日本で唯一「砂」を素材にした彫刻を展示している、「砂像彫刻」の美術館。
会期ごとにテーマを変えて、世界トップレベルの砂像彫刻家たちによる大迫力の砂像を展示しています。
これまでのテーマはイタリアのルネサンス期、アフリカの野生動物と自然、東南アジアの王朝と遺跡、北欧の大自然や物語などの13期分。そして2022年の夏からは、第14期の「砂で世界旅行・エジプト編」を開催中!
いずれは大地に還るはかない「砂」を素材に、圧倒的なアートを見せてくれます。
【第14期「砂で世界旅行・エジプト編」】
展示期間:2022年7月30日~2024年1月3日(水)
~ 目次 ~
日本で唯一! 鳥取砂丘にある「砂像彫刻」専門の美術館。
子どもの頃、誰でも体験したことがある砂遊び。
形のない砂からいろんな物を作り出す楽しさに、夢中になった覚えはないでしょうか?
そんな砂で作った像=「砂像彫刻」を専門に展示しているのが、ここ『鳥取砂丘 砂の美術館』。
日本最大級の砂丘・鳥取砂丘の砂を使って、世界トップレベルのアーティストたちが巨大な砂像を制作・展示しています。
会期ごとに変わるテーマも魅力で、世界中の文化や歴史、遺跡などをモチーフにした砂像は、いずれは大地に還る砂という素材もあいまって悠久の時の流れを感じさせてくれます。
「砂像彫刻」とは、水で固めた砂の塊を彫って作る芸術作品。
制作から完成、展示期間まで、ずっと崩れる危険がつきまとう儚いアート。
だからこそその見事さが印象深く、ずっと記憶に残る美しさ!
(2016年~2017年にかけて展示された「第9期 砂で世界旅行・南米編」)
『鳥取砂丘 砂の美術館』のプロデューサーは、自らも世界的な砂像彫刻家の茶圓勝彦(ちゃえんかつひこ)さん。
Newsweek誌による「世界が尊敬する100人の日本人」に選ばれるなど、各界で注目を集める茶圓勝彦氏は、自らも『鳥取砂丘 砂の美術館』や世界各地で砂像を制作するなど、砂像の魅力を普及中。
(2018年の展示「福祉国家 北欧」を制作中の茶圓さん)
2022年夏からは第14期「砂で世界旅行・エジプト編」を開催中! その見どころと魅力は?
『鳥取砂丘 砂の美術館』で現在見られるのは、第14期の展示の「砂で世界旅行・エジプト編」です。
悠久の歴史と文化を誇り、ピラミッドなどの驚異的な遺跡が多数残る「エジプト」をテーマに、全22作品の巨大な砂像を展示。
世界遺産のルクソール神殿をはじめ、ピラミッド、スフィンクス、アブ・シンベル大神殿、世界史に残るカデシュの戦いなど、エジプトの壮大さにふさわしいダイナミックな砂像を見せてくれます。
2022年はツタンカーメンの王墓が発見されてから100年目で、さらにイギリスからの独立100周年でもあります。
そんな記念すべき年に、エジプトの文化と歴史を体感してみませんか?
第14期「砂で世界旅行・エジプト編」の主な展示作品
●ルクソール神殿
巨大な砂の塊を約3mも掘って造りあげた、2体の巨大な像が印象的な砂像。
モデルはエジプト南東部の都市ルクソール(古代のテーベ)にある、世界遺産に指定された名高い神殿です。
エジプト新王国第18王朝の王アメンホテプ3世によって造られ、その約100年後に権勢を誇ったラムセス2世が増築しました。
展示エリアの中央にあり、360度造りこまれた造形はすみずみまで必見です。
●アブ・シンベル大神殿
エジプト南部にある岩窟神殿(巨大な岩山を掘って造られた神殿)をモチーフにした砂像。
オリジナルのアブ・シンベル大神殿は2対の神殿のうちのひとつで、隣にはアブ・シンベル小神殿があります。アブ・シンベル大神殿の主神は太陽神ラーで、やはりラムセス2世によって建造されました。
4体の巨大な像は、青年期から壮年期までのラムセス2世。
手前にたくさんある小像は王の家族たちです。
さらに背後の壁には、やはりラムセス2世の小さな像と、エジプトの神々が描かれた壁画があります。
そして上部にはスフィンクスとピラミッドがあり、エジプトの悠久の歴史を感じさせてくれます。
●カデシュの戦い
紀元前13世紀に起きた、エジプトとヒッタイトの戦いをモチーフにした砂像。
アブ・シンベル大神殿の北の壁に彫られたレリーフを元に、より臨場感と肉感あふれる彫刻に仕上げています。
現在のトルコ周辺を統治していたヒッタイトの南下を、現在のシリア西部で迎え撃った総勢約4万人の戦車戦。世界で初めて公的な軍事記録が残された戦争でした。
また、この戦いの後にはやはり世界で初めての平和同盟条約が結ばれました。
●死者の書
「死者の書」とは、古代エジプトで死者の冥福を祈って一緒に埋葬された、宗教的な文書のこと。
棺やパピルスに絵とヒエログリフで描かれました。
内容は死者の生前の行いや、霊魂を死後の楽園に導くための道しるべ、教訓、呪文など。
この砂像のモデルは死を司る神アヌビスによる審判で、死者が数十ヵ条にのぼる審問を受けながら、正義の天秤で判定を下されています。
エジプトの国土の95%以上は砂漠 で、砂と親和性の高いモチーフがいっぱい!
砂像で表現するのにピッタリな国とテーマで、まさにエジプト旅行をしている気分になれる。
(アクエンアテン王とその家族)
正面だけでなく、側面や背面まで造りこまれた砂像は360度必見!
※砂像によっては背面が見られないものもあります
今期から導入された新たな照明設備の演出も見どころで、よりリアルで臨場感たっぷり。
儚い砂が織りなす圧倒的なアート! いずれは崩れて大地に還る、一期一会の芸術。
「第14期『砂で世界旅行・エジプト編』は、世界を舞台に活躍する11か国20名の砂像彫刻家が、砂の美術館に集って制作しました。彼らの世界一流の技術とその作品が放つ迫力、そして展示の随所に散りばめられた光や水による演出にも、ぜひご注目ください!」
と、『鳥取砂丘 砂の美術館』の広報の西村啓さん。
「ご鑑賞されたお客様からは『すごい迫力だった!』『何度でも見たい』『会期ごとに違うテーマや作品が見られるので、いつも楽しみにしています』など、たくさんのお声をいただいています。今期は過去の展示以上に繊細かつ大胆な砂像が皆様をお待ちしています。世界一流の砂像彫刻家たちによる迫力と美しさをあわせ持った砂像彫刻の魅力を、ぜひ感じていただければ幸いです」
展示が終わると元の砂に還されてしまう砂像。
まさに一期一会のアートで、その儚さもあいまって多くの驚きと感銘を与えてくれます。
「そうした砂像との出会いによって皆様の中に生まれた想いや情感が、砂像と共に心の中で生き続けていくことを願っています」
と西村さん。
日本で唯一の砂像彫刻専門の美術館で、心の世界旅行に出かけてみませんか?
過去13期分の展示作品も必見!
アーカイブ画像がホームページで見られるので、ぜひチェックしてみて。
異国の街並み、歴史上の出来事、神話、伝説……。太古から続く人の歴史を、砂という流転する素材で表現。
(北欧神話より 二ーベルングの伝説(1) アイスランド女王への謁見~第11期 砂で世界旅行・北欧編~)
「これが本当に砂!?」
と誰もが驚く立体感と奥行きにあふれた彫刻。
時間を忘れて見入っているうちに、心はその時代と土地に時間旅行。
((ムガル帝国 皇帝シャージャハーンと王妃の恋の物語~第12期 砂で世界旅行・南アジア編~)
会期中は展示のテーマに合わせたお土産も販売。
現地のハンドメイドやお茶、お菓子など多彩な品々がいっぱいで、まさに旅行した気分でお土産を選べる!
(「第12期 砂で世界旅行・南アジア編」のお土産コーナー)
『鳥取砂丘 砂の美術館』があるのは、鳥取砂丘の入り口という好ロケーション。
JR鳥取駅や鳥取砂丘コナン空港からのアクセスも良く、、まわりには‟山陰の松島”と呼ばれる浦富海岸(遊覧船あり)や、日本海の海の幸がいっぱいの鳥取港や賀露港などもあり!
このエリアのドライブは細い小道が多いため、レンタルEV「ジオコムス」がおすすめ。
(『鳥取砂丘 砂の美術館』展望広場からの鳥取砂丘の眺め)
初夏から秋にかけての夜は、鳥取砂丘の背後に見えるイカ釣り漁船の漁火がきれい。
お天気の良い日は降るような星空のスターウォッチングも楽しめる!
- DATA
鳥取砂丘 砂の美術館
HP:http://www.sand-museum.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/The.Sand.Museum
住所:鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17
TEL:0857-20-2231
【第14期展示 「砂で世界旅行・エジプト編」】:
会期:2022年7月30日(土)~2024年1月3日(水)
※うち2023年1月10日~2月28日はメンテナンスのため休館
<開館時間>:
平日・日曜 / 9:00~17:00(最終入館16:30)
土曜日 / 9:00~18:00(最終入館17:30)
※イベント開催時などは変更の場合あり
<入館料>:
一般 / 800円
小・中・高校生 / 400円
団体(20名以上) / 一般 600円 小・中・高校生 300円
※小学生未満は無料
取材協力・
写真提供:
鳥取砂丘 砂の美術館/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)
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