〈epoの本棚〉シンプルを考える3冊

新しい扉を開き、漠然とした思いに風穴を開けてくれる読書の時間。今回は、装飾を削ぎ落とした本質や、原点回帰の大切さに気付かせてくれる、「シンプル」がキーワードの3冊を紹介します。洗練の極みこその豊かさを考えてみては？

素朴でストレートな表現が、忘れかけていた感情の刺激に

「原初的なものはもちろん、経験や手入れを経たシンプルもある。そんな視点で選びました。」（選書：FOLK old book store　吉村 祥さん）

「『和田誠展』公式図録」
和田誠展制作チーム 編集
4,400円（税込）／ブルーシープ

イラストレーター、デザイナー、映画監督、エッセイスト、装丁家などとして活躍した和田誠さんの、作品、生涯、言葉を収録。
「幼少期からの膨大な量の作品をまとめた500ページを超える図録（分厚い！）。『シンプル』の中に感じる奥行きの正体が知りたくて、何度でも手に取りたくなります。」

「小林カツ代COOK BOOK 300」
小林カツ代 著、本田明子 監修
1,540円（税込）／新泉社

「簡単・早い・おいしい」がモットーの、300品以上のカツ代流レシピを掲載。無駄のない賢い知恵とコツが随所にきらり。
「素朴で身近な料理ばかり。写真も無く文章で淡々と紹介される調理法を目で追うのが楽しく、ときどき差し込まれるケンタロウさんの絵も味があっていいです。」

「目であるく、かたちをきく、さわってみる。」
マーシャ・ブラウン 文と写真、谷川俊太郎 訳
1,650円（税込）／港の人

絵本作家ならではのみずみずしい視点が光る写真、優しく語りかける言葉、そして美しい日本語訳に魅了される写真絵本。
「幼い頃には毎日感じていたはずの、見たり触れたり知りたいと思う感覚や、忘れてしまっていた新鮮な驚きを、わかりやすい言葉と写真で思い出させてくれます。」

作品集、料理書、写真絵本と、三者三様の表現が楽しめる3冊を紹介しました。「シンプル」をキーワードに選ばれた本から、余計なものを削ぎ落とした、自分本来の感情に気が付けるかもしれません。ぜひ、本選びの参考にしてみてください。