美術館と劇場が完全バリアフリー構造で1体となった、日本では珍しいアートの複合施設。
美術展、コンサート、演劇などのバラエティ豊かな催しを楽しめるほか、島根県西部の地場産業・「石州瓦(せきしゅうがわら)」で彩られた、日本を代表する建築家・内藤廣氏の設計による建築も見事!
島根西部の旅の拠点・石見空港にほど近く、空港利用者への特典やイベントもあり。
津和野・萩への交通も便利で、島根西部のアートな旅行スポットです。
~ 目次 ~
旅行でも訪れたい、島根西部のアートの発信地。
絵画をはじめ、たくさんのアートが見られる「美術館」と、流行のライブから伝統芸能まで、多彩なパフォーマンスが観られる「劇場」。
これらは人々の心を潤わせ、才能を目覚めさせたり、豊かな情操を育んだりしてくれます。
その2つが合体したのが、ここ島根県芸術文化センター「グラントワ」(以下「グラントワ」)。
「島根県立石見美術館」と「島根県立いわみ芸術劇場」の複合施設で、島根県の西部・石見(いわみ)地方にアートの風を吹きこみ、そこを訪れる旅行 者にも一流のエンターテイメントを見せてくれます。
その建築もアーティスティック! 島根の伝統工芸×有名建築家のコラボレーション。
「グラントワ」の名前の由来は、「大きな屋根」と言う意味のフランス語 「Grand Toit」 です。
その名を象徴するかのように、傾斜のゆるやかな切妻屋根がなだらかに連なる構造が見事! フィレンツェの赤レンガにも似た石見地方の地場産業・「石州瓦(せきしゅうがわら)」がなんと約28万枚も使われていて、温かなムードを醸し出しています。
石見でよく見られる赤瓦の屋根を、モニュメントの域にまで高めた建築。
これは日本を代表する建築家・内藤廣(ひろし)氏の設計で、自然の風や雨で汚れが落ちるという、エコなメンテナンスフリー機能を兼ね備えています。
耐久性も考えぬかれていて、島根の西部に100年以上はそびえ続けるランドマークとなるように設計。その美しさは、島根の美しい自然と協奏するように馴染んでいます。
最良の音響と視覚効果で、より美しく鑑賞! 石見の‟芸術基地”にふさわしい、優れた構造。
こうした優れたランドビューにふさわしく、内部もまた機能的。
美術館はA~Dの4つの展示室、劇場は大・小2つのホールと2つのスタジオから成っていますが、これらが中央の「中庭広場」を囲むように、行き来しやすく配置されています。
さらに多目的ギャラリー・レストラン・ミュージアムショップなどもあり、一日中いても不自由しません。
劇場の核となる「大ホール」は、世界的な指揮者・小澤征爾氏も絶賛した国内屈指の音響と設備!
客席は全1,500席で、オペラ・バレエ・ミュージカル・コンサートなど、多彩な舞台を楽しめます。
この「大ホール」の壁は、三次元的な「コンクリート折版構造」。
これは約1.8秒(500Hz/空席時)の残響を生じさせるため、より深みのある、重厚な音と響きを楽しめます。
さらに美術館のエリアには、大きさや内装が異なる4つの展示室を配置。
それぞれの特徴を活かした個性豊かな展示をしています。
さらに美術館のロビーにある「アートライブラリー」には、美術・音楽・演劇・映画・ファッション・建築などの本を多数取りそろえています。
DVDなどの映像も楽しめ、展示や公演がない時でも、質の高い美術や舞台芸術に触れられます。
ハイレベルかつ地域色豊かな催しは、島根を旅する旅行者にも人気!
こうした質の高い設備を持つ「グラントワ」では、全国レベルの展覧会や、石見の風土を反映させたイベントを行っています。
たとえば美術館では、「森鷗外ゆかりの美術家の作品」「石見の作家」「ファッション」という3つの収集テーマを柱に、“石見の美術館”ならではのコレクションを展示。
さらに日本洋画界の巨匠・黒田清輝や、20世紀を代表するフランス近代絵画家・ラウル・デュフィ、世界に名だたるファッションデザイナー・森英恵らの作品など、美術史やファッション史を語る上で、欠かせない作品をコレクションしています。
これらは国内でも有数のコレクションで、島根西部を訪れる旅行 者にも人気!
津和野や萩との旅行 プランに組み込むのもおすすめです。
さらに美術館エリアでは、年に4回大きな企画展を開催しています。
これも『グラントワ』の学芸員が趣向をこらした『グラントワ』ならではのもの!
“石見”という地にこだわりながら、都市や海外からも旅行 者が訪れるクオリティです。
例えば開館10周年を記念して開かれた企画展「祈りの仏像-石見の地より-」は、中国5県の貴重な仏像を一堂に集めて、島根の内外から好評を博しました。
さらにどの企画展でも多彩な「関連イベント」を開催し、全国各地を巡る企画でも、他の会場とは違った切り口で見せています。
一方 劇場エリアでは、日本が生んだ世界的なバレエ団・「東京バレエ団」が総力を挙げて公演したブルメイステル版『白鳥の湖』や、「NHK交響楽団」のフルオーケストラ、世界最高峰の弦楽器・ストラディバリウスと世界最高峰のオーケストラ・ベルリンフィルハーモニー管弦楽団のトップメンバーたちによる夢の共演「ストラディバリウス・サミット・コンサート」などなど、東京レベルのコンサートや公演を行なっています。
東京や大阪ではチケットがとりにくかったり、落ち着いて楽しみにくい人気の催しも、ここ島根の『グラントワ』ならゆったり鑑賞!
そんなアートや演劇、音楽の通に噂の、穴場の鑑賞&旅行スポットでもあります。
島根と石見の才能を育む、様々な取り組み。
その一方で、「グラントワ」は、親しみやすい「市民ホール」でもあります。
島根西部の人々の芸術活動を支援し、その発表の場にもなっています。
その代表的な取り組みが、「グラントワ・フランチャイズ芸術団体」。
島根邦楽集団(和楽器の合奏団)、グラントワ合唱団、グラントワ弦楽合奏団、グラントワ・ユース・コール(子どもの合唱団)の4つがあり、年に数回、首都圏から一流の講師を呼んで指導や共演を行なっています。
たとえばウィーン少年合唱団と共に歌を披露するなど、都会でもめったにできない体験を実現! 地方でも一流の芸術に触れられる機会をもたらし、島根の人々の芸術活動を応援しています。
「地方の芸術基地」の、さらなる挑戦! 島根の感性を育む。
こうして石見の人々と共に歩んできた「グラントワ」は、2019年5月に、ついに入館者500万人を達成しました。
小澤征爾氏が絶賛した劇場「大ホール」の音響は、開館から15年を経て、より円熟味を増したものに進化。そして内藤廣氏による建物は、多くの人々を今なお惹きつけています。
そして、グラントワは、2020年で開館15周年を迎えました。
これを記念して、美術館では
・生誕150年 大下藤次郎と水絵の系譜
・ファッション インジャパン1945‐2020 流行と社会 (国立新美術館と共同開催)
・北斎―永田コレクション名品展
などの企画展を開催。
そして劇場では、松竹大歌舞伎や、劇団四季ファミリーミュージカル、ポップスコンサートなどの他、島根県内の劇場と連携しての、島根の伝統芸能を全国に発信する「しまね伝統芸能祭」を開催します。
美術館・劇場ともに、多彩なラインナップで記念すべきアニバーサリーを演出。
『グラントワ』はこれからも島根の西部から、一流の芸術と、石見ならではの芸術活動を発信していきます。
- DATA
島根県芸術文化センター 「グラントワ」
HP:http://www.grandtoit.jp/
住所:島根県益田市有明町5-15
電話:
0856-31-1860(代表)
0856-31-1871(総合案内カウンター/チケット対応窓口)
開館時間:8:45~22:00
全館休館日:毎月第2火曜・第4火曜・年末年始
(火曜が祝日の場合は、その翌日以降の最初の休日でない日が休館日)
石見美術館
開館時間:
2020年3月30日まで 10:00~18:30(展示室への入場は18:00まで)
2020年4月1日から 9:30~18:00(展示室への入場は17:30まで)
休館日:毎週火曜・年末年始
いわみ芸術劇場
開館時間:9:00~22:00
休館日:毎月第2火曜・第4火曜・年末年始
(火曜日が祝日の場合は、その翌日以降の最初の休日でない日が休館日)
※グラントワ・石見美術館・いわみ芸術劇場の休館日は催し等にあわせて変更する場合あり
<旅行 情報のお問い合わせ>
益田市観光協会
TEL:0856-22-7120
https://masudashi.com/
取材協力・
写真提供:
島根県芸術文化センター 「グラントワ」/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)