそ、変性を起こす前の予防が何より重要であるという点を忘れないでおきましょう。
シャンプーの本来の役割
「シャンプーには何も期待できないのか?」と、中にはがっかりされた方もいるかもしれません。
しかし、大切なポイントはそこではありません。
意識するべきポイントは、シャンプーに求める役割です。
シャンプーの本来の役割は、ダメージを補修することではありません。
汚れを落として頭皮の状態をリセットする点にあります。
- シャンプーの役割
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- 頭皮と髪の汚れを落とす:皮脂、汗、ほこり、そして日々のスタイリング剤などを洗い流して清潔にする。
- 頭皮環境を整える:毛穴の詰まりを防ぎ、これから生えてくる髪が健やかに育つための土台を作る。
- 次のケアの準備をする:髪の表面についた汚れを落として、その後に使うトリートメント成分が浸透しやすい状態を作る。
つまり、シャンプーは髪を治すための薬ではなく、髪と頭皮を健やかに保つために洗浄を行うです。
熱ダメージを悪化させないシャンプー選びと洗い方
熱で傷んだ髪をケアするための第一歩は、特別なトリートメントを買うことではありません。
毎日の洗浄によるダメージをゼロに近づけてください。
ここでは、熱変性を起こしたデリケートな髪に最適な洗浄成分の選び方と、キューティクルを守りながら洗うための具体的な手順について解説します。
シャンプー選びの基本は洗浄成分が最優先
シャンプーの役割が洗浄である以上、熱ダメージに悩む方が最も重視すべきなのは、補修成分の有無よりも洗浄成分の質です。
熱ダメージを受けた髪は、キューティクルが剥がれかけ、非常にデリケートな状態になっています。
ここで洗浄力の強すぎるシャンプーを使うと、必要な油分や水分まで奪い取り、乾燥やパサつきがひどくなるかもしれません。
そのため、髪と頭皮への負担が少ないマイルドな洗浄成分を選びましょう。
- 熱ダメージ毛におすすめの洗浄成分
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- アミノ酸系(ココイル~、ラウロイル~など):髪のたんぱく質を守りながらやさしく洗う。
- ベタイン系(コカミドプロピルベタインなど):刺激が少なくて、保湿効果も期待できる。
これらのやさしい洗浄成分で髪を洗った場合、これ以上のたんぱく質の流出や乾燥を防げるようになるでしょう。
補修はトリートメントに任せ、シャンプーでは洗浄を目的に使用するという意識で使用してください。
詳しい洗浄成分の種類や選び方については、こちらの記事を参考にしてください。
※参考:シャンプーは洗浄成分で変わる!正しい選び方とそれぞれの特徴まとめ
【予防策】正しいシャンプーとドライヤーの方法
熱によるタンパク質変性を最小限に抑えるには、毎日の洗い方と乾かし方の見直しが最も効果的と言えます。
- ダメージを防ぐ正しいシャンプー方法
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- 予洗いを徹底する
- 泡でやさしく洗う
- すすぎ残しをなくす
まずは36〜38℃のぬるま湯で素洗いし、汚れの大半を落としましょう。
シャンプー剤は手で泡立ててから乗せ、指の腹を使って摩擦を防ぎつつ洗います。
最後はぬめりがなくなるまで流し、頭皮トラブルを回避してください。
- 熱負担を減らすドライヤーの使い方
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- タオルドライで水分を取る
- 根元から乾かし、熱を分散させる
- 最後は冷風で仕上げる
水滴が垂れない程度まで拭き取り、ドライヤーの時間を短縮します。
温風は15cm以上離し、ドライヤーを振りながら根元中心に当ててください。
8割乾いた時点で冷風に切り替えると、キューティクルが引き締まりツヤが出せます。
熱ダメージの予防と集中補修には、アウトバストリートメントが必須
熱ダメージを受けた髪にとって、シャンプー選びはこれ以上傷めないための守りのケアとして非常に重要です。
しかし、それだけでは熱から守ることや、すでに傷んでしまった部分を補修するには物足りません。
そこで、シャンプーの洗浄力をマイルドなものに見直した上で、プラスアルファのケアとして必ず取り入れたいのが、洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)の活用です。
以下では、なぜ熱ダメージ対策にアウトバストリートメントが必須なのか、その理由と具体的な役割について解説します。
シャンプーだけでは熱ダメージを防ぎきれない理由
ダメージケアシャンプーを使っていれば、アイロンを使っても大丈夫だとは思っていないでしょうか?それは大きな誤解です。
その大きな理由は、シャンプーの主な役割があくまで洗浄だからです。
そのため、ドライヤーやアイロンの高温から髪を守る機能は、シャンプーには基本的に持っていません。
もともと、髪は一度傷んでしまうと自然治癒しないため、シャンプーで髪をl洗っただけでは、ダメージを受けた髪の毛は元に戻らないでしょう。
特に、髪が濡れたまま高温のアイロンを当てると、内部で水分が沸騰して爆発する水蒸気爆発という現象が起き、深刻なダメージにつながります。
このような物理的なダメージを防ぐには、洗うケアだけでは限界があると思っておきましょう。
日々のアイロン使用によるリスクについては、以下の記事も参考にしてください。
※参考:ヘアアイロンを毎日使うのはダメ?毛先のトラブルが起きるリスクが高まるのは間違いなし
役割1:ドライヤーやアイロンの熱から髪を守る保護
シャンプーではカバーしきれない熱からの保護を担うのが、アウトバストリートメントの最大の役割です。
お風呂上がりに、タオルドライ後の髪になじませておきましょう。
これだけでも、髪の表面に保護膜を作ります。
この膜がバリアとなり、ドライヤーやアイロンの熱が直接髪に伝わるのを和らげてくれるでしょう。
特に、熱によって髪内部の水分が蒸発しすぎるのを防ぐため、仕上がりのパサつきや乾燥を抑える効果があります。
また、キューティクルをコーティングできるため、熱ダメージによる枝毛や切れ毛の発生リスクも軽減できる点もアウトバストリートメントを使用する大事な要素のひとつです。
毎日のドライヤー前やアイロン前にひと手間加えるましょう。
これが、髪の健康を守るための最も確実な予防策となります。
役割2:寝ている間に補修成分を浸透させる集中ケア
アウトバストリートメントには、予防だけでなく、日中受けたダメージをケアする集中補修という重要な役割もあります。
お風呂の中で使うトリートメントは洗い流してしまいますが、アウトバストリートメントは髪につけたまま眠れるという点が大きなメリットです。
そのため、寝ている長い時間を活用して、補修成分を髪の内部へじっくりと浸透できるでしょう。
また、寝ている間は枕やシーツとの摩擦が起きやすく、無防備な髪にとってはダメージの原因となります。
だからこそ、アウトバストリートメントの出番です。
表面をコーティングできるため、この摩擦ダメージからの予防に役立ちます。
夜の間にたっぷりと栄養を与え、摩擦から守るケアができていれば、翌朝の髪のまとまりや手触りが大きな違いが生まれるはずです。
より本格的な補修ケアに興味がある方は、以下の記事もぜひご覧ください。
※参考:「ケラチン原液」を使いこなす!ヘマチンとの併用でサロン級ケアを実現する方法
熱ダメージに負けないための土台作りにはスカルプケアも必要
アウトバストリートメントを使って髪を守り、補修することは非常に大切です。
しかし、それだけでは根本的な解決になりません。
傷んだ髪をいくらケアしても、新しく生えてくる髪自体が弱ければ、またすぐに熱ダメージを受けてボロボロになってしまうでしょう。
このイタチごっこを防ぐために必要になるものが、これから生えてくる髪のためのスカルプケアです。
ダメージヘアの人が見落としがちな頭皮の健康
熱ダメージに悩む際、毛先のパサつきや枝毛ばかりに目が行きがちかもしれません。
しかし、じつは頭皮もドライヤーやヘアアイロンによる熱の影響を強く受けています。
高温の熱は髪だけでなく頭皮の水分も奪い、乾燥を引き起こしてしまうでしょう。
頭皮が乾燥して弱ると、以下のようなトラブルにつながります。
- 頭皮が乾燥して起こるトラブルの一例
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- 血行不良:毛根に十分な栄養が届かなくなる。
- 皮脂トラブル:バランスが崩れ、毛穴詰まりや炎症の原因になる。
土台である頭皮が不健康では、新しく生える髪も細く、ダメージを受けやすくなります。
髪のケアと同じくらい、熱にさらされている頭皮の健康も気遣ってください。
スカルプケアがきれいな髪の土台となる理由
では、なぜきれいな髪を育てるためにスカルプケアが重要なのでしょうか?
これはよく畑と作物の関係に例えられます。
栄養がなく荒れ果てた畑からは、立派でおいしい野菜が育ちません。
それと同じように、頭皮環境が整っていなければ、きれいで強い髪は育たないでしょう。
逆に言えば、畑である頭皮が健康で潤っていれば、そこから生えてくる髪もハリやコシがあり、熱ダメージにも負けない強さを持てるようになります。
スカルプケアによって頭皮を保湿し、良い状態に整えておきましょう。
これが、これから生えてくる髪を強くしなやかにするための根本的な土台作りそのものです。
未来の髪のために補修と土台ケアを始めよう
ドライヤーやアイロンの熱によるダメージは、髪の内部が固まってしまう「タンパク質変性」という深刻な状態です。
一度硬くなってしまった髪を、市販のシャンプーだけで元のしなやかな状態に戻せません。
そのため、ケアの視点を変える必要があります。
熱ダメージに負けないきれいで強い髪を育むために必要なのは、大きく分けて2つのアプローチです。
まずは、アウトバストリートメントを活用して、今ある髪を熱から守り、ダメージを補修しましょう。
そして、スカルプケアで頭皮環境を整え、これから生えてくる未来の髪のための強い土台作りです。
今のケアの積み重ねが、数ヶ月後、数年後のあなたの髪質を決めます。
ぜひ今日から、髪の表面だけでなく、その土台まで見据えた本質のケアを始めてみてはいかがでしょうか?
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