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「四ケ所参り」で太皷谷稲成神社の利益をいただこう! ~ 参拝の作法と順序 ~
『太皷谷稲成神社(たいこだにいなりじんじゃ)』は山陰の小京都・津和野を見おろす高台にあります。
鮮やかな朱塗りの社殿が美しく、島根県でも有数の映えスポット!
「日本五大稲荷」のひとつで、商売繁盛・五穀豊穣・開運厄除・願望成就(良縁・学業・受験ほか)・失せ物探しなど、たくさんのご利益で敬われています。
ご祭神は宇迦之御魂命(うがのみたまのかみ/稲荷大神)と伊弉冉尊(いざなみのみこと/熊野大神)で、二神とも女神です。
ご祭神・神社名とも本来は「稲荷」と書かれるところを、「稲成」と表記するとても珍しい神社です。
この字は全国に約3万社ある稲荷神社の中でも、わずか数社しかありません。
ちなみに『太皷谷稲成神社』の「成」の由来は、願望成就の「成」だと伝わっています。
そして本殿(新殿)の向かい側には、江戸時代に京都の伏見から稲荷大神をお迎えした「元宮(もとみや・旧熊野神社)」(写真上)があります。
さらにその背後には、稲荷大神の御眷属=お使いの命婦狐(みょうぶぎつね/夫婦の白狐神)をお祀りした「命婦社(みょうぶしゃ)」があります。
昭和44年(1969年)に現在の本殿ができるまでは、この「元宮」が「稲成神社」と呼ばれていました。
さらに本殿の背後には「新殿裏奉拝所」があり、これら全てを巡る「四ケ所参り」がお参りの作法です。
※新殿裏奉拝所とは:稲荷信仰においては「ご祭神は本殿の背後から出入りされる」と言われており、稲成大神を最も近くから拝める神域
そのため『太皷谷稲成神社』では、以下の順番で「四ケ所参り」をします。
元宮 → 命婦社 → 新殿 → 新殿裏奉拝所
四ケ所全てに「お揚げ」をお供えする台と、ローソクを立てるための燭台があるので、「お揚げ」とローソクを4つ持ってお参りしましょう。
※お揚げ・ローソクとも境内の入口で販売しています
稲成大神の特別な御縁日 2月の「初午大祭」
『太皷谷稲成神社』では、一年を通じてさまざまな神事が行われています。
中でも最も重要な神事が、2月始めの午の日に開かれる「初午大祭(はつうまたいさい)」です。
この日は稲荷神社の総本宮・京都の伏見稲荷に稲荷大神が御鎮座された日で、稲荷神社の御縁日とされています。
『太皷谷稲成神社』の「初午大祭」では、江戸時代の故事“失せ物探し伝承”を元にした「命婦狐の失せ物探し道中」や、郷土料理の「酒蔵鍋」の振舞などが行われます。
<「失せ物探し伝承」とは>
江戸時代に津和野を治めていた、津和野藩にまつわる伝承。
お城の蔵番が蔵の鍵を失くしてしまい、怒ったお殿様に「7日間のうちに見つけ出せ」と命じられて、困り果てた末に伏見から津和野にお迎えされたばかりのお稲荷様(現在の元宮)に願掛けしたところ、願明けの7日目の朝に無事に鍵が見つかった。
当時、元宮は津和野藩主以外は参拝を禁じられていたため、蔵番はそれを正直に報告して厳罰を求めた。
お殿様は蔵番の正直さとお稲荷様の願望成就の御神威に感心して、蔵番を許した末に、お稲荷様の名前を「稲成神社」と改めた。
【 令和6年(2024年)「初午大祭」の日程 】
令和6年2月12日(月曜/祝日)
10:00~ 油揚げたっぷり! 「酒蔵鍋」振舞
13:00~ 「命婦狐の失せ物探し道中」と鍵奉納
※「命婦狐の失せ物探し道中」は、悪天候が予想される場合は中止となります
この日の参拝は古くから「初午詣(はつうまもうで)」「福まいり」「おかげまいり」などと呼ばれていて、とっても縁起の良い吉日!
『太皷谷稲成神社』の新殿では「宝珠くじ」を引くことができて、縁起物の宝珠や津和野名物の源氏巻(げんじまき/カステラ生地で餡を包んだ和菓子)などが当たります。
さらに稲荷大神のお使いの命婦狐(みょうぶぎつね/夫婦の白狐神)に扮した男女と、約10名の従者狐が津和野の町を練り歩く「命婦狐の失せ物探し道中」が催されます。
(本町通り~殿町通りまで)
通り沿いの商店には狐面が飾られて、もちろん写真撮影もOK!
「失せ物探し」の故事にちなんだ鍵の奉納も行われます。
太皷谷稲成神社ゆかりの名所と見どころ
津和野には他にもいろんな名所や、『太皷谷稲成神社』の歴史がわかるスポットなどがあります。
これらも参拝の前後にぜひ立ち寄ってみましょう!
津和野城跡
『太皷谷稲成神社』のそばにある、中近世の山城の跡。
津和野藩の歴代藩主の居城で、紅葉の名所でもあります。
※観光リフトあり(片道5分+津和野城址(本丸)まで徒歩15分)/登山道もあり
秋冬の早朝には朝霧(雲海)が立ち込めて、幻想的な「天空の城」になります。
『太皷谷稲成神社』では、この「津和野城跡」の2種類の御城印を販売しています。
また、週末や祝前日の夜には美しくライトアップされます。
※観光リフトの夜間運行はなし/山の麓や津和野の町中から鑑賞できます
津和野百景図(津和野町日本遺産センター)
江戸末期の津和野の情景を描いた百枚の絵画。
「津和野町日本遺産センター」に収蔵されていて、当時の『太皷谷稲成神社』や神事、神社にまつわる人々の姿などが描かれています。
温かい筆致で描かれた『太皷谷稲成神社』や津和野の風景は、絵や歴史に興味のある人は必見!
津和野の成り立ちや歴史、習俗もわかるので、より津和野観光が楽しくなります。
津和野百景図 (津和野町日本遺産センター)
HP: https://tsuwano100.net/landscape/
住所: 島根県鹿足郡津和野町後田ロ253
電話: 0856-72-1901
開館時間: 9:00~17:00
休館日: 月曜(月曜が休日の場合は翌日)
津和野を見守り、津和野と共に栄えてきた『太皷谷稲成神社』
『太皷谷稲成神社』の始まりは、江戸時代の安永2年(1773年)です。
津和野藩の第7代藩主・亀井矩貞(かめい・のりさだ)公が藩と領民の安穏鎮護を願って、京都の伏見稲荷大社から稲荷大神を勧請(遠くにいる神仏のご来臨を祈り願うこと)したのが始まり。
江戸時代は津和野藩主しか参拝できませんでしたが、津和野藩の廃藩後に広く一般参拝が可能となりました。
そして商売繁盛・願望成就などのご利益のあらたかさから、全国的に崇敬されるようになりました。
江戸時代から今に至るまで、津和野とそこに暮らす人々を見守ってきた『太皷谷稲成神社』。
連綿と受け継がれてきた歴史や伝統・信仰は今なお津和野に息づいています。
- DATA
太皷谷稲成神社
HP:http://taikodani.jp/
住所:島根県鹿足郡津和野町後田409
電話:0856-72-0219
参拝時間:自由
社務所の開所時間:9:00~16:30
駐車場:あり(約100台/無料)
<アクセス>
JR山口線「津和野駅」から徒歩30分/タクシー5分
鳥居の参道から本殿まで徒歩15分
取材協力・
写真提供:
津和野町観光協会・公益社団法人 島根県観光連盟/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)