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日本で唯一! 鳥取砂丘にある「砂像彫刻」専門の美術館。
子どもの頃、誰でも体験したことがある砂遊び。
形のない砂からいろんな物を作り出す楽しさに、夢中になった覚えはないでしょうか?
そんな砂で作った像=「砂像彫刻」を専門に展示しているのが、ここ『鳥取砂丘 砂の美術館』。
日本最大級の砂丘・鳥取砂丘の砂を使って、世界トップレベルのアーティストたちが巨大な砂像を制作・展示しています。
会期ごとに変わるテーマも魅力で、世界中の文化や歴史、遺跡などをモチーフにした砂像は、いずれは大地に還る砂という素材もあいまって悠久の時の流れを感じさせてくれます。
2022年夏からは第14期「砂で世界旅行・エジプト編」を開催中! その見どころと魅力は?
『鳥取砂丘 砂の美術館』で現在見られるのは、第14期の展示の「砂で世界旅行・エジプト編」です。
悠久の歴史と文化を誇り、ピラミッドなどの驚異的な遺跡が多数残る「エジプト」をテーマに、全22作品の巨大な砂像を展示。
世界遺産のルクソール神殿をはじめ、ピラミッド、スフィンクス、アブ・シンベル大神殿、世界史に残るカデシュの戦いなど、エジプトの壮大さにふさわしいダイナミックな砂像を見せてくれます。
2022年はツタンカーメンの王墓が発見されてから100年目で、さらにイギリスからの独立100周年でもあります。
そんな記念すべき年に、エジプトの文化と歴史を体感してみませんか?
第14期「砂で世界旅行・エジプト編」の主な展示作品
●ルクソール神殿
巨大な砂の塊を約3mも掘って造りあげた、2体の巨大な像が印象的な砂像。
モデルはエジプト南東部の都市ルクソール(古代のテーベ)にある、世界遺産に指定された名高い神殿です。
エジプト新王国第18王朝の王アメンホテプ3世によって造られ、その約100年後に権勢を誇ったラムセス2世が増築しました。
展示エリアの中央にあり、360度造りこまれた造形はすみずみまで必見です。
●アブ・シンベル大神殿
エジプト南部にある岩窟神殿(巨大な岩山を掘って造られた神殿)をモチーフにした砂像。
オリジナルのアブ・シンベル大神殿は2対の神殿のうちのひとつで、隣にはアブ・シンベル小神殿があります。アブ・シンベル大神殿の主神は太陽神ラーで、やはりラムセス2世によって建造されました。
4体の巨大な像は、青年期から壮年期までのラムセス2世。
手前にたくさんある小像は王の家族たちです。
さらに背後の壁には、やはりラムセス2世の小さな像と、エジプトの神々が描かれた壁画があります。
そして上部にはスフィンクスとピラミッドがあり、エジプトの悠久の歴史を感じさせてくれます。
●カデシュの戦い
紀元前13世紀に起きた、エジプトとヒッタイトの戦いをモチーフにした砂像。
アブ・シンベル大神殿の北の壁に彫られたレリーフを元に、より臨場感と肉感あふれる彫刻に仕上げています。
現在のトルコ周辺を統治していたヒッタイトの南下を、現在のシリア西部で迎え撃った総勢約4万人の戦車戦。世界で初めて公的な軍事記録が残された戦争でした。
また、この戦いの後にはやはり世界で初めての平和同盟条約が結ばれました。
●死者の書
「死者の書」とは、古代エジプトで死者の冥福を祈って一緒に埋葬された、宗教的な文書のこと。
棺やパピルスに絵とヒエログリフで描かれました。
内容は死者の生前の行いや、霊魂を死後の楽園に導くための道しるべ、教訓、呪文など。
この砂像のモデルは死を司る神アヌビスによる審判で、死者が数十ヵ条にのぼる審問を受けながら、正義の天秤で判定を下されています。
儚い砂が織りなす圧倒的なアート! いずれは崩れて大地に還る、一期一会の芸術。
「第14期『砂で世界旅行・エジプト編』は、世界を舞台に活躍する11か国20名の砂像彫刻家が、砂の美術館に集って制作しました。彼らの世界一流の技術とその作品が放つ迫力、そして展示の随所に散りばめられた光や水による演出にも、ぜひご注目ください!」
と、『鳥取砂丘 砂の美術館』の広報の西村啓さん。
「ご鑑賞されたお客様からは『すごい迫力だった!』『何度でも見たい』『会期ごとに違うテーマや作品が見られるので、いつも楽しみにしています』など、たくさんのお声をいただいています。今期は過去の展示以上に繊細かつ大胆な砂像が皆様をお待ちしています。世界一流の砂像彫刻家たちによる迫力と美しさをあわせ持った砂像彫刻の魅力を、ぜひ感じていただければ幸いです」
展示が終わると元の砂に還されてしまう砂像。
まさに一期一会のアートで、その儚さもあいまって多くの驚きと感銘を与えてくれます。
「そうした砂像との出会いによって皆様の中に生まれた想いや情感が、砂像と共に心の中で生き続けていくことを願っています」
と西村さん。
日本で唯一の砂像彫刻専門の美術館で、心の世界旅行に出かけてみませんか?
- DATA
鳥取砂丘 砂の美術館
HP:http://www.sand-museum.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/The.Sand.Museum
住所:鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17
TEL:0857-20-2231
【第14期展示 「砂で世界旅行・エジプト編」】:
会期:2022年7月30日(土)~2024年1月3日(水)
※うち2023年1月10日~2月28日はメンテナンスのため休館
<開館時間>:
平日・日曜 / 9:00~17:00(最終入館16:30)
土曜日 / 9:00~18:00(最終入館17:30)
※イベント開催時などは変更の場合あり
<入館料>:
一般 / 800円
小・中・高校生 / 400円
団体(20名以上) / 一般 600円 小・中・高校生 300円
※小学生未満は無料
取材協力・
写真提供:
鳥取砂丘 砂の美術館/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)