~ 目次 ~
「酒を嗜み、美肌を醸す」宿。日本酒の奥深さと作り手の思いを感じられる滞在体験。
出雲市平田町にある「木綿街道(もめんかいどう)」。
江戸時代から明治時代にかけて栄えた木綿取引の街道で、今も往時の町並みが残り、タイムスリップしたかのような風情が漂っています。
そんな歴史ある木綿街道に、老舗の造り酒屋の蔵をリノベーションした宿が誕生!
日本酒とのペアリングを楽しめる料理や、美肌に導いてくれる日本酒風呂など、日本酒にまつわる文化と体験に浸れます。
さらに1日1組限定の「1棟貸し」だから、プライベート感たっぷり。
まるで木綿街道の住人になったような旅を楽しめます。
木綿街道の歴史に育まれた、造り酒屋の酒蔵をリノベーション ~建築~
「RITA出雲平田 酒持田蔵」の原型は、昭和初期に建てられた切妻造・桟瓦葺・妻入の土蔵です。
※本を開いて伏せたような形の屋根に、波型の瓦を桟木(さんぎ)と呼ばれる細い木材に引っかけながら積んで、それが「八」の字のように見える側(妻側)に出入口を設けた建物
全てが木造で、それを快適な宿にリノベーションしています。
地上の2階と地下室からなる建物は、かつて蔵だった由来もあり隠れ家感たっぷり!
できるだけかつての趣と構造を残していて、重厚な梁や柱、木造りの壁などから木の温もりが漂っています。
かつて木綿街道には3つの造り酒屋がありましたが、今も残っている酒蔵はここだけ。
その豊かな歴史に抱かれながら滞在できます。
そして宿の随所に配されたアメニティは、「木綿街道」にちなんだ肌にやさしい綿などが中心。
パジャマと羽織は石見銀山のライフスタイルブランド「群言堂」製で、肌に心地よい二重ガーゼのコットンです。
タオルは今治タオルの技術で織られた「出雲タオル」の無漂泊コットンで、シャンプー類はオーガニックブランド、歯ブラシは安来市の「ひろせプロダクト」製の竹歯ブラシなど、SDGsに配慮された物ばかり!
触れれば分かる上質さで、心地よい滞在を叶えます。
ディナーは木綿街道の人気料理店で! 「酒持田本店」の日本酒とのペアリングが絶妙 ~夕食~
「RITA出雲平田 酒持田蔵」にはレストランがありません。
代わりに木綿街道の人気料理店におもむいて、「酒持田本店」の日本酒との「ペアリングディナー」を味わえます。
「木綿街道の素敵なお店や人々と触れあっていただきたい」というのが、その理由。
ディナーのお店はイタリアンまたは和食料理の2軒から選べます。
trattoria814
「RITA出雲平田 酒持田蔵」の2軒お隣にあるイタリアンの人気店。
出雲のオーガニック農家から仕入れた新鮮な野菜をメインに、素材と調味料にこだわったイタリアンが供されます。
約10品ものイタリア料理と、約6種の日本酒とのペアリングディナーが好評です。
料理 以久満(いくま)
徒歩10分ほどの場所にある、旬の地元食材を大切にした和食料理店。
島根半島の小伊津漁港の魚や、日本海に突き出た岬で手摘みされた「十六島のり」、地物の猪鍋、お寿司、出雲そばなど、バラエティ豊かな料理でおもてなししてくれます。
****************
日本酒には唎酒師はいても、ワインのような文化としてのソムリエがいないため、食事とのペアリングを楽しむ機会があまりありません。
そのため「ぐい呑み」されがちな日本酒を、上質な料理と共に少しずつ味わい、香り・風味・料理とのマリアージュを堪能できる豊かなディナーです。
モーニングは老舗の醤油蔵に招かれて。伝統の朝食をおばあちゃんのお話を聞きながら味わう ~朝食~
朝食は、やはり木綿街道の2軒お隣にある「持田醤油店」のご自宅で。
創業大正7年、出雲エリアの名料理店が多数ご用達の老舗で、家庭的なおもてなしを受けられます。
持田醤油店
メインは「持田醤油店」の看板商品で、深い味わいと濃厚なコクが自慢の「再仕込み醤油」を塗った焼きおにぎり。
さらに宍道湖産のしじみ入りのしじみ汁や、煮物、お漬物など、木綿街道ならではの朝食を味わえます。
木綿街道の歴史と今を知り尽くしたおばあちゃんのお話も楽しみ!
船による交易を支えた船川を望む部屋で、ゆったり流れる贅沢な時間を過ごせます。
体験プログラム「木綿街道探訪帖」もぜひ! 木綿街道の街・手仕事・人々と触れあう貴重なひととき ~体験~
木綿街道ならではの滞在体験も、多数コーディネート。
貴重な職人技を受け継ぐ老舗にお邪魔したり、木綿街道の歴史や名所を探ねたり。
お好みに合わせて街や人々、職人技との触れあいを体験できます。
造り酒屋 利き酒の巻
予約不要ですぐに体験できる、一番人気のメニュー。
「RITA出雲平田 酒持田蔵」では、ウェルカムドリンクとして季節ごとのおすすめのお酒が出されますが、その流れでこの「利き酒」に挑む人が多いそう。
ワンコイン500円で、「酒持田本店」の日本酒を3種類試せます。
同じく「酒持田本店」が舞台の「登録文化財 酒蔵見学の巻」も人気。
築140年あまりの酒蔵で、酒米からお酒を醸す工程を解説してもらえます。
日本生姜糖元祖の巻
甘味と辛味のバランスが絶妙なお菓子「生姜糖」。
木綿街道にある來間屋(くるまや)生姜糖本舗は、その生姜糖をなんと1715年(正徳5年)から300年以上も作り続けている、日本の生姜糖の元祖です。
出雲のお土産として江戸時代から愛され続けている、伝統のお菓子。
その製法を映像や解説で知り、ここでしか味わえない出来立ての生姜糖を試食できます。
同じく來間屋生姜糖本舗で体験できる、「生姜糖のパッケージを作ろうの巻」もおすすめです。
吾郷屋 オリジナルノートの巻
紙の造形作家・吾郷さんの指導で、背綴じのオリジナルノートを作ります。
古民家を改装したお店の中で、自ら表紙の紙を選んで針と糸でノートを綴じていく作業は、職人になった気分!
いろんな種類の紙で表紙をデコレーションすることもできます。
吾郷さん作のノートや紙小物は「RITA 出雲平田 酒持田蔵」にも置いてあって、デジタル時代の中で忘れられがちな紙の良さを思い出させてくれます。
ほかにも「持田醤油店」の醤油蔵を見学して、お醤油スイーツを味わう「醤油蔵見学とお醤油スイーツの巻」、木綿街道と木綿栽培の歴史を聞いて機織り体験ができる「木綿の歴史と機織り体験の巻」、地元ガイドに木綿街道の街並みを案内してもらえる「木綿街道まち歩きの巻」など、魅力的な体験がいっぱい!
事前にホームページの情報をチェックして予約してもよし。
チェックインの後に希望を言って、スタッフに提案してもらってもよし。
木綿街道を堪能できる体験で、より深く文化的な旅を楽しめます。
歴史的な建築を活用して、木綿街道の活性化を目指す ~‟RITA”という名前にこめた想い~
「RITA出雲平田 酒持田蔵」の‟RITA”の由来は、「遺産・継承・伝統」を意味する「HERITAGE(ヘリテージ)」の一部。
HE‟RITA”GE=歴史的な建物を受け継いで、活用しながら街並みを守り、さらに地域の人々や営みを盛り立てていくことを目指しています。
そして「利他的」という日本語も‟RITA”の由来のひとつ。
自らの利益だけを追求するのではなく、他者や地域と共存共栄しながら反映を目指す――それが‟RITA”の宿を営む「株式会社つぎと出雲」の想いだそうです。
「遺産」という言葉は‟負の遺産”という使い方をされることもあります。
例えば全国各地で問題になっている空き家は、そのままでは確かに‟負の遺産”となってしまうかもしれません。
ですが土地ごとの歴史を映した古い建物は、風土や人々の営みを体現する貴重な存在。
そんな空き家を大切に受け継いで、地域のために活用していくのが‟RITA”の狙いです。
「RITA出雲平田 酒持田蔵」は、そんな全国展開をする‟RITA”の宿の3軒目。
今後も出雲エリアをメインに、どんどん新たな‟RITA”が誕生していく予定です。
- DATA
RITA 出雲平田 酒持田蔵
HP:https://rita-izumo-hirata.jp/
住所:島根県出雲市平田町810
電話:0853-31-9793
- オススメ関連記事
出雲大社まで徒歩5分! 凛と和らぎ、風土が薫る美食の宿が誕生。【NIPPONIA 出雲大社 門前町/島根県出雲市】
「NIPPONIA」とは、日本各地に残る歴史的な建物を、その土地の文化と歴史を体感できる宿泊施設に生まれ変わらせるプロジェクト。 建物の良さはそのままに、快適に滞在できるようにリノ…
島根の港町の暮らしを、その文化ごと体験する旅行!【NIPPONIA出雲鷺浦 漁師町/島根県出雲市】
出雲大社の北、島根半島の日本海沿いにたたずむ港町・鷺浦(さぎうら)。 ここは江戸時代の半ばから明治にかけて、東日本との交易船・「北前船」の‟風待ち港”として栄えました。 往時の船宿…
出雲の街道の元造り酒屋で、「暮らすように旅行できる」宿! 島根の醸造の文化をまるごと体感。【NIPPONIA出雲平田 木綿街道/島根県出雲市】
『NIPPONIA』とは、日本の各地に受け継がれてきた古民家や歴史的な建物をリノベーションして、その土地の文化と共に体験できるようにした宿のこと。 ‟暮らすように泊まれる”新感覚の…
取材協力・
写真提供:
RITA 出雲平田 酒持田蔵(株式会社つぎと出雲)/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)