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日御碕神社とは? ~日本海の夕日に輝く壮麗な神社~
「日御碕(ひのみさき)神社」があるのは、島根半島の西の端。
日本海にほど近く、夕方には海に沈む夕日に照らされて神々しく輝きます。
そのため「日が沈む聖地の宮」とも呼ばれています。
上下二社からなる豪華絢爛な神社
鳥居をくぐって大きな楼門を抜けると、境内に2つの社殿が現れます。
正面に建つのが「日沉宮(ひしずみのみや)」で、出雲神話の最高神・天照大御神(アマテラスオオミカミ)をお祀りしています。
そして右手の高台にたたずむのが「神の宮(上の宮)」。
こちらはヤマタノオロチ退治で有名な素盞嗚尊(スサノオノミコト)をお祀りしています。
天照大御神は出雲神話の最高神で、素盞嗚尊はその弟神です。
とても位の高い神様たちをお祀りする、霊験あらたかな神社です。
日御碕神社の建築 ~桃山時代の華やかな「権現造り」~
「日御碕神社」は奈良時代の733年に編さんされた「出雲国風土記」にも登場する、とても古い神社です。
現在の社殿は徳川幕府の第3代将軍・徳川家光公の命によって建てられたもの。
徳川家康公をお祀りする日光東照宮が完成した翌年から、約7年の歳月をかけて建てられました。
「日社殿には龍や唐獅子、鳥や海の波などの生き生きとした彫刻がたくさん!
これらも極彩色に彩られていて、とても美しい神社です。
工法は日光東照宮の流れをくむ「権現造り」で、桃山時代の華やかさと豪壮さを感じられます。
社殿は鮮やかな朱色に丹塗り(にぬり)※されていて、青い空と海、緑の松林とのコントラストが見事。
築360年以上を経た建築で、「日沉宮」と「神の宮」の2つの社殿・鳥居・境内の石造建築物などが国の重要文化財に指定されています。
※丹塗り(にぬり)とは:漆(うるし)・膠(にかわ:動物の皮からとれる接着剤)・金属粉などの伝統的な染料による塗装方法。魔除けや神聖さを示す朱色で美しく彩り、虫や腐食にも強くなる。
日御碕神社の御朱印
「日御碕神社」の御朱印は初穂料500円。
日本の夜を守る神社らしく、「守」の字が大きく書かれています。
さらに国産の桜の木で作った「護縁珠(ごえんじゅ)」も、初穂料500円で授与していただけます。
護縁珠とは、出雲の主な神社とお寺20カ所からなる「出雲國神仏霊場 」に参拝した証。
社寺ごとに違う護縁珠があり、社寺の名前・札番(番号)・社寺の教えにまつわる一文字が彫られています。
「日御碕神社」の護縁珠は、御朱印と同じ「守」の字が彫られています。
20の社寺全てにお参りして20個の護縁珠をそろえれば、とても縁起の良い首飾り状の御守りが完成します。
※首飾りにするには「御縁珠むすび(組みひも)」が必要(初穂料1800円/20社寺の全てで授与)
日御碕神社の祭事 ~神幸神事と和布刈神事~
「日御碕神社」では、ご由緒に深くかかわる祭事が行われます。
代表的な2つをご紹介しましょう。
神幸神事(みゆきしんじ) 8月7日 17:30~19:00
毎年8月7日の例祭と共に行なわれる「夕日の祭り」。
天照大御神が日御碕にご鎮座されたことを祝う神事で、夕方18時から始まります。
まずは「日御碕神社」の初代の祭主・天葺根命(アメノフキネノミコト)の御魂代を移した神輿行列が、「日沉宮(ひしずみのみや)」を出発します。
そして最初に「日沉宮」が築かれた経島(ふみしま)の対岸に設けられた御旅所(おたびしょ:神様がご休憩やお泊りされる場所)に行き、祭祀を執り行ないます。
さらに同時刻、2人の神職が小舟で経島に上陸して、おごそかな神事を執り行います。
当日17時までに「日沉宮」に集合すれば、神輿行列にはどなたでも参列できます。
(旗や矛を持って「日沉宮」から御旅所までの約150mを歩きます)
【神幸神事のお問い合わせ】
TEL:0853-54-5261(日御碕神社)
受付時間 8:30~18:00
和布刈神事(めかりしんじ)
「日御碕神社」に伝わるワカメの故事にちなんだ、海で行なわれる神事。
成務天皇6年(137年)の1月5日の早朝、1羽のウミネコが「日御碕神社」の欄干に海草を3回かけてから飛び去りました。
これを不思議に思った神主が、かけられた海藻を水で洗って乾かしたところ、それがワカメになりました。
この話にちなみ、毎年旧暦1月5日のお昼に行われます。
※日にちは毎年変わります
「和布刈神事」の舞台は宇龍港(うりゅうこう)の権現島に建つ熊野神社。
赤い下帯を身に着けた男性たちが、大漁旗をなびかせた漁船に乗り、「船橋」と呼ばれる木の板を船にかけてから、神職や地元の人々がその上を渡って乗り込みます。
「和布刈神事」の舞台は宇龍港(うりゅうこう)の権現島に建つ熊野神社。そして船唄が響くなか、船で権現島に上陸して、神職が箱めがねを使って鎌でワカメを刈ります。 このワカメを熊野神社に供えて、今年一年間の豊漁を祈願します。
日御碕名物のワカメは、この「和布刈神事」を終えてから収穫を始めるのがしきたりです。
【和布刈神事神事のお問い合わせ】
TEL:0853-54-5261(日御碕神社)
受付時間 8:30~18:00
日御碕神社の歴史 ~伊勢大神宮の対となる、日本の夜を守る神社~
出雲神話の時代から続く「日沉宮(ひしずみのみや)」
「日御碕神社」の始まりは、出雲神話の時代にさかのぼります。
素戔嗚尊(スサノオノミコト)の五世の孫にあたる天葺根命(アメノフキネノミコト)が、現在の「日御碕神社」にほど近い、清江の浜の経島(ふみしま)を訪れました。
すると天照大御神がご降臨されて、
「我天下の蒼生(国民)を恵まむ、汝速かに我を祀れ」
というご神勅を与えました。
それを受け、経島に天照大御神をお祀りする「日沈宮」が建てられました。
そして平安時代の948年(天暦2年)に、当時の村上天皇の勅命によって現在の地に遷座(移動)されたのです。
そして奈良時代の735年(天平7年)に出された「乙亥の勅」にも、「日御碕神社」についての記述があります。
「伊勢大神宮は日の本の昼の守り、出雲の日御碕 清江の浜に日沈宮を建て日の本の夜を守らん」
このことから、日本の昼を守る伊勢大神宮に対して「日本の夜を守る神社」だと言われています。
「神の宮」の始まりも出雲神話の時代
一方、素戔嗚尊(スサノオノミコト)をお祀りする「神の宮」の始まりも、出雲神話の時代までさかのぼります。
出雲の国造りを行なった素戔嗚尊が、根の国(黄泉の国)から「吾が神魂はこの柏葉の止まる所に住まん」と唱えて柏の葉を投げました。
すると、その葉が風に乗って現在の「神の宮」の背後にある「隠ヶ丘(かくれがおか)」にとまりました。
この神話をうけて、後世に「日沉宮」を建てた天葺根命(アメノフキネノミコト)が、この地に素戔嗚尊をお祀りしたのです。
日御碕の見どころ ~絶景・海鮮グルメ・海のレジャーが楽しめるサンセットリゾート~
「日御碕神社」が建つ日御碕は、壮大な日本海に囲まれた海のリゾートです。
日本一高い出雲日御碕灯台がそびえていて、新鮮な海の幸を味わえるお食事処や宿が並びます。
「日御碕神社」にお参りした後はホテル・民宿・グランピングなどに泊まって絶景の夕日を楽しむのがおすすめ!
経島などの神話の名所を巡るのもよし、釣りやマリンスポーツでアクティブに遊ぶのもよし。
出雲観光の穴場スポットです。
出雲大社にも車で約20分と近く、あわせてお参りできる貸切タクシー(出雲周遊観光タクシーうさぎ号)などが人気です。
- DATA
日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)
HP:https://www.izumo-kankou.gr.jp/special/678 (出雲観光協会)
HP:https://shinbutsu.jp/shrines-temples/hinomisakijinja/ (出雲國神仏霊場)
住所:島根県出雲市大社町日御碕455
お問い合わせ:0853-54-5261
御守所:8:30~16:50
※参拝はいつでも可
取材協力・
写真提供:
出雲観光協会・公益社団法人 島根県観光連盟/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)