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「やすぎどじょう」とは? 美味しくてヘルシーな島根県安来市の名物。
島根県の東、鳥取県との県境にある安来市(やすぎし)。
ここには「どじょうすくい踊り」という有名な民謡があります。
そんな「どじょうすくい踊り」にうたわれる『やすぎどじょう』を養殖して、地元と全国に出荷しているのが『やすぎどじょう生産組合』。
カルシウムやビタミンD・ビタミンB2・鉄・亜鉛・コラーゲン・各種ミネラルなどが豊富で、タンパク質もたっぷり含まれているのに低カロリー!
表面のヌルヌルにはコンドロイチン硫酸という、細胞の働きを活発にする成分も含まれています。
そんな栄養豊富さから、古くから滋養強壮や夏バテ対策に食べられてきました。
さらに『やすぎどじょう』は2~3ヵ月で食べられる大きさまで育つため、骨が柔らかくてクセのない味が特長。大きさにもよりますが、丸ごと食べられるのが魅力です。
さばかなくても料理できるので、柳川鍋やどじょう汁・どじょう丼などをご家庭でも簡単に作れます。
意外と美味しくて栄養たっぷりな「どじょう」。
うなぎに代わるエコなご馳走として、「土用のうなぎ」ならぬ「土用のどじょう」にいかがですか?
栄養たっぷりの伝統食材を復興。いろんな料理に合う「やすぎどじょう」。~ お取り寄せもOK! ~
「昔のことわざに‟うなぎ1匹、どじょう1匹”という言葉があります。すなわち『うなぎと同等の栄養がある』という意味で、現代科学で分析しても高い栄養価が含まれていることが分かっています。昔は田んぼに当たり前にいて、よく食べられていた身近な食材でしたが、地方の過疎化や農業の衰退によって徐々に姿を消してしまいました。また、食文化の欧米化によって多彩な食材があふれるにつれて、美味しくて栄養豊富などじょうを食べる機会も減ってしまいました」
こう語るのは、『やすぎどじょう生産組合』事務局長の仙田拓也さんです。
「かつてのどじょうのイメージは『泥臭く、骨も硬い』というものでしたが、『やすぎどじょう』は独自に開発した餌とこだわりの養殖方法で、クセのない身と柔らかい骨に育ちます。味はウナギのほうが美味しいかもしれませんが、『とても食べやすい!』とご好評をいただいております。昔から日本で食べられてきた『どじょう』という食材があるということだけでも、皆様に知っていただければ幸いです」
自らどじょうを育てて、その普及にも努めている『やすぎどじょう生産組合』。ここでは『やすぎどじょう』の活魚を直接買うことができます。
※オンラインショップあり
やすぎどじょう活魚(冷蔵) 500g 2,700円 / 1,000g 5,400円
ミネラルたっぷりの山水と、オリジナル配合の特別な餌で育てた新鮮などじょう。
身にクセがなく、骨は柔らかいのでそのまま美味しく料理できます。
※小・中・大サイズがあり / 大サイズはお好みにより下処理してください(内臓・骨抜きなど)
※どじょうのサイズはご注文時に選択可
料理前に必要な「泥吐き」も済ませてあるので、どんなレシピも楽々作れます。
定番の「柳川鍋」をはじめ、お好みの味付けの「どじょう丼」や、季節の野菜や油揚げ・豆腐・味噌などと煮込んだ「どじょう汁」など、アイデア次第でいろんなどじょう料理を楽しめます。
『やすぎどじょう生産組合』のホームページ には、ご家庭で作れるいろんなレシピが紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
苦難の末に養殖に成功! 「どじょう」が安来市の名物になるまで。
『やすぎどじょう』の養殖の歴史は古く、昭和30年代頃には第1期の養殖が始まりました。
時代は高度成長期。
日本の原風景たる田んぼの用水路が、土の水路からコンクリート水路に置き換えられて、生活排水などが川に流れ出すにつれて、川の魚はどんどん減っていきました。
「かつてどじょうは田んぼにいくらでもいましたが、この頃から激減してしまいました。そこで安来市は『貴重になったどじょうを観光資源にしよう!』と思いついたのです。もともと『安来節』という民謡があり、その中の『どじょうすくい踊り』が広く知られていたことから、『観るどじょうと踊るどじょうがあるなら、食べるどじょうも作ろうじゃないか』と、養殖が始まりました」
と、『やすぎどじょう生産組合』事務局長の仙田拓也さんは語ります。
ですが当時は知識や経験・技術が無いままにスタートしてしまったため、ほどなく失敗に終わってしまいました。
「どじょうは田んぼにたくさんいたのだから、養殖するのも簡単だろう」という思い込みのせいでした。
春から初夏にかけて、田植えと同時に田んぼにどじょうを放し、稲刈りの時期にどじょうを捕獲する――そんな安易とも言える方法で養殖を試してみたところ、捕獲する時期にはどじょうが田んぼに全くいませんでした。
そんなことを数年間くりかえし、成果が上がらないままに失敗が続いてしまいました。
そこで「どじょうの養殖は実は難しいのだ」と、安来市の人々は気づいたのです。これが安来市の「どじょう養殖」の第1期と第2期の顛末でした。
それから約30年後。
昭和60年に、いったんは頓挫した「どじょう養殖」の3度目の挑戦が始まりました。
最初の挑戦から長い年月が経っていたため、「どじょう養殖」の研究は全国的に進んでいて、知識や技術が確立されつつありました。
当時の安来市ではウナギ養殖が盛んに行われていて、それを行なっていた養鰻組合と安来市が、タッグを組んで「どじょう養殖」を再開したのです。
前回とは違い、どじょうの種苗生産(卵の人工ふ化から稚魚になるまでの飼育)に成功して喜んだのもつかの間。大量生産にはなかなか至りませんでした。
そうこうしているうちに、バブル崩壊などの影響もあって安来市の養鰻組合が解散してしまい、「どじょう養殖」も取りやめになってしまいました。
さらに約15年後の平成11年。
当時の安来市長が「もう一度『どじょう養殖』に取り組んでみよう!」と発案しました。ですが、これまで失敗続きだったことから、さまざまな反対がおきました。
それでも同年に「どじょう養殖」の協議会を立ち上げ、どじょう専用の餌の開発から、「どじょう養殖」の先進地への視察、養殖に必要な施設の充実など、「今回は絶対に失敗できない!」という想いで平成11年から15年にかけて、準備と研究を進めていきました。
そして平成15年。
どじょうの養殖農家たちによる『やすぎどじょう生産組合』の設立と、その本部に安来市の「どじょう研究所」を合体させた『やすぎどじょうセンター』が発足したのです。
約50年の歳月を経た4期目にして、ついに「どじょう養殖」が安来市で成功したのです。
そして現在。
『やすぎどじょう生産組合』は、毎年約100万匹(3トン弱)もの『やすぎどじょう』を育てて、地元だけでなく全国各地に出荷しています。北陸など、もともとどじょう料理が伝統だった地域でも『やすぎどじょう』をたくさん仕入れているほどです。
地元の安来市でも、一時期はヘルシーな栄養食として学校給食などに取り入れられていました。
多くの苦難を乗り越えて、その美味しさが知られるようになった『やすぎどじょう』。
日本の伝統的なヘルシー食材を、その歴史に想いをはせながら美味しく召し上がってみませんか?
- DATA
やすぎどじょう (やすぎどじょう生産組合)
HP:http://www.dojou.net/
オンラインショップ:http://www.dojou.net/hanbai/index.html
住所:島根県安来市西松井町112-1 やすぎどじょうセンター内
電話:0854-28-7521
営業時間:8:30~17:00
定休日:土・日・祝
※詳しくはホームページの営業カレンダーをご参照ください
取材協力・
写真提供:
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ライター:風間梢(プロフィールはこちら)