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菅谷たたら山内・鉄の歴史博物館|たたら製鉄の高殿が唯一現存!

2024年3月8日

菅谷たたら山内 かつて日本で栄えた「たたら製鉄」。
それが行われていた建物「高殿(たかどの)」が、日本で唯一現存しているのが島根県雲南市の吉田町です。

吉田町内には「たたら製鉄」の史跡がいくつも残っていて、「たたら製鉄」に携わっていた人々の子孫が今も暮らしています。

年に3回、本物の「たたら製鉄」も行われています。

吉田町のメインストリート「本町通り」には、「鉄の歴史博物館」や鉄製品のショップ、和カフェ、和菓子屋などが立ち並び、町はずれの「たたら鍛冶工房」では鉄のものづくり体験ができます。

【菅谷たたら山内】
住所:島根県雲南市吉田町吉田4210番地2
電話:0854-74-0350
営業時間:9:00~17:00(入館16:00まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

【鉄の歴史博物館】
住所:島根県雲南市吉田町吉田2533番地
電話:0854-74-0043
営業時間:9:00~17:00(入館16:00まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

鉄の歴史

かつて「たたら製鉄」が営まれていた「菅谷たたら山内」

日本古来の製鉄法「たたら製鉄」。
現代科学でもかなわない最高純度の鉄を生み出せる、驚異の伝統技術です。

最高純度の鉄を生み出せる

そんな「たたら製鉄」が今も受け継がれているのが、出雲の山あいにある雲南市吉田町。

ここにある「菅谷たたら高殿」は、映画「もののけ姫」に登場した「たたら場」のモデルです。

たたら場

さらに、たたらの神様「金屋子神(かなやごしん)」が降臨したと伝わる桂のご神木や、事務所と鋼を砕く作業場・支配人の住居を兼ねていた元小屋(写真上)、暮らしの道具などを展示している山内生活伝承館など、たたらの里の秘密がわかるスポットがいっぱい!

この一帯は「菅谷たたら山内(さんない)」と呼ばれていて、「たたら製鉄」にまつわる建物群は、国の重要有形民俗文化財に指定されています。

隠れ里のようなスポット 「菅谷たたら山内」の「山内(さんない)」とは、「たたら製鉄」に携わっていた人々が暮らしていた地区のこと。

貴重な文化や建物が多く残る、隠れ里のようなスポットです。

※観光施設以外の家々には今も暮らしている人々がいるので、マナーを守って見学しましょう!

桂のご神木 「菅谷たたら山内」のシンボル・桂のご神木。
芽吹きは3月下旬ごろで、葉が茂るにつれて、たたらの炎のように真っ赤に染まります。

赤く染まる時期は3月下旬~4月上旬ごろ。
そのあとは黄色くなって、やがて鮮やかな緑になります。

田部家の白壁土蔵群 吉田町の中心部の本町通り

まるで京都のような情緒あふれる町並みで、石畳の道や小路、「たたら製鉄」で隆盛を極めた田部家の白壁土蔵群(写真)、歴史を感じる町家など、江戸時代から続く街並みが今も残ります。

鉄製品のショップ「奥出雲前綿屋 鐵泉堂」や、和カフェ、和菓子屋さん、料亭、民宿などもあって、気ままにそぞろ歩くのが楽しい!

※「菅谷たたら山内」から車で約5分

まずは「鉄の歴史博物館」で「たたら製鉄」のことを知ろう!

鉄の歴史博物館

吉田町に着いたら、まずは本町通り沿いの「鉄の歴史博物館」を訪ねてみましょう。

ここでは「たたら製鉄」の技術や知識を学べます。
その後に「菅谷たたら山内」を訪ねれば、「たたら製鉄」の町をより楽しめます。

※「鉄の歴史博物館」から「菅谷たたら山内」までは車で約5分/観光ツアー もあり

展示1号館 ~たたらとその技法~

「鉄の歴史博物館」には、1号館と2号館の2つの展示スペースがあります。
ここ1号館では、「たたら製鉄」の歴史と技術を紹介しています。

かつて石や木で作った道具しか持てなかった人類が、「たたら製鉄」によってはるかに強靭で使いやすい鉄の道具を持てるようになりました。
それが暮らしに劇的な変化を起こしたことがわかります。

たたら製鉄

特に鉄の鍬(くわ)や鋤(すき)といった農具は、土地の開墾を容易にして、稲作農業が盛んになりました。
(弥生時代のはじまり)

さらに弥生時代の終わりごろから、「たたら製鉄」がさらに広く行なわれるようになりました。
そんな「たたら製鉄」の作業は3~4昼夜にもわたりました。

近代たたら 「たたら製鉄」の伝統技法に現代の技術を取り入れて復活させた「近代たたら」のようす。
こちらは一昼夜行なわれます。

館内で上映されている映画「和鋼風土記」(上映時間30分)は、昭和44年(1969年)にたたら操業を復元した際の記録です。「たたら製鉄」の工程と技術を詳しく紹介していて、とても貴重な資料です。

展示2号館 ~鉄山経営と鍛冶集団~

続く2号館では、鉄が日本の産業や文化をどのように発展させていったかがわかります。

鉄=刀剣などの武器、といった印象が強いかもしれませんが、より重要だったのは庶民の生活の道具(民具)でした。

さらに家や道路、橋などの原料や金具、それらを作る道具なども日本の文明を大きく発展させました。

原料や金具

吉田町の「たたら製鉄」は鎌倉時代から始まりましたが、当初は移動式の「野だたら」で、「菅谷たたら山内」ができたのは江戸時代の1751年。

これを統率していたのは、鉄山師(てつざんし)と呼ばれる「たたら製鉄」の経営者・田部家でした。

その田部家を中心とした鍛冶集団の歴史と暮らしを、豊富な展示で知ることができます。

ミュージアムグッズ 「鉄の歴史博物館」のミュージアムグッズ「ハガネピック」「ハガネピース」
吉田町産の鉧(けら)で作ったギターピックとアクセサリーチャームで、鉄の輝きが美しい!

※鉧(けら)とは:「たたら製鉄」によって砂鉄から精製された鉄の塊

まるでプラチナのような澄んだ色で、「鉄はくすんだ色」というイメージが覆されます。

「たたら製鉄」の秘密がさらによくわかるムック本「雲南のたたら文化」もおすすめです。
(雲南市の資格「たたら文化伝道師」検定の公式テキスト)

鉄のものづくりを体験できる「たたら鍛冶工房」

たたら鍛冶工房

吉田町の町はずれにある「たたら鍛冶工房」では、鉄のものづくり体験ができます。
※「鉄の歴史博物館」から車で約3分

本物の鉄を加工して小刀を作ったり、ペーパーナイフを作ったり。
鍛冶師になった気分で楽しめて、世界にひとつだけのお土産ができます!

①ペーパーナイフ作り体験 2,000円~5,000円(約30分)

ペーパーナイフ作り体験

五寸釘を鍛冶用の炉で熱して、ハンマーで叩きながらナイフ状に形成していきます。
作れるナイフ(体験メニュー)は以下の2種類があります。

・通常のペーパーナイフ体験:2,000円
・侍ペーパーナイフ体験:5,000円

※刃の部分に腐食液で刃文(はもん:波のような模様)を入れたり、柄の部分に紐を巻いて、日本刀のような形のナイフを作る体験)

②小刀づくり体験 32,000円(約半日)

小刀づくり体験

本格的な小刀を作ってみたい方におすすめ!

「菅谷たたら」の近代たたら操業でできた鉧(けら)を使って、小刀を作れます。

フォレストアドベンチャー・たたらの里 大迫力の樹上アスレチック「フォレストアドベンチャー・たたらの里」も、吉田町のおすすめ体験。

木々の間を飛ぶように渡ったり、空中を滑ったりすれば、大人も子供も大興奮!
「たたら製鉄」の炉の燃料を伐り出していた吉田町の森の豊かさを、全身で感じられます。

出雲湯村温泉 吉田町の旅を楽しんだ後は、車で約15分の出雲湯村温泉で汗を流してはいかが?
出雲国風土記に記された1300年の歴史を持つ美肌の湯で、2軒ある宿はどちらも日帰り入浴・お泊りの両方OK!

共同浴場 漆仁の湯 / 隠れ家宿 湯乃上館 (写真)
国民宿舎 清嵐荘

道の駅たたらば壱番地 ランチや休憩に便利な「道の駅たたらば壱番地」

地元産そば粉100%の手打ちそばが自慢のレストラン、平飼い卵のスイーツが美味しい「奥出雲前綿屋ままたまご」、米の名産地で知られる吉田町のお米や野菜・農産加工品のショップなど、吉田町エリアのうまいものがいっぱい!

※「本町通り」から車で約3分

- DATA
菅谷たたら山内

HPhttp://www.tetsunorekishimura.or.jp/sugaya
Instagramhttps://www.instagram.com/tetsureki.tatara/
住所:島根県雲南市吉田町吉田4210番地2

電話:0854-74-0350
営業時間:9:00~17:00(入館16:00まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

<入館料>
個人:大人310円/小・中学生210円
団体(20名以上):大人260円/小中学生150円
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、及び介助される方は無料


- DATA
鉄の歴史博物館

HPhttp://www.tetsunorekishimura.or.jp/history
Instagramhttps://www.instagram.com/tetsureki.tatara/
住所:島根県雲南市吉田町吉田2533番地

電話:0854-74-0043
営業時間:9:00~17:00(入館16:00まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

<入館料>
個人:大人520円/小・中学生260円
団体(20名以上):大人410円/小・中学生210円
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、及び介助される方は無料

取材協力・ 写真提供: 公益財団法人 鉄の歴史村地域振興事業団・鉄の歴史博物館・奥出雲前綿屋 鐵泉堂・フォレストアドベンチャーたたらの里・株式会社吉田ふるさと村・公益財団法人 島根県観光連盟/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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