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「たたらの里」で生まれた高純度の鉄で、唯一無二のプロダクトを創造。【奥出雲前綿屋 鐵泉堂/島根県雲南市吉田町】

2023年8月13日

田部家のたたら吹き かつて「たたら製鉄」で栄えた奥出雲の山里・雲南市吉田町。
ここで年に数回だけ行われる「田部家のたたら吹き」から生まれた玉鋼で造った、貴重なプロダクトのお店です。

「玉鋼(たまはがね)」とは、現代科学でも生み出せない高純度の鉄のこと。

それを和包丁や鉄瓶、カトラリー、ゴルフパターなどにして、日々の暮らしで使えるようにリデザイン。
古くは皇室のお守り刀にもなった貴重な玉鋼を、身近に所有できます。

玉鋼で造った貴重なプロダクトのお店

「たたら製鉄」の炎が100年ぶりに復活! そこから生まれた「玉鋼」のプロダクトを販売。

約600年前から「たたら製鉄」が行なわれてきた、島根県雲南市吉田町。

日本に唯一残る菅谷高殿(すがやたかどの)や、「たたら製鉄」の守り神が降臨したと伝わる巨大な御神木などが今も残る「たたらの里」です。
※菅谷高殿とは:「たたら製鉄」の炉や、それに風を送る鞴(ふいご)などが設置された建物

その里の中にあるのが、『奥出雲前綿屋 鐵泉堂(おくいずも まえわたや てっせんどう)』

大正10年に一度は途絶えてしまった「たたら」の火。
かつてこの地の「たたら製鉄」を指揮していた田部家が、2018年から約100年ぶりにたたらを復活させ、再び鉄を造り始めました。

その貴重な「玉鋼」を使った製品を販売しています。

最高純度の鉄 日本刀の原料として知られる玉鋼は、現代科学でも生み出せない最高純度の鉄。

「田部家のたたら吹き」から生まれたそれらを「真火鐵」と名付けて、多彩なプロダクトに加工!

「たたら」の炎 現代の世に復活した「たたら」の炎。

土製の炉に大量の砂鉄と木炭をくべて、1500℃の高温で「鉧(けら)」と呼ばれる鉄の塊を生み出す。

玉鋼 この「鉧(けら)」からさらに取り出した、高純度の鉄が「玉鋼」

奥出雲の刀匠が何度も鋼を焼き、折り返し叩きしめ、不純物を出しきったそれは、まるで日本刀のような美しさと強靭さを兼ね備えている。

伝統の和鉄 多彩な分野の職人やデザイナーが、新しいエッセンスを加味したプロダクト。

ぐい呑み、カトラリー、栓抜き、菓子切りなど、身近で使える伝統の和鉄。

現代のセンスで生まれ変わった新たな鉄製品 ~ 「玉鋼」プロダクト ~

「玉鋼」はいくつもの工程と職人技による手作業を経て、現代の生活に沿った道具に生まれ変わります。

伝統の技を受け継いだ刀匠が「たたら製鉄」で生まれた「玉鋼」を鍛えて、地域を越えた職人たちの手により、唯一無二の製品に昇華されます。

「いくつもの工程にたずさわった職人たちの想いや、『たたら製鉄』を生み出した先人たちの知恵と技術を、プロダクトから感じていただければ幸いです」

と、『奥出雲前綿屋 鐵泉堂』の櫛田さん。
その貴重な鉄製品の数々を見てみましょう。

和包丁 (墨流し三徳包丁)

和包丁 (墨流し三徳包丁)

日本刀の原料「玉鋼」の切れ味を、日々の生活で実感できる和包丁。

島根県でただ1人の刀匠・小林俊司氏が鍛えた玉鋼を、‟日本三大刃物産地”の燕三条市や堺市などの匠が丁寧に加工しました。

幾人もの匠の技を経て生まれた贅沢な包丁で、職人技の粋を集めた唯一無二の工芸品。
刃に施された流麗な文様「墨流し」も、その魅力を高めています。

※他に「玉鋼割込三徳」「先丸柳刃包丁」「ペティナイフ」もあり

ぐい呑み

ぐい呑み

「たたら製鉄」由来の和鉄を防錆加工して、鋳造工程を経て研磨で仕上げた「ぐい呑み」。

柔らかな丸みを帯びたフォルムの上半分を削って、口に当たる部分を極限まで薄く磨き上げています。
上下の部分の表情の違いや、なめらかな感触を楽しめる特別なぐい呑みです。

パター(TESSEN)

パター(TESSEN)

目を惹く流麗なデザインと、「真火鐵」ならではの機能性を備えたゴルフパター。

奥出雲の刀匠・小林俊司氏が何度も「折り返し鍛錬」した玉鋼を使用。
和鉄特有の吸い付くような打感と、優しいタッチを感じられます。

和鉄の匠「田部家」、刀の匠「小林俊司氏」、東大阪のゴルフパター職人の三つの匠の技が合わさった、至高のゴルフパターです。

パター(TESSEN)のヘッド部分 「パター(TESSEN) 」のヘッド部分は最高級のステンレスSUS316Lをインゴットから削り出して、熟練のゴルフパター職人がハンドミル(手彫り)でウロコ模様ひとつひとつ刻み込んだ逸品。

カラーはシルバー・ゴールド・ブラックの3種類。

和包丁 「和包丁はとてもよく切れて、野菜の繊維も潰れなくて甘さが増した!」
「鉄瓶で沸かした水がとてもまろやかだった」

と、高純度の和鉄ならではのメリットがいっぱい。
そんな機能性に加え、希少な玉鋼を手元に所有できる満足感もあり。

玉鋼 鈍色(にびいろ)、くすんだ色、という一般的な鉄のイメージとは異なり、磨き上げられた鉄はまるでプラチナのような澄んだ輝きを放つ!

そんな玉鋼の美しさを堪能できる、多彩なプロダクト。

※青や紫、赤や黄などの美しい色は、砂鉄に含まれる成分が「たたら製鉄」の高熱で化学変化したもの

たたら吹き

日本古来の製鉄法「たたら製鉄」に参加できる! 「田部家のたたら吹き」で秘伝の技にふれよう。

雲南市吉田町では、年に数回「田部家のたたら吹き」が行なわれています。

現代では雲南市吉田町と、お隣の奥出雲町でしか行なわれていない希少な「たたら製鉄」。
日本国内でもこの地域だけ、年に数回しか見られない秘伝の技です。

この貴重な伝統産業に、なんと一般の人も参加できます!
伝説とも言える「たたら製鉄」を体験できる、貴重な機会です。

本や映像では実感しきれないおごそかで神秘的な雰囲気、1500℃もの炎が渦巻く製鉄炉の熱、多くの職人たちの技と躍動を、目の当たりにできるチャンス!

興味がある方は、『奥出雲前綿屋 鐵泉堂』のホームページやSNSからお問い合わせしてみてください。

三昼夜にわたる操業

さらに「田部家のたたら吹き」を営む『たなべたたらの里』では、将来的に三昼夜(72時間)にわたる「たたら製鉄」の操業や、たたら研究の施設の創設を計画中。

たたら操業の時間を増やすことで玉鋼の生産量を増やし、新たな鉄プロダクトの開発や、たたら文化の継承、吉田町の地域活性化などを目指すそうです。

たたらの歴史的文化を軸に、新たな地域の可能性を生み出しつつある雲南市吉田町。

その新たな潮流と美しい玉鋼にふれて、貴重な「たたら製鉄」を体感してみませんか?

奥出雲前綿屋 鐵泉堂 玉鋼プロダクトを展示・販売している『奥出雲前綿屋 鐵泉堂』

吉田町の「たたら製鉄」の歴史や、その技術の継承と保護、吉田町を「たたらの里」として再生させるための情報発信基地としても活動中。

吉田町を訪れる人々や、地域住民とのつながりを生み出す交流の場にもなっている。

たたら製鉄 山深い奥出雲で、豊かな山林資源を活かして営まれてきた「たたら製鉄」。

木を伐り出し、牛に運ばせて、その牛のフンを田畑のたい肥にして、さらに木を伐り出した山林に新たな苗を植えて育てる――そんな「循環型社会」のさきがけでもあった。

土蔵群 かつて松江藩の「鉄師頭取」として、吉田町の「たたら製鉄」を指揮してきた田部家の土蔵群。

美しい白壁となまこ壁の土蔵群が、「たたら製鉄」の栄華を物語る。

※『奥出雲前綿屋 鐵泉堂』から徒歩すぐ

- DATA
奥出雲前綿屋 鐵泉堂

HPhttps://tanabetataranosato.com/tatara/tessen-tatara/
Instagramhttps://www.instagram.com/okuizumomaewataya_tessendo/

住所:島根県雲南市吉田町吉田2557-1

電話:0854-74-0008
営業時間:10:00~17:00
休日:月曜・火曜

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取材協力・ 写真提供: 奥出雲前綿屋 鐵泉堂/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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