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【伯 HAKU /鳥取県境港市】在来種の和綿・「伯州綿」から生まれた、100%オーガニック・コットンの新ブランド。

2020年1月4日

江戸時代から300年以上にわたって栽培され続けてきた『伯州綿(はくしゅうめん)』から生まれた、国産オーガニックコットン・ブランド。境港市の在来種の「和綿」をモダンにリニューアルして、身も心も豊かになれる新たな暮らしのパートナーとした。

綿を本来の優しく健康的な布に。

誰もが手にとったり身にまとったりして、その温もりと心地良さに触れたことがある「綿(めん)」。
人々の暮らしに古代から寄り添い、なくてはならない必需品として親しまれてきました。

ですが、そんな「綿」は今や大量生産による工業化により、古来の優しく安全な布とは違った存在に変化。農薬過多な栽培方法や、生産効率優先の加工方法で環境を破壊するなど、その在り方と安全性が問われています。

そんな綿を古来の優しく安全な布に戻し、極上の安らぎをも甦らせる――そんな想いで鳥取県境港市の在来種・『伯州綿』を復興して、新たなブランドとした会社があります。

株式会社きさらぎの『伯 HAKU』。
栽培から紡績(綿花を糸につむぐ工程)、織り、デザインに至るまで、すべて国産で仕上げた希少なオーガニック・コットン。由来が確かな“本物”として、熱い注目を浴びています。

一口に「オーガニック・コットン」と言っても、その信頼性や品質は様々。トレーサビリティ(生産・製造・流通の全工程の追跡)があいまいな製品も多く、「原料と工程が100%オーガニック」と言いきれる製品はまれ。

日本海に面し、中国地方の最高峰・大山(だいせん)の麓に広がる風光明媚な境港市。ここで江戸時代から大切に受け継がれてきた地域の遺産を、先人に敬意を払って新たなブランドとした。

「本物だけが持つ素晴らしさを知って欲しい」 それが『伯 HAKU』を作り上げた人々の願い。
・バスタオル 600mm×1200mm 8,800円(税込)

伝統の和綿(わめん)と、それを取り巻く地域文化の復興を目指して。

『伯 HAKU』 は、ただ在来種の和綿を甦らせてモダンなブランドにしただけではありません。
「次の世代のために何が出来るか」を広く問いながら、現代社会で忘れられかけた「優しさ」や「思いやり」、「未来に向けて自然を大切に思う心」などをも引き継いでいます。

「2012年の秋、私達は自分達の住む境港市の歴史的な遺産に出会いました」と語るのは、株式会社きさらぎの代表取締役・木村正明氏。

「それが『伯 HAKU』の原料となった『伯州綿』で、その優れた品質ゆえにやや高価だったため、境港市が主導してブランド化を試みてはいたものの、それが難航して『なんとか良い製品にできないだろうか』と弊社にお話がきたんです。私達の本業は文具の企画・流通業で、綿の栽培も製品化も全くの異分野でした。ですが本業で全国に販路を持っていて、LOFTさんや東急ハンズさんといった最新の流行源となるショップにも伝手がありました。それらを活用して、試行錯誤の末に『伯 HAKU』を生み出したのです。幸いにも、2018年頃から一気に知名度が広がって、今ではとても多くの方々に手に取って頂けるようになりました」。

かつて「伯耆(ほうき)の国」と呼ばれていた境港市に、連綿と受け継がれてきた「和綿」。それをかつてのように農薬や化学肥料を一切使わずに、境港市の土と、そこに降り注ぐ陽光と、日本海から吹く潮風と、自然の雨水で育てる――こうした伝統までをも受け継いで、由来も出どころも確かな“本物”としたのです。

綿の苗。かつて「和綿」の一大産地として知られ、”日本の和綿の発祥の地”とも言われていた境港市。その復興とさらなる発展を目指す。

綿の花。「地域へのこだわり」「トレースできるものづくり」を掲げて、大量生産・大量消費とは真逆の価値観を広めている。

地域の誇りをその名にこめて。

先人の想いと故郷の自然を受け継ぎ、次世代へとつなげる――そんなプライドをもって生み出された『伯 HAKU』は、今や「和綿」のトップランナーになりました。
その理由は、どこまでも伯州=境港市にこだわり抜いたものづくりと、とことんトレーサビリティを追及した生産工程にあります。

そんな『伯 HAKU』は、以下のような優れた特長を持っています。

原料の『伯州綿』は全て境港市産で、加工も国内かつオーガニックで行っている。
たとえばスポーツタオルとウォッシュタオルの抗菌・防臭加工に使っているカニ殻なども、境港市内の工場まで訪ねて原料の由来と加工方法を確認している(境港市名産の紅ズワイガニ)。

弾力性と保湿力に富んだ『伯州綿』の特性をさらに引き出すために、ペルー産とアメリカ産のオーガニック・コットンとブレンド。日本海から吹く潮風に育まれた『伯州綿』への誇りをこめて、この原料糸を「シーブリーズコットン」と名付けた。

伯州綿で織ったミニハンカチを、伯州綿の葉っぱと木で染め上げる「綿木染(わたぎぞめ)」も開発し、「綿木染」の名称と共に商標登録を行っている。
・ミニハンカチ 綿木染 250mm×250mm 1,650円(税込)

素朴でエコなダンボール製のパッケージ。伯州綿の種を付けており、買った人が『伯州綿』の原料に触れて自ら育てることもできるようにしている(種の育て方はホームページで紹介)。
・スポーツタオル 340㎜×1200㎜ 2,200円(税込)
・ウォッシュタオル 360㎜×340㎜ 880円(税込)

すべての工程で環境に配慮。

「オーガニックにはとても厳格な規定があって、たとえば紡績(ぼうせき/綿花を糸に紡ぐ工程)ひとつとっても、一般的な農薬まみれの綿を紡いだラインは使えません。なぜなら原料が無垢でも、そこで農薬が移ってしまうからです。そのため100%オーガニックの製品にするためには、たくさんの苦労がありました」と木村氏は振り返ります。

紡績はオーガニックの規定を満たした大阪の会社に、その糸を染めたりタオルに織り上げる工程はタオルの名産地・愛媛県今治市、大阪泉佐野市で。独特な織り柄のニット製品は、山梨で織り、京都の職人の手染めの草木で染めています。さらに漂白加工は無公害の自然に優しいオゾン漂白で――

原料を携えて全国を駆け回り、自らの目で確かめて、ようやく満足できる「本物のオーガニック・コットン製品」が完成しました。それを自社でデザインしたやはりエコなパッケージに入れて、ようやくシンプルでいながら極上の『伯 HAKU』が出来あがるのです。

「オーガニックについては全くの素人でしたが、日本オーガニックコットン協会に加盟して勉強を重ね、オーガニックコットン販売士の資格も取得しました。全てにこだわりを持って責任持って仕上げていますので、ぜひお手に取ってみてください」と木村氏は胸を張ります。

製品になるまで約10ヶ所もの土地と工程を経るという、驚きのこだわり。「100%オーガニック」を実現するために、妥協はない。

農薬過多な普通の綿は1kgあたり100~200円と安価だが、輸入のオーガニック・コットンは800~1000円、伯州綿はなんと10,000円という価格。 国産・在来種の貴重な和綿だからこそ、高価で高品質。

『伯 HAKU』を手に取った人々に環境と自然に興味を持ってもらいたい――その想いが全ての製品にこめられている(ギフトセット)。

全国的にも稀な国産オーガニック・コットンで、地域おこしにも貢献。

伝統の手仕事で丁寧に作られた、上質な和綿。そんな『伯 HAKU』の生産に関わることで、境港市とそこに住まう人々にも様々な恩恵が広がっています。

「綿の栽培は農業の中では軽作業なので、お年寄りでも栽培しやすいんです。境港市は地方の例にもれず高齢化が進んでいますが、そんな中で市が栽培サポーターを募集して、地域のお年寄りに働いて頂いています。それが皆さんの収入や生きがいに繋がっているようです。
さらに、そのお孫さんなどのお子さん達が、綿の栽培に取り組むおじいちゃんやおばあちゃんの姿を見たり、綿が育つ様子を見たり、自ら触れてみたりすることで、良い情操教育ともなっているようです」。

木村氏が語るように、ただの特産品を超えた波及を生み出している『伯 HAKU』。
作る人も使う人も元気になれる、自然の賜物(たまもの)です。

鳥取砂丘の風紋をモチーフにした織り柄が特徴のマルチケット。全ての製品に地域への愛がこもっている。
・マルチケット 草木染 700mm×1600mm 19,800円(税込)

日本海に面した境港市は、弓ヶ浜(ゆみがはま)という総延長 約18kmもの砂州(さす)に面している。そのため内陸にも砂地が多く、その土壌と日本海から吹く潮風が綿の栽培に適している。
身にまとい、触れてみれば、その風土までをも感じ取れるかもしれない。

貴重な『伯州綿』を未来に残していくために。

こうして世に出た『伯 HAKU』は、さらに別のムーブメントをも生み出しています。

「お使いになった方々から、『こんなに柔らかで風合いのいいタオルは初めて!』『吸水性がとても良い』『スポーツタオルは安全な抗菌・防臭加工なのに、いくら拭いても汗臭くならない』『肌に直接触れるものだから、加工や染めの工程も安全なのがうれしい』などなど、多くの喜びのお声を頂いています。
今は環境への関心が高まって、原料の由来や発展途上国の人々を搾取していないかどうか、なども気にされる方が多く、そういった方々にもご満足頂ける商品となっているようです。
日本オーガニックコットン協会の一員として、そういった情報発信のセミナーもお手伝いしたり、地元での普及活動なども行っていますので、そうした意識の広がりを直に感じられるのがうれしいですね」。

かつて鳥取藩の財政を支えた逸品で、今も和綿の代表格として知られる『伯州綿』。それを未来に残していくために、株式会社きさらぎと木村氏はさらなる挑戦を続けていきます。

地元の小学校で『伯州綿』を使った工作や手芸を行なったり、全国から畑の視察を受け入れたり。地域の遺産を全国にも広めてエコな輪をも広げている(綿花がはじける前のコットンボール)。

今後は種から採れる「綿実油(めんじつゆ)」を活用したハンドケア製品なども企画。さらに『伯州綿』の可能性を追求していく。

- DATA
伯 – HAKU (株式会社きさらぎ)

HP:http://haku-cotton.jp/
オンラインショップ:https://haku.shop-pro.jp/
住所:鳥取県境港市馬場崎町211-1

電話:0859-44-4787
営業時間:
 ①本社 / 9:00~17:30
 ②BEE WING(米子空港売店) / 6:00~20:30
休日:
 ①本社 / 日曜
 ②BEE WING(米子空港売店) / 年中無休

取材協力・ 写真提供: 株式会社きさらぎ/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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