牡丹の最盛期の4月中旬~5月上旬には、島と庭園が一面の牡丹で埋め尽くされる。
特にGW期間中のイベント“池泉牡丹(ちせんぼたん)”は、池に浮かぶ3万輪もの牡丹が圧巻。
~ 目次 ~
日本一の牡丹の生産地に広がる、牡丹づくしの絶景庭園。
「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹」という言葉のように、女性の美しい姿と仕草を象徴する花・牡丹。
そんな美しい牡丹を1年中楽しめる庭園が、松江から車で約25分の大根島(だいこんじま)にあります。
『由志園(ゆうしえん)』。
約300種類もの牡丹と、四季折々に咲き乱れる花々を楽しめる、夢のような空間です。
牡丹の最盛期の4月中旬~5月上旬はもちろん、シーズンオフでも1年中牡丹が開花。
屋内庭園『牡丹の館』を備え、独自の特殊な技術で常春の光景を造り上げています。
日本一の栽培技術を誇る島で、牡丹の魅力を魅せる。
『由志園』ができたのは、昭和50年4月。
穏やかな中海にたたずむ風光明媚な大根島に魅せられた初代園主・門脇栄氏が、
「この地の観光の一助になりたい」と志し、「和」「寂」「趣」「彩」のコンセプトで作庭しました。
もともと大根島は、日本一の牡丹の生産地でした。
現在も年間約120万本もの苗が販売および輸出されており、
世界的にも最高峰の栽培技術を誇っています。
そこで生み出される牡丹は、一重から八重、赤から黄色、紫、白、
はては漆黒に近いものまでと、実に多彩。
優れた栽培と品種改良の技術を目の当たりにできる“牡丹の聖地”として、
花好きの間では知る人ぞ知る存在なのです。
そんな“牡丹の島”の魅力を、余すところなく伝えてくれる『由志園』。
花好きなら一度は訪れておきたいスポットです。
春 ~ 1年でもっとも華やぐ牡丹と花々の季節 ~
四季を通じて華やかな光景が楽しめる『由志園』ですが、やはり最も花が豊富なのは春です。
2月下旬~3月初旬に咲き始める河津桜に、3月下旬~4月中旬に競い咲くチューリップ。
『由志園』のチューリップは、牡丹にそっくりな多弁咲きで「牡丹咲きチューリップ」と呼ばれています。
これも約3万輪もの本数(2019年時点)で、満開時の光景は圧巻!
牡丹の先駆けとして、訪れた人々の目を楽しませてくれます。
さらに4月中旬~5月上旬には、いよいよ牡丹の最盛期を迎えます。
それを過ぎると、牡丹によく似た芍薬がすぐに見頃に。
新旧の貴重な品種や、その年ごとの流行種などを交えて、こちらも華やかな姿を見せてくれます。
同じ頃に咲き誇る藤・ツツジ・サツキなども相まって、『由志園』は引き続き多くの人々で賑わいます。
そして庭園の緑が日々色を増していき、陽射しのまぶしさがどんどん強くなってくると、
水と緑が美しい季節・夏がやってきます。
夏 ~ 緑と水がまぶしい輝きの季節 ~
初夏の『由志園』を彩るのは、6月上旬から下旬にかけて咲き誇る花菖蒲です。
白・紫・ピンクなどの花々が、梅雨でけぶりがちな空の下でも清々しい姿を見せてくれます。
そして6月中旬~7月中旬には、やはり清々しい色彩の紫陽花(あじさい)が最盛期に。
石畳の小径沿いに揺れる姿は、まるで来訪者に語りかけてくるかのような愛らしさです。
さらに、この季節は庭園の緑が最も美しく輝く頃でもあります。
ドライミストの噴霧による瑞々しい「雲海庭園」なども見られ、緑のコントラストがまぶしい日本庭園の醍醐味に浸れます。
秋 ~ 紅葉が燃える日本庭園の極致 ~
続く秋には、庭園の各所に植えられた紅葉が真っ赤に色づきます。
見頃は11月中旬~12月上旬で、この頃には夜間ライトアップが行われます。
夜闇と水面に映える赤は、決して忘れられない鮮烈な印象。
さらに日に日に寒さが増していくと、落葉した紅葉が地面の上でも輝く“下紅葉”に。
一面が赤に燃え立つ光景は、まるで別世界に迷い込んだかのようです。
冬 ~ 健気に咲く寒牡丹に侘び寂びの境地を見る ~
森閑とした寒さに閉ざされる冬でも、『由志園』の華やぎは変わりません。
霜よけの“薦(こも)”に守られて咲く「寒牡丹」は、この時季ならではの風物詩。
冬に開花するように改良された露天の「冬牡丹」と共に、雪景色の中でも健気な美しさを見せてくれます。
これらと競演する壮麗なイルミネーションや、
牡丹の奥深い魅力を伝える国内外のアーティストとのコラボ展なども、多数開催。
冬ならではの楽しみで、変わらず人々を惹きつけてくれます。
3つの食事処でくつろぎながら、庭園をゆったりと鑑賞。
こうした四季折々の風情を楽しむためにも、滞在時間はしっかり確保したいところ。
そんなニーズを叶えるために、『由志園』は豊富な食事処を備えています。
食事処「日本料理『竹りん』」で供されるのは、大根島と山陰ならではの和食。
日本海や宍道湖で獲れた近海物の魚介・肥沃な黒ボク土で育まれた大根島特産の野菜・数百年の栽培の歴史を誇る牡丹と並ぶ特産品の「雲州人参(高麗人参)」などなど、旬の恵みをふんだんに取り入れています。
メニューは大根島の在来種(その土地独自の品種)を使った手打ち蕎麦や、
季節の恵みを惜しみなく盛り付けた特製弁当、“宍道湖七珍(しんじこ しっちん)”のひとつに数えられているうなぎ料理など。
目にも美味しい季節の味が、訪れるたびに楽しめます。
さらに予約制の「料亭『菖蒲』」・「お食事処『紅葉』」・「お食事処『禅』」もあり。
これらでは、山陰名物の「蟹会席」や、薬膳と美味を両立させた・「雲州人参会席」などなど、
これまた大根島ならではの料理を味わえます。
大根島ならではのお土産を、麗しい記憶と共に持ち帰る。
美しい庭園と美味しい料理を堪能した後は、ショッピングの楽しみもあります。
牡丹にまつわる多彩なグッズをはじめ、健康に良いと評判の「雲州人参」の商品も販売。
「高麗人蔘液」や「高麗人蔘粉末」をはじめ、トラブル肌や乾燥肌にやさしい「高麗人蔘入り石鹸(100g×2個入セット)」・粉末スープ・飴など、お好みとライフスタイルに合わせて選べます。
さらに、もちろん牡丹苗の販売もあり。
華やかな大輪の花を、自宅に持ち帰って咲かせることができます。
苗はすべて説明書付きで、ガーデニング初心者でも安心。
専門の販売員が親切に解説してくれるので、分からないことは何でも訊ねてみましょう。
また、有機肥料100%の牡丹専用肥料も販売しているので、こちらもぜひ一緒に購入しましょう。
牡丹の育成に最適なバランスで、苗の栽培を助けてくれます。
- DATA
由志園
HP:http://www.yuushien.com/
住所:島根県松江市八束町波入1260-2
電話:0852-76-2255(代)
<庭園>
営業時間:
9:00~17:00(最終入園は閉園の30分前)
※夜間ライトアップ期間(8月・11月・12月・1月)は開園時間を延長(時間は要確認)
※4月・5月のGW期間中は18:00まで開園
休日: 年中無休
入園料:
一般/800円(レギュラーシーズン)・1,000円(ベストシーズン)・900円(夜間特別ライトアップ期間)
<駐車場>
大型バス50台 / 自家用車300台
<公共交通機関>
松江境港直行バス:
松江駅 ←→ 由志園 片道700円(約25分)
境港 ←→ 由志園 片道470円(約16分)
取材協力・
写真提供:
由志園/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)