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蕎麦もお米もぜんぶ奥出雲町産! 安心・安全な里山のごちそう。
出雲の山あいにある奥出雲町。
ここは「蕎麦の町」として有名で、かつて絶滅しかけた幻の「横田小そば」など、たくさんの「在来種そば」が今も作られています。
そんな蕎麦のメッカでもひときわ人気なのが、この『姫のそばゆかり庵』。
一度食べれば忘れられない美味しさの「横田小そば」を、‟石臼挽き・手打ち・つなぎなし”の十割そばで食べさせてくれます。
さらに‟お米の西の横綱”と呼ばれている仁多米(にたまい)のおにぎりも好評で、こちらは自家栽培のハデ干し!(収穫した稲を束ねて天日で干す、昔ながらの乾燥方法)
野菜や果物などはすべて自家栽培で、スサノオノミコトがヤマタノオロチから助けたお嫁さん・稲田姫(クシナダヒメ)を祀った神社の中にあるという、特別なロケーションも人気です。
何を注文してもハズレなし! 奥出雲の蕎麦の美味しさに感動。
『姫のそばゆかり庵』のメニューは、どれも奥出雲町産の蕎麦の美味しさをしっかり引き出したもの。出雲伝統の「割子そば」や「釜揚げそば」も、独自のアレンジでさらに美味しく味わえます。
中でもおすすめなのが、以下の3品です。
①横田小そばのそば御膳 ※数量限定
一膳で幻の「横田小そば」と奥出雲の豊かな食材をたっぷり味わえる、贅沢なセット!
『姫のそばゆかり庵』で一番人気のメニューです。
【セット内容】
・在来種「横田小そば」の割子そば
・ハデ干し(天日干し)の仁多米コシヒカリのおむすび
・季節のお惣菜数種 ※日替わり
・季節のスープ ※日替わり
・小さなデザート ※日替わり
・そば湯
「横田小そば」や仁多米のおにぎりはもちろん、奥出雲町産の高原野菜で作られたお惣菜の数々も、滋味あふれる味わい。
お惣菜・スープ・デザートは日替わりなので、何度も通いつめて注文するファンもたくさん。そのためすぐに売り切れてしまうので、これがお目当ての方はなるべく早めに行きましょう!
②釜揚げ割子2枚
温かい「釜揚げそば」と冷たい「割子そば」を一緒に味わえる、これまた贅沢なセット。
どちらも出雲の伝統的なそばで、「割子そば」は丸い器に盛られたそばに、薬味と出汁を直接かけていただきます。
そして「釜揚げそば」は、ゆでたお釜から器に直に盛りつけて、濃いめの出汁をお好みでかけていただきます。
専用のトロみのある「そば湯」がかかっているので、濃厚なそばの風味が楽しめます。
③奥出雲そば三昧
「横田小そば」と「品種改良種」を食べ比べできるセット。
どちらの蕎麦も奥出雲町産で、濃厚な味わいの「横田小そば」と、香りの強い「品種改良種」のそれぞれの特徴を楽しめます。
奥出雲町にしかない「横田小そば」の美味しさの秘密とは?
「横田小そば」は、蕎麦本来の味が濃厚に漂う特別なそばです。
噛めば噛むほど味わい深く、口の中いっぱいに広がる豊かな香りがたまりません。
その秘密は、収穫量を多くするために改良された品種にはない、原種ならではの味。
粒を大きく改良された「品種改良種」は、旨みや風味の元となるタンパク質が多い甘皮や胚芽に比べて、デンプン質が主成分の胚乳が大きく、そのぶん味が薄くなる傾向にあるのです。
「横田小そば」は品種改良種の約半分ほどと小粒ですが、その中に強い甘みと濃厚な風味が凝縮されています。
そのため味も香りも素晴らしい、旨みたっぷりの蕎麦が打てるのです。
大切に自家栽培した幻の「横田小そば」は、ずっと守り伝えたい奥出雲町ならではの味。
このように、とても貴重で美味しい「横田小そば」。
でもその収穫量は、なかなか思うようには増やせないそうです。
その理由は、一本の苗にみのる実が少なくて、その粒も小さいため。
さらに普通の蕎麦と比べて収穫期が遅いため、台風の影響を受けるリスクもあります。
「例えば同じ面積で『横田小そば』を栽培しても、普通の蕎麦と比べて半分以下の量しか収穫できません。さらに美味しく育てるには、肥やしを入れて地力を高めなくてはなりません。
また、昨今の温暖化のために畑の標高を上げていかないと、昔ながらの味わいを残せなくなってきてます。このように育てる労力は並大抵ではなく、その年の天候しだいでは赤字が出るリスクまであります」
こう語るのは、『姫のそばゆかり庵』の店主の山中将道さん。
『横田小そば』の味に惚れ込み、先代の店主からお店を継いで、奥出雲町に移住してきました。
「そして他の品種との交雑(別の畑から飛んできた花粉で意図しない交配が起きること)を防ぐために、隔離された畑で栽培しています。
さらに本来の味を守るために、種子は毎年更新しています。
私は広島からの移住者で、元々はサラリーマンをしていたのですが、このとても手間がかかるけどとても美味しい『横田小そば』に魅了されて、『横田小そば』に関わる仕事がしたい、と思って奥出雲町に移住しました。
標高が高くて昼夜の寒暖の差が激しい奥出雲町でないと、この濃厚さはだせない特別な蕎麦です。ぜひ奥出雲町に訪れて味わってみてください」
自ら惚れこんで、手ずから畑で育てた「横田小そば」。
それにかける山中さんの情熱はひとしおです。
「『姫のそばゆかり庵』は、病気で引退した先代から受け継いだお店です。
かつては『ゆかり庵』のある稲田神社が寂れきっていて、もともと氏子がいなかったこともあって、幣殿はボロボロ、境内や庭には草がボウボウというひどい有り様でした。
スサノオノミコトがヤマタノオロチから助けた稲田姫(クシナダヒメ)を祀った由緒正しい神社なのに、参拝する人もほとんどいない、という寂しい状態だったそうです。
その様子を見かねた当店の先代が、『境内にある庭や、風情ある社務所を活かして何かお店ができないだろうか?』と地元の宮司様に相談したことから、『姫のそばゆかり庵』がスタートしました」
「奥出雲の食材を使って、風情ある社務所をお店にして、きれいな庭や歴史ある神社を眺めながらゆったりお食事を楽しんでいただきたい――そんな人々の憩いの場となれるように、と大切に営んできました。
そんな『姫のそばゆかり庵』に、ぜひ奥出雲ならではの蕎麦を食べにいらしてください」
奥出雲町は自然にやさしい循環型の農業や、やはり自然との循環を考えた「たたら製鉄」が行なわれていたことから、町全体が‟日本農業遺産”に認定されています。
『姫のそばゆかり庵』が実践しているのも、まさにその「循環型」の農業。
石臼で挽いた後のそば殻や、ハデ干しした後の仁多米の稲わらは、地元の牛飼いの人達に引き取られて牛のエサになります。
そしてそれを食べた牛のフンは、地力を上げるための肥やしとなって再び畑に還されます。
自然と調和して、地元の食文化を守り伝える『姫のそばゆかり庵』。美味しいお蕎麦の背景に、そんな豊かなストーリーがあることが感じられます。
- DATA
姫のそば ゆかり庵
HP:https://www.facebook.com/himenosobayukarian/
住所:島根県仁多郡奥出雲町稲原2128-1 稲田神社内
電話:0854-52-2560
営業時間:11:00~14:30(L.O.14:30)
休日:毎週火曜・毎月第3水曜
※祝日の場合は営業
※神社行事や冬季休業あり
料金: 1人単価 1,000円~
取材協力・
写真提供:
姫のそば ゆかり庵 等/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)