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「おしろい地蔵さま」とは? ~ 美肌伝説のお地蔵さま ~
「おしろい地蔵さま」と清巌寺があるのは、玉造温泉の奥。
温泉街の入口から徒歩で約5分です。
清巌寺には「温泉山」という別名があり、山を背後にたたずむ姿は風情たっぷり!
「おしろい地蔵さま」は境内の左手、観音堂の左側に鎮座しています。
「おしろい地蔵さま」のご由緒は、少なくとも150年以上前にさかのぼります。
その昔、顔にアザがあった和尚さんがお地蔵様に白粉 (おしろい) を塗ってお祀りしたところ、顔のアザが綺麗に消えました。
それを感謝して清巌寺にお祀りしたところ、
「このお地蔵さまにおしろいを塗って、自分の顔にもつけて祈れば美しくなれる」
と言われるように。
さらに体の悪いところや病気がある部分におしろいを塗って祈願すれば、それが治るとも言われています。
こうして美肌・美容・病気平癒 (へいゆ) のご利益が評判となり、大勢の人々がお参りするようになりました。
おしろい地蔵さまへのご祈願の作法
「おしろい地蔵さま」へのご祈願の作法は、以下のとおりです。
①本堂にお参りする
最初に清巌寺のご本尊さま(阿弥陀如来さま)にごあいさつしてから、「おしろい地蔵さま」へ向かいましょう。
「おしろい地蔵さま」があるのは、本堂の向かって左です。
(本堂へのお参りは外からでも大丈夫です)
②「祈願札」を授与していただく(初穂料300円/1枚)
「おしろい地蔵さま」の隣にある「おしろい札所」で、「祈願札」を授与していただきましょう。
「祈願札」は顔用・体用の2種類あるので、キレイになりたい/治したい部分の札を選びましょう。
(もちろん2種類とも授与していただいても大丈夫!)
③「祈願札」のキレイになりたい/治したい部分を色鉛筆で塗る
「祈願札」に描かれた顔や体の、キレイになりたい/治したい部分を色鉛筆で塗ります。
④塗った「祈願札」を納める
「おしろい地蔵さま」の隣にある棚に、塗った「祈願札」を納めます。
⑤「おしろい地蔵さま」に参拝しておしろいを塗る
いよいよ「おしろい地蔵さま」への参拝とご祈願!
お祈りしてから、お地蔵さまの下に置いてある筆でお地蔵さまの顔や体におしろいを塗ります。
※「祈願札」を塗った部分と同じところを塗りましょう
「キレイになれますように」
「体の悪いところが治りますように」
と祈りながら塗ると良いそうですよ。
これでご祈願は無事に終了!
御朱印をいただきたい人は、本堂右手の寺務所で授与していただけます。
【清巌寺の御朱印】
種類:おしろい地蔵さま/七福神の布袋さま/出雲三十三番官能霊場 岩屋寺(3種類)
初穂料:各300円
受付時間:8:00~18:00(冬季は17:00まで)
まだまだある! おしろい地蔵さまの美肌伝説
「おしろい地蔵さま」の美肌伝説は、まだたくさんあります。
玉造温泉に言い伝えられているお話をご紹介しましょう。
①美と良縁に恵まれた女性
昔々、玉造温泉のそばに住む女性が、お地蔵様の特別な縁日の12月24日に「おしろい地蔵さま」にお参りしました。
女性は年の暮れが押し迫るなか、もうすぐ迎える新年のために、お地蔵さまにお化粧をしてあげようと考えたのです。
※毎月24日はお地蔵様(地蔵菩薩)の縁日で、特に1年の最後の縁日となる12月24日は「納めの地蔵」と呼ばれてお地蔵様への感謝をあらわす日
女性はお団子の粉をこねたものをお地蔵様の顔に塗りました。
そのしばらくのち、女性はたいそう美しくなって良縁にも恵まれて、幸せに嫁いでいきました。
②肌荒れが治った女性・腰痛が治ったおばあさん
あるところに肌荒れで困っている女性がいました。
この女性が「おしろい地蔵さま」におだんごの粉を塗ってあげたところ、顔にあったイボがすべて取れてスベスベの肌になったそうです。
また、腰を痛めていたおばあさんが「おしろい地蔵さま」にお参りしたところ、腰の痛みがすっかり治ったそうです。
③現代のおとぎ話! 子宝に恵まれた夫婦
昭和40年頃のこと。
現在の住職さんのお友達に、とても気立ての良いご夫婦がいました。
住職さんがこのご夫婦に「おしろい地蔵さま」の伝説を話したところ、「風雨で傷んだお堂を再建するから、子授かりのお勤め(お経を唱えて祈ること)をして欲しい」と頼まれました。
そしてお堂が完成して住職さんがお勤めを果たしたところ、約1年後に夫婦はめでたく男の赤ちゃんを授かりました。
その後も2人の立派なお子さんに恵まれて、大喜びされたそうです。
おしろい地蔵さまだけじゃない! 清巌寺の見どころ
「おしろい地蔵さま」がある清巌寺は、臨済宗妙心寺派のお寺です。
号は「温泉山」で、開山(お寺を開くこと)は江戸時代の寛永14年(1637年)という古刹※です。
※古刹:美しい景色に恵まれた、古くていわれのあるお寺
お寺そのものはさらに古く、ずっと昔から玉造温泉を見守ってきました。
そんな名だたるお寺だけあって、立派で静謐なたたずまいに心が洗われます。
境内には本堂の阿弥陀如来さまをはじめ、昔話によく登場する六地蔵さま※、お大師さま(弘法大師さま)、七福神の布袋さま、火よけの神の秋葉山大権現さまなど、たくさんの仏さまや神さまがお祀りされています。
※「傘地蔵」に登場する6体のお地蔵さまは六地蔵さま
※ほかにも全国各地に六地蔵さまにまつわる昔話が残っています
また、毎週土曜日には坐禅会が開かれます。
美肌のパワースポットで気軽な仏教体験はいかがですか?
「清巌寺の座禅会」お問い合わせ:0852-62-0516
お寺の中にさらにお寺が! ~ 出雲観音霊場 三十三番札所 岩屋寺 ~
清巌寺の境内には、さらに別のお寺があります。
こちらは出雲観音霊場三十三番札所の「岩屋寺(いわやじ)」。
三十三か所ある出雲札所(観音霊場)の最後のお寺で、結願の地※でもあります。
※結願の地とは:巡礼の最後に訪れる場所
お祀りされている観音さまは、かつては松峯山という山の古墳に納められていました。
その後、同じ場所にお堂が建てられて「松峯山岩屋寺」と呼ばれていましたが、さらに清巌寺の境内に移されて、現在の「岩屋寺」ができたのです。
「岩屋寺」を含む出雲札所(観音霊場)は、約1000年前の平安時代に花山法王によって創設されました。
観音様が変化するという三十三とおりの姿にちなみ、三十三の寺院が定められています。
今もこの巡礼をする人は多く、“結願の地”の岩屋寺にお参りしてから、玉造温泉で疲れを癒す人々が見られます。
(写真:日帰り温泉「玉造温泉ゆ~ゆ」)
- DATA
おしろい地蔵さま(清巌寺)
HP:http://seiganji.matsuets.com/
住所:松江市玉湯町玉造530
電話:0852-62-0516(受付時間9:00~17:00)
参拝時間:夜明け~日没(自由にご参拝ください)
定休日:なし
アクセス:JR山陰本線「玉造温泉」駅よりバス10分、終点「玉造案内所」下車 徒歩5分
取材協力・
写真提供:
清巌寺・玉造温泉旅館協同組合/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)