島根県の最西部を流れる、日本でただひとつの「ダムがない」一級河川。
そのため鮎・ウナギ・蛤などの生き物が生き生きと育ち、特に鮎は雑味のない極上の味わいが評判! これらの珍味を味わうグルメ旅行はいかが?
~ 目次 ~
昔懐かしい島根のふるさとを流れる、日本一の「清流」!
「清流日本一」という言葉を聞いたことがありますか?
ここ『高津川(たかつがわ)』は、その「清流日本一」に7回も輝いた清流の中の清流。国土交通省の厳しい水質調査で選ばれた、お墨付きの川なのです。
島根県西部の山奥・吉賀町(よしかちょう)に立つ、樹齢1,000年を超える一本杉。その根元に湧き出る『大蛇ケ池』が水源で、「ヤマタノオロチの魂が宿る」という池の伝説さながらに、全長81kmもの流れをうねらせています。
そして日本海に流れ出る頃には、河口に益田港が築かれるほどの広さに。
この1,090キロ平方メートルもの流域面積が育む魚介類は、島根の人々の自慢です。
清らかな水が育む、極上の珍味たち。
『高津川』の魅力は、その優れた水質と美しい風景だけではありません。
川の流域に大都市がなく、排水で水が汚れにくいため、今は希少となった多くの生き物が息づいています。
これらの貴重な珍味は、食通や釣り人の垂涎(すいぜん)の的!
「高津川漁業共同組合」(以下『高津川漁協』)から通販で買えるほか、鮎は「遊漁料」をはらって自ら釣ることもできます。
※鮎の「遊漁料」の詳細は「高津川漁協」のホームページを参照
■鮎(注文期間:6月~9月)
高津川の天然鮎は、石に付いた良質のコケが主食。
そのため鮎特有の瑞々しい香りが強く、さらに自然で上品な旨味があります。
高津川を代表する名物で、漁の時期には全国各地から釣り人が集います。
さらに、そんな清らかな鮎だからこそ楽しめる『うるか(はらわた)』も絶品!
塩で3年以上漬け込んだ珍味で、はらわただけで作る『生地うるか』と、はらわたと身を混ぜた『身うるか』があります。
そして「焼鮎(焼き干し)」・「鮎めしの素(香りの焼き鮎粉付)」・「鮎の甘露煮」・「鮎味噌」などもあり、どれも「高津川漁協」から買えます。
(電話またはFAXで注文)
また、高津川が流れている益田市や津和野町には、“天然鮎のフルコース”を食べさせてくれる料理店や旅館も多数!
川の美しい景色と共に、希少なグルメを味わう旅行がおすすめです。
■ウナギ(注文期間:6月~9月)
清らかな高津川で育った天然ウナギは、ほど良い脂とプリプリした食感が特長。よく引き締まった身と、エグ味のまったくない味は、天然ウナギならではの魅力です。
最近は漁獲量が減っているため、長期間の入荷待ちになったり、注文しても発送してもらえない場合があります。
それでも注文したい逸品です。
■モクズガニ(注文期間:8月~9月)
清流で育つ淡水性のカニ。
高級食材で有名な「上海ガニ」の親戚で、ハサミに生えた毛が“藻屑(もくず)”に似ていることから名付けられました。
海のカニにはない濃厚な旨味があり、特にカニ味噌の味わいは絶品! 「清流日本一」の高津川で育ったため、泥臭さのない澄んだ味わいです。
このモクズガニも、鮎と共に全国有数の産地として知られています。
「高津川漁協」は鮮度抜群の“氷締め”で発送するので、さらに美味!
また、身をたっぷり練りこんだ『ツガニせんべい(ツガニ=モクズガニの別名)』も販売しています。
■鴨島蛤(かもしま はまぐり)※通販はなし
高津川の河口付近で獲れる、天然の大ハマグリです。
「清流日本一」の高津川と日本海の荒波が交わる、限られた海域でのみ獲れます。
森から川を通じて運ばれる、ミネラルたっぷりの汽水(淡水と海水が交じり合った水)で育つため、大きさはなんと9cm前後!
さらに旨味も歯ごたえも際立っていて、島根の隠れた名グルメです。
国産の本ハマグリは年々漁獲高が減っていますが、この『鴨島蛤』は、厳しい漁獲制限で品質と資源量を保っています。
島根の宝・貴重な「高津川の恵み」を残していくために。
このように、川全体が豊かな美味であふれる高津川。
ですが、その恵みは「高津川漁協」と川沿いに住む人たちの努力の賜物です。
高津川の鮎漁は、毎年6月上旬に解禁されて、9月末~10月上旬まで締め切られます。この「漁期」を資源保護のために短くするなどして、高津川の魚や貝を守っています。
と言うのも、近年の豪雨や台風などで、高津川の漁獲高は平成20年頃から減り続けているのです。それにともなって「高津川漁協」の組合員も約1,000人にまで減ってしまいました。
資源の減少の理由は、乱獲ではな自然災害の影響が大半。
そのため「高津川漁協」では、「落ち鮎」と呼ばれる子持ち鮎の漁を制限したり、鮎の産卵場所を造ったり、稚鮎(鮎の子ども)を放流したりして、資源の保護に努めています。
島根の豊かな自然と、その恵みを守る取り組み。
味わったり旅行した時に、想いをはせていただきたいエピソードです。
古来より連綿と続く、高津川の恵みを次世代へつなぐ。
鮎の主食は石に生える苔。
そのため、苔を育む川の汚れに真っ先に影響を受けてしまいます。
年々増える自然災害のため、水害の予防工事や復旧工事は欠かせません。ですが高津川では、それさえも出来るだけ水が汚れない方法や、濁りが出ない方法をとっています。
さらに「高津川漁協」の組合員は、河原の一斉清掃や環境保護活動を行っています。
川の環境によって味や香りまでも変える、「川の申し子」の鮎――ウナギやモクズガニも同じで、こうした努力で島根の宝を守っています。
「鮎の宝庫」と呼ばれ、島根の人や旅行者だけでなく、全国的に愛されている高津川。それを未来に残していくために、地域一丸で努力しています。
- DATA
高津川
HP:https://www.takatugawa.or.jp/
住所:島根県益田市神田町イ614(高津川漁業協同組合)
電話:0856-25-2911(同上)
営業時間:9:00~17:00(電話対応可能時間)
※漁期中(6~9月)は6:30~18:15
休日:
6月~9月は定休日なし。
10月~5月は例外を除き土・日・祝日、年末年始休業
取材協力・
写真提供:
高津川漁業協同組合/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)