島根県の「隠岐の島(おきのしま)近海だけでとれる、ブランド蟹。
隠岐の島の漁師だけに許された独特の漁法・「カニかご漁」で捕獲した後で、厳しい基準に合格したものだけが認定されて、それを示すブランドタグが付けられます。
松江や出雲でも食べられるが、鮮度抜群のとれたてを現地で味わえる魅力は、島根随一!
ぜひ隠岐の島に旅行してみよう。
~ 目次 ~
島根の松葉ガニの最高峰! 味も姿も極上の逸品。
山陰の冬のグルメと言えば、松葉ガニ!
「カニの王様」とも呼ばれて、そのほとんどが出雲の約40km沖に浮かぶ「隠岐の島(おきのしま)」の近海で獲れます。
種類はズワイガニで、以下の厳しい基準を満たしたカニだけが、『隠岐松葉ガニ』と認められます。
1.最終脱皮を終えたズワイガニのオスのうち、体重が500~700g以上のもの
2.隠岐の島の海域で、身を傷めない「カニかご漁」でとられたもの。
3.漁獲・販売時期は12~2月のみ
こうして獲られた『隠岐松葉ガニ』は、以下のような優れた特長があります。
・身に甘みと弾力があって、とても美味しい!
・焼きガニは更に甘みが増して、かに味噌を付けると絶品
・調理の仕方で多彩な味を楽しめる
これらは全て、独自の「カニかご漁」のため。
他県の松葉ガニは、主に「底びき網(海底に大きな網を沈めて船で引っぱり、たくさんの魚介を一網打尽にする方法)」でとるため、身が傷ついたり甲羅やカニ味噌の中に砂が入りやすく、味や鮮度が落ちてしまうのです。
島根旅行のだいご味とも言える松葉ガニ。
その最高峰を、ぜひ本場・隠岐の島で味わってみませんか?
グルメ垂涎! 『隠岐松葉ガニ』の秘密とは?
「松葉ガニ」とは、オスのズワイガニのこと。京都~島根の日本海側での呼び名で、福井県では越前ガニ、石川県では加能ガニとも呼ばれます。
さらに、水揚げされる港によっても別名がついています。津居山ガニ・間人(たいざ)ガニ・柴山ガニなどで、各地の名産品として知られています。
そんな数ある「松葉ガニ」の中で、『隠岐松葉ガニ』が特別な理由。それは隠岐の島の海域に、餌となるプランクトンが非常に豊富にだからです。
中でも『隠岐松葉ガニ』が棲む「隠岐堆(おきたい)」と呼ばれる大陸棚(たいりくだな)は、水深200~400メートルのゆるやかな大斜面。餌も環境も良好で、全国 屈指の好漁場となっています。
この恵まれた環境で生まれ、じっくり成長した『隠岐松葉ガニ』は、未熟なカニをとらないための禁漁期間の長さもあって、全国屈指の大きさと美味を誇ります!
さらにカニにストレスを与えない「カニかご漁」でとるため、身はプリッとした弾力で、上品な甘みが濃厚。カニ味噌もとてもクリーミーです。
こうした“特別な松葉ガニ”であることを示すために、2006(平成18年)年に、隠岐の島のカニ漁師たちの「隠岐カニかご船団」が『隠岐松葉ガニ』の名でブランド化。
他県の「底びき網船団」との差をハッキリと示しました。
ですが、これを行える期間は12~2月のみ。
わずか3ヶ月しかとれないため、『隠岐松葉ガニ』はとても貴重です。
さらに活きたまま、または茹でた状態で流通させるため、買ったり味わったりできるお店も限られています。
しっかり育った大きなカニを、優しく丁寧に水揚げ。
隠岐の島の漁師たちが行う「カニかご漁」は、カニに余計なストレスを与えないだけでなく、甲羅の中に砂が入りにくいため、珍味のカニ味噌を最高の状態で味わえます。
その手順は、餌を入れたカゴを海底に沈めてカニが入ってくるのを待つ、という昔ながらの漁法。このためカニを活きたまま無傷でとることができます。
カゴは翌日~数日後には引き揚げるため、一般的な「底引き網漁」に比べて時間も手間もかかります。こうして水揚げされた『隠岐松葉ガニ』は、わざわざ隠岐の島に旅行して食べるだけの価値があります!
一種類でフルコースが作れる高級シーフード! お好みの料理で味わい尽くそう。
こうして水揚げ・選別された『隠岐松葉ガニ』は、生きている時は瑞々しい黄土色で、焼いたり茹でたりすると、鮮やかなオレンジ色に変わります。
おすすめの食べ方は以下の通りです。
・焼きガニ(独特の風味が濃厚に香る)
・茹でガニ(マイルドな旨味で誰でも食べやすい)
・しゃぶしゃぶ(繊細な味が一番際立つ食べ方。透明な身が松葉のように広がって、見た目も美しい)
・刺身(氷水に浸けるとしゃぶしゃぶのように身が広がり、それを生醤油でいただく)
・カニ鍋(甲羅と脚に分けて、昆布だしでお好みの野菜と煮る)
特にとれたての『隠岐松葉ガニ』は、しゃぶしゃぶで食べるのが最高!
これら極上の珍味は、やはり隠岐の島への旅行で味わうのが一番。
ぜひ12月~2月に旅行してみましょう。
グルメ旅行ならここ! 『隠岐松葉ガニ』が食べられる隠岐の島のお店や宿。
それでは、いよいよ現地のお店と宿のご紹介です。
どれも漁船や魚市場から直接仕入れている、地元の通がおすすめする名店。最後に旅行ツアーの申し込み先もあるので、「島根は初めてだし、離島への旅行を手配するのは不安・・・」という方でも安心です。
※『隠岐松葉ガニ』は、いずれの店舗も12~2月の在庫がある時のみ注文可能
【隠岐松葉ガニを買えるお店】
●フィッシャーマンズワーフ隠岐
住所 / 島根県隠岐郡隠岐の島町中町目貫4-58
電話番号 / 08512-2-6600
営業時間 / 8:00~
定休日 / 水曜(臨時休業日あり)
隠岐の島町のフェリーターミナルのすぐ側で、水揚げしたての『隠岐松葉ガニ』が並んでいます。
ほかにも白イカ・真鯛・アワビ・ウニ・サザエ・白バイ貝・ヒオウギ貝・アカモク(海藻)など、隠岐の島の名物がいっぱい!
海鮮が自慢の島根の中でも、屈指の新鮮さです。
狙い目の時間は、水揚げされた魚介類が店頭に並びだす、午前11時頃。
2階はレストランになっていて、とれたてをその場で料理してくれます。
発送も行っていて、ボイルしたカニを送ることもできます。
【隠岐松葉ガニを食べられるお店】
●居酒屋 鱗(りん)
住所 / 島根県隠岐郡隠岐の島町西町八尾の一 10-4
電話番号 / 08512-2-8234
営業時間 / 18:00~23:00
定休日 / 不定休
※仕入れ状況により提供できない場合あり
地元の通が通う居酒屋で、隠岐の島の新鮮な魚介類をいただけます。
『隠岐松葉ガニ』のほかには、濃厚な旨味の「白バイ貝」がおすすめ。刺身・串焼き・フライ・壺焼きなど、バラエティ豊かなメニューが注文できます。
●のみくいハウスDOZi (どじ)
住所 / 島根県隠岐郡隠岐の島町中町目貫の四43
電話番号 / 08512-2-1184
営業時間 / 17:00~23:00
定休日 / 日曜(臨時休業あり)
※仕入れ状況により提供できない場合あり。
隠岐の島の郷土料理と、島の地酒を味わえる居酒屋。隠岐の島のブランド牛・『隠岐牛』もおすすめで、島でたくさんとれるサザエ料理も人気。
【隠岐松葉ガニを食べられる宿】
●“島のひかり”が彩なす海の宿 羽衣荘
HP / http://okiplaza-hagoromo.com/
住所 / 島根県隠岐郡隠岐の島町都万2213
電話番号 / 08512-6-3232
※カニ付の宿泊プランは予約時に要確認
隠岐の島町で一番海に近い宿で、海鮮会席と日本海を一望できる大浴場が自慢です。まわりには杉皮葺きの舟小屋が立ち並んでいて、古式ゆかしい漁村の風景がみられます。
宿泊料金は、1泊2食付で1万円台~2万円台前半(2020年1月時点)。
『隠岐松葉ガニ』のフルコース付きプランのほか、ご予算に合わせた旅行プランが多数あります。
【隠岐松葉ガニが食べられる旅行プラン】
「離島旅行を自分で計画するのは不安・・・」という方のための、安心・リーズナブルな旅行プランです。
「隠岐汽船フェリー」の往復チケットと、島でのレンタカー料金・宿の宿泊料金がセットになった便利なプラン。以下の旅行代理店で予約できます。
●隠岐旅工舎
HP / https://okitabi.jp/TravelPlans/view/152
募集期間 / 12月~2月(年末年始を除く)
※1名からお申し込み可
※お申し込みは出発日の7日前まで
貴重な資源を保護しながら『隠岐松葉ガニ』の名を広める。
島根の宝・『隠岐松葉ガニ』を守るために、隠岐の島では資源保護の取り組みが盛んです。
島外ではPRイベントや資源保護策の広報、島内では小中学生向けの学習会と料理教室を開催。
また、「カニかご漁」のカゴは網目を13cm以上にして、さらに内径9.5cm以上の「脱出リング」を付けています。そのため、もしも小さいカニが入っても自由に逃げられます。
そして漁獲可能量(TAC)を定め、それを超える量は獲らないように徹底。さらにメス(親ガニ)や脱皮したばかりの若いオス(水ガニ)は、水揚げしてもすぐ海に逃がします。
※水ガニは、大きくなる1月下旬から漁を解禁して2月下旬までに終える
極上のグルメで、限りある資源でもある『隠岐松葉ガニ』。
島根と隠岐の島の名物を末永く残していくために、島全体で取り組んでいます。
- DATA
隠岐松葉ガニ
HP:https://www.e-oki.net/feature/kani.php
住所:島根県隠岐郡隠岐の島町港町塩口24 (隠岐観光協会)
電話:08512-2-1577(購入先などのお問い合わせ)
営業時間:8:30~19:00
休日:年末年始
料金:1杯 2,400円~30,000円程度(時価につき変動あり)
販売期間:11~2月
取材協力・
写真提供:
隠岐観光協会/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)