季節の変わり目の抜け毛は大丈夫？考えられる原因と今日から始める予防・対策

薄毛

2025年11月14日

特に春や秋といった季節の変わり目に、朝起きたら枕についた抜け毛の数に、思わずハッとしたという経験はないでしょうか？
「もしかして、このまま薄毛になってしまうのでは」と、鏡を見るたびに不安な気持ちがよぎるかもしれません。

しかし、安心してください。
多くの場合、季節の変わり目に起こる抜け毛は、誰にでも起こりうる一時的で自然な現象です。

ただし、その中には、放置すると進行してしまう「危険な抜け毛」のサインが隠れているケースもあります。

以下では、あなたの抜け毛が心配のいらないものか、それとも注意が必要なものか、ご自身で見分けるための具体的な方法を解説します。

さらに、なぜ季節の変わり目に髪が抜けるのかという根本的な原因から、今日からすぐに始められる効果的な予防・対策まで、あなたの疑問と不安に応えるように内容をまとめました。

季節の変わり目に抜け毛が増える原因

お風呂の排水溝や、朝起きた時の枕元を見て、抜け毛の量が急に増えて不安に感じた経験はないでしょうか？
もしそれが春や秋といった季節の変わり目であれば、多くの人が経験する一時的な現象かもしれません。

以下で、季節の変わり目に抜け毛が増える原因について、その主な原因を詳しく解説します。

人間にもある「換毛期」とヘアサイクルの乱れ

季節の変わり目に抜け毛が増える理由の一つに、人間にも動物の「換毛期」のような性質がわずかに残っていることが挙げられます。
そのため、過度に心配する必要はありません。

髪の毛には寿命があり、以下のようなサイクルを繰り返しながら、常に生え変わっています。

髪の毛のサイクル

成長期
退行期
休止期

これを「ヘアサイクル」と呼びます。

普段、このサイクルはそれぞれの髪の毛でバラバラに進むため、全体の毛量は一定に保たれています。

しかし、季節の変わり目には、気温や日照時間といった外部環境の変化が刺激となり、このヘアサイクルが一時的に乱れてしまうケースがあります。
普段は一本一本バラバラに生え変わっていた髪が、同じタイミングで一斉に「休止期」（抜け落ちる準備期間）に入ってしまう可能性が高くなってしまうでしょう。

これが、一時的に抜け毛が増えたと感じるメカニズムです。
体が季節の変化に適応しようとする過程で起こる、自然な現象の一つと言えるでしょう。

寒暖差が引き起こす自律神経とホルモンバランスの乱れ

季節の変わり目に特有の急な気温の変化、いわゆる「寒暖差」も、抜け毛が増える原因の一つです。

私たちの体は、体温や血流などを無意識のうちに調整する「自律神経」の働きによって、常に一定の状態を保っています。
しかし、寒暖差が激しいと、体はこの変化に対応するために自律神経を過剰に働かせなくてはいけません。

その結果、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

自律神経が乱れた場合、血管が収縮して血行が悪化しやすくなるでしょう。
頭皮の毛細血管は非常に細くなっているため、血行不良の影響を受けやすい部分です。
血行が悪くなると、髪の成長に不可欠な栄養素が毛根まで十分に行き渡らなくなり、髪が弱って抜けやすくなります。

また、こうした体が環境の変化に適応しようとする過程は、一種の身体的なストレスとも言えます。
このストレスが、髪の成長を支える女性ホルモンなどのバランスに影響を与え、抜け毛の一因となると言えるでしょう。

蓄積されたダメージと生活環境の変化によるストレス

ヘアサイクルや自律神経の乱れに加え、特定の季節に抜け毛が増えるのには、より直接的な原因も考えられます。

特に抜け毛が増えやすいとされる秋と春には、それぞれ特徴的な要因があるので意識してみましょう。

季節の変わり目に抜け毛が増える原因の一例

秋の抜け毛：数ヶ月前の夏に浴びた紫外線が、秋に抜け毛が増える原因の一つ。強い日差しは頭皮にダメージを与えて毛根を弱らせる。ヘアサイクルが乱れて数ヶ月後の秋頃に、抜け毛が増加する。
春の抜け毛：冬の間の空気の乾燥によって。頭皮がダメージを受けた影響が春の抜け毛が増える原因の一つだと考えられる。また、自分では気づかないうちに溜まったストレスも、抜け毛を起こす一因となるケースもある。

このように、季節の変わり目の抜け毛は、ヘアサイクルの自然なリズム、寒暖差による体の変化、過去に蓄積されたダメージ、そして生活環境のストレスといった、様々な原因が複合的に絡み合って起こると考えられています。

季節の変わり目の抜け毛と危険な抜け毛の見分け方

季節の変わり目に抜け毛が増えると「このまま薄毛になってしまうのではないか」と不安になる方も少なくないでしょう。
しかし、その多くは一時的なものです。

以下では、心配のいらない「季節性の抜け毛」と、注意すべき「危険な抜け毛」の具体的な見分け方を解説します。

まずは知っておきたい「季節性の抜け毛」の主な特徴

抜け毛が増えたと感じても、すぐに心配する必要はありません。
まずは、多くの場合は問題のない「季節性の抜け毛」の主な特徴を知り、ご自身の状態と比べてみましょう。

季節性の抜け毛の特徴

1〜2ヶ月で落ち着く：季節性の抜け毛は、体が新しい季節に適応するまでの一時的な現象。
1日あたり50〜100本程度で落ち着く：健康な人でも、1日に50〜100本程度の髪は自然に抜けているため、正常なヘアサイクルの結果と考えて問題ない。
白く、丸みを帯びている：抜け落ちた髪の根元が白く、マッチ棒の先のように丸みを帯びた「棍棒状」をしていれば、正常な抜け毛である可能性が高い。

もし、ご自身の抜け毛がこれらの特徴に当てはまるなら、それは一時的な季節性の抜け毛である可能性が高いと言えます。

注意すべき「危険な抜け毛」にみられるサイン

一方で、季節性のものとは異なる、放置すると薄毛につながる可能性のある「危険な抜け毛」も存在します。
以下のようなサインが見られる場合は、注意しましょう。

薄毛に繋がる抜け毛の特徴

期間と本数：1日に200本以上という抜け毛が多い状態が、3ヶ月以上経ってもおさまる気配がない場合。
毛根の形：毛根自体が見当たらない場合や、毛根が黒くて細く尖っているといった場合は、頭皮環境の悪化やヘアサイクルの乱れが起きているサイン。
抜ける毛の質：まだ成長途中であるはずの「細く短い、弱々しい毛」がたくさん抜ける場合は特に注意が必要。ヘアサイクルの『成長期』そのものが短くなっている。
その他の症状：抜け毛だけでなく、「生え際や頭頂部など、特定の場所だけが薄く感じる」場合や、「フケやかゆみ、頭皮の赤みが長期間続いている」場合も、頭皮で何らかのトラブルが起きている可能性が高い。

これらのサインが一つでも当てはまる場合は、単なる季節性の抜け毛ではないかもしれません。
セルフケアだけで解決しようとせず、一度専門家へ相談してみましょう。

【簡単セルフチェック】4つのポイントで抜け毛を観察しよう

ご自身の抜け毛がどちらのタイプに近いか、以下の4つのポイントで観察してみましょう。
シャンプー後やブラッシングの際に抜け落ちた髪を数本集めて、チェックしてみてください。

1. 毛根の形

心配の少ない「季節性の抜け毛」：白く、丸みを帯びている
注意が必要な「危険な抜け毛」：黒い、細く尖っている、または毛根がない

2. 抜ける量と期間

心配の少ない「季節性の抜け毛」：一時的に増えるが、1〜2ヶ月で落ち着く
注意が必要な「危険な抜け毛」：3ヶ月以上、明らかに多い状態が続く

3. 抜ける毛の質

心配の少ない「季節性の抜け毛」：太く、しっかりとした毛が中心
注意が必要な「危険な抜け毛」：細く、短い弱々しい毛が多く混じる

4. 頭皮の状態

心配の少ない「季節性の抜け毛」：特に異常はない
注意が必要な「危険な抜け毛」：赤み、かゆみ、フケなどが続いている

このチェックリストで、「注意が必要な抜け毛」の項目に多く当てはまる場合は、次で紹介する内容を参考に、適切な対応を検討しましょう。

チェック結果でわかる、今すぐやるべきこと

セルフチェックの結果はいかがでしたでしょうか？
ご自身の抜け毛のタイプに合わせて、次に取るべき行動を確認しましょう。

前のページのチェックリストで「心配の少ない季節性の抜け毛」の項目に多く当てはまった場合は、過度に心配する必要はありません。
それは、体が季節の変化に対応している過程で起こる、一時的な現象である可能性が高いからです。

ただし、これを機に頭皮環境や生活習慣を見直しておくと、次に生えてくる髪を健やかに育てるために非常に大切です。
以下で紹介する、今日から始められる予防・対策ケアにぜひ取り組んでみてください。

逆に、もし「注意が必要な危険な抜け毛」のサインに多く当てはまった場合は、セルフケアだけで解決しようとせず、一度専門家へ相談しましょう。

その抜け毛は、AGA（男性型脱毛症）やFAGA（女性型脱毛症）、あるいは頭皮の疾患といった、専門的な治療が必要なサインかもしれません。
これらの場合は、早期発見・早期対策が非常に重要となります。
なるべく早く、皮膚科や薄毛治療を専門とするクリニックを受診してください。

※参考：女性の薄毛であるFAGA（女性男性型脱毛症）とは？治療法と対策の違い

季節の変わり目の抜け毛が続く期間の目安

抜け毛が増え始めると、最も気になるのが「この状態がいつまで続くのか」という点ではないでしょうか？
終わりが見えないと、不安も大きくなってしまいます。
以下では、季節性の抜け毛が落ち着くまでの一般的な期間と、注意すべきサインについて解説します。

抜け毛が落ち着くまでの期間は「1～2ヶ月」が目安

まず結論からお伝えすると、季節の変わり目に増える抜け毛は、通常1〜2ヶ月程度で自然に落ち着くケースがほとんどです。

これは、気温の変化などによって一時的に乱れた自律神経やヘアサイクルが、体が新しい季節に慣れていくとともに、正常な状態に戻っていくために必要な時間と考えると良いでしょう。

もちろん個人差はありますが、多くの場合、特別な治療などをしなくても2ヶ月ほど経てば抜け毛の量は普段通りに戻る、一時的な現象です。
まずは焦らず、様子を見ておいてください。

特に抜け毛が増えやすいのは「春」と「秋」

一年の中でも、特に抜け毛が増えやすいと感じる季節は「春（3〜5月頃）」と「秋（9〜11月頃）」と言われています。
これは、前の季節に受けたダメージが関係しているためです。

季節の変わり目ごとの特徴の違い

秋の抜け毛：夏の間に浴びた強い紫外線のダメージが、頭皮や毛根に蓄積した結果として抜け毛が増える。
春の抜け毛：冬の間の空気の乾燥によるダメージが影響していると考えられる。春は生活環境が変わりやすい時期でもあるため、知らず知らずのうちに溜まったストレスも、抜け毛が増えるとも言われている。

このように、抜け毛の症状は、その原因となった季節から少し遅れて現れる傾向があります。
ご自身の抜け毛が増えた時期と、その前の季節の過ごし方を思い返してみると、原因の見当がつくかもしれません。

2ヶ月以上続く、量が異常に多い場合は専門医へ相談を

季節性の抜け毛は一時的なものですが、セルフケアの範囲を超える「危険なサイン」もあります。
以下の基準に当てはまる場合は、注意が必要です。

危険なサインの見極める目安

期間：抜け毛の多い状態が「2ヶ月以上」経っても、全く落ち着く気配がない。
量：明らかに異常な量（1日に200本以上など）の抜け毛が、毎日続いている。

もしこれらのサインが見られる場合、その抜け毛は単なる季節性の影響ではなく、AGA（男性型脱毛症）やFAGA（女性型脱毛症）、あるいは頭皮の疾患といった、別の原因が隠れているのかもしれません。

このような状態を自己判断で放置してしまうと、症状が進行してしまう可能性があります。
「抜け毛がひどい」と感じて不安な方は、一度、皮膚科や専門のクリニックを受診してみてください。

※参考：抜け毛がひどいと感じる女性は冷静に！病院に行く前に確認するべきポイント

季節の変わり目の抜け毛を予防するための対策

季節性の抜け毛は一時的なものだと分かっても、できる限り抜け毛を減らし、次に生えてくる髪を健康に育てたいと感じる方も少なくないのではないでしょうか？。

幸い、日々のセルフケアを少し見直すだけでも、抜け毛の予防と対策が可能です。
以下では、すぐに始められる具体的なケア方法をご紹介します。

【外側からのケア】頭皮環境を整える「守り」のヘアケア

健やかな髪は、健康な頭皮という土台から育まれます。
季節の変わり目のゆらぎやすい時期こそ、頭皮を直接いたわる「外側からのケア」を意識しましょう。

外側からのヘアケアの一例

正しいシャンプーと保湿：やさしく洗えるアミノ酸系のシャンプーなどを使うのがおすすめ。洗う際は爪を立てず、頭皮マッサージをするように洗うこと。お風呂上がりには保湿ローションを付ける。
紫外線対策：紫外線によるダメージは乾燥や炎症を引き起こし、抜け毛の原因にもなり得るため、日中の外出時には帽子や日傘、髪や頭皮に使えるUVカットスプレーなどを活用する。
頭皮マッサージの習慣化：頭皮の血行を促進し、髪の成長に必要な栄養を毛根まで届けるために、頭皮マッサージを習慣化する。

※参考：頭皮マッサージで大事なのは○○？おすすめのアイテムと選び方まで紹介

これらの外側からのケアは、頭皮を健やかに保つための基本です。
まずはご自身のヘアケア習慣の見直しから始めてみてください。

【内側からのケア】食事・睡眠・ストレス管理を見直す

健やかな髪は、健康な体から作られます。
頭皮への直接的なケアとあわせて、生活習慣全体を見直し、ヘアサイクルや自律神経の乱れを整えるための抜け毛対策には不可欠です。

内側からのヘアケアの一例

バランスの良い食事を心がける：髪の主成分となる「たんぱく質」、髪の成長をサポートする「亜鉛」、頭皮の血行を促す「ビタミン類」を意識して摂取する。
質の良い睡眠を確保する：髪の成長を促す「成長ホルモン」は睡眠中に分泌されるため、睡眠不足は避ける。毎日決まった時間に眠り、十分な睡眠時間を確保すること。
ストレスと上手に付き合う：過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、頭皮の血行不良を引き起こすため、ウォーキングなどの適度な運動を取り入れるなどのリラックス方法を見つける。

※参考：運動不足だと薄毛になる？体を動かさない現代人の問題を解決する方法

このように、日々の食事や睡眠、心の状態は、巡り巡って頭皮の健康に直結します。
外側からのケアと内側からのケア、両方を意識できれば、季節の変わり目であっても揺らぎにくい、丈夫な髪を育てられるでしょう。