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【どんちっちアジ/浜田市】「アジの大トロ」とも呼ばれる、全国屈指の脂ノリを誇る島根のブランド魚。

2020年4月2日

どんちっちアジ

日本海側で有数の規模を誇る島根県浜田漁港のブランド魚・どんちっちアジ。
「旬の時季の脂ノリはマグロのトロ並」という特別なアジで、それを厳しい基準で選別。4月~9月に水揚げされた平均脂質10%以上、重さ50g以上のマアジだけを出荷している。それ以外の季節でも、干物や缶詰などで味わえる。

『どんちっちアジ』~美味しい大衆魚・アジがグルメ垂涎(すいぜん)のブランドに!

サバやイワシなどと並んで、日本人に広く愛されてきた「アジ」。名前の由来はアジ=味が良いことで、「関あじ」などのブランド魚も人気を博しています。

そんな「ブランドあじ」の中でも、際立った個性で注目されている逸品があります。島根県の西部、石見(いわみ)地方の「浜田漁港」で獲れる『どんちっちアジ』です。

“大トロアジ”とも呼ばれる脂ノリが抜群のアジで、それでいて、サッパリとしたヘルシーな味わいが特徴。旨味がたっぷり詰まった脂を10%以上も含み、中には20%を超えるアジもあります。

販売されているどんちっちアジ 普通のアジの脂分はわずか4.5%程度なので、『どんちっちアジ』はその2倍以上もの“大トロ”! 「島根県水産技術センター」の分析によって美味しさの秘密が明かされ、テレビ朝日の「食彩の王国」や日本テレビの「月曜から夜ふかし」などでも紹介された。

石見神楽 『どんちっちアジ』は島根県浜田市名産のアジですが、「どんちっち」とは島根県西部の伝統芸能「石見神楽(いわみかぐら)」の囃子(はやし)を表した言葉。

ひもの かつては「沼津ひもの」で有名な静岡県沼津市にも出荷されて、「沼津アジ」の干物としても売られていた。そんな不遇の時代を乗り越えて、浜田産のマアジは『どんちっちアジ』として独自のブランド魚として大人気に!

その美味しさに根拠あり!科学的な数値で“特別”をアピール。

『どんちっちアジ』のすごさは、魚の美味しさの基準である「脂ノリ」を、日本で初めて数値化したことです。科学的な調査に基づいて、その“大トロ”ぶりを全国に示しました。

その立役者は、浜田漁港がある島根県浜田市と、港の漁師や仲買人や、加工業者たちでした。彼らの依頼で「島根県水産技術センター」が、3年間にわたって美味しさの秘密を調査。その結果、「浜田漁港のマアジは4月以降から夏にかけて、脂質の含有量が特に上がる」ことを証明したのです。こうして浜田産のマアジ『どんちっちアジ』は、脂ノリが「特別」だと証明されました。

そんな「特別」の理由は、島根県西部沖に生息する「カラヌス」いうプランクトンです。体の半分以上が脂でできていて、これを好んで食べる浜田産のマアジは、「カラヌス」が増える4月~9月頃にかけて脂質含有量が10%以上にもなるのです。(マアジの脂質含有量の全国平均は4.5%/日本食品標準成分表2015版より)

どんちっちアジを使った料理 『どんちっちアジ』は脂ノリだけでなく、甘みと旨味の強さも抜群! 刺身、焼き魚、煮魚など、どんな料理にも合う。

どんちっちアジの刺し身 『どんちっちアジ』の旨味たっぷりのコク深い味わいは、ワサビ・ショウガ・柑橘類など、どんな薬味で食べても負けない個性を持つ。

このように特別な『どんちっちアジ』は、以下の厳しい基準で選別されています。
主に浜田漁港に水揚げされた新鮮なアジを、サイズごとに脂質測定しています。

【どんちっちアジの認定基準】

漁獲海域 : 島根県西部沖(主に浜田港で水揚げ)
漁獲方法 : まき網漁業
サイズ : 50g以上
平均脂質 : 10%以上
漁獲期間 : おおむね4月~9月

脂質含有量の測定の様子 水揚げされた『どんちっちアジ』の脂質含有量の測定の様子。

さらに、そのすごさを保つために以下のような過程で出荷しています。
味にも鮮度にも責任を持って、一流の『どんちっちアジ』だけをお届けしているのです。

【どんちっちアジの出荷までの流れ】

漁場 : 「浜田市水産物ブランド化戦略会議」に加盟した漁船が、島根県の西部沖で「まき網漁業」で漁獲
選別 : 浜田漁港の熟練の「選別人」が、平均脂質10%以上・サイズ50g以上のマアジのみを選別
出荷 : 「ブランド名使用規約」に基づいて、生産者情報を記載したシールを貼って出荷

まき網漁業の様子 まき網漁業の様子。5~6隻の船で船団をつくり、夜、魚が光に集まる習性を利用して魚を集め、その周りを網でかこって魚を獲る漁です。(1船団:網船1隻、灯船3隻、運搬船1または2隻で構成)

『どんちっちアジ』を刺身醤油で食べると、身を浸けた醤油に脂が華やかに浮かぶ。ショウガや柑橘類などの薬味もよく合う。

どんちっちアジの流通ルール 魚の脂はとても酸化しやすいため、『どんちっちアジ』は細心の鮮度管理を行っている。流通ルートをしっかり確認・追跡して、その名と美味しさに責任を持っている。

“アジの大トロ”『どんちっちアジ』は、ここで食べられる、買える!

こうして全国に名を轟かせるようになった『どんちっちアジ』は、鮮魚・干物・缶詰などの様々な商品として売られています。
地元・浜田市をはじめとする各地の料理店で食べられるほか、干物や缶詰などの加工品は、お土産店や通販でも買うことができます。

●どんちっちアジが買えるお店
浜田の水産ブランド“どんちっち”~どんちっち取扱い業者一覧(島根県浜田市ホームページ)

●どんちっちアジが食べられるお店
「どんちっちアジ」が食べられるお店を紹介します(島根県浜田市ホームページ)

出荷されるどんちっちアジ 全国各地の料理店や加工業者にも、仲卸(なかおろし/セリで魚を仕入れてお店に売る業者)から出荷。そのため東京や大阪などでも『どんちっちアジ』を食べられるお店がある。

浜田漁港のまき網漁船 浜田漁港のまき網漁船。熟練の漁師たちが美味しい魚をお届け!

『どんちっち』はマアジだけじゃない!ノドグロ・カレイも島根県浜田市の名産

また、浜田漁港が誇るブランド魚は『どんちっちアジ』だけではありません。ほかにも
・どんちっちカレイ
・どんちっちノドグロ
の2種類の魚が、厳しい基準で選別された上で島根県浜田市の名産としてブランド化されています。

どんちっちノドグロ

このうちノドグロは、西日本を代表する高級魚として知られています。
やはりタップリ乗った脂とコクと旨味たっぷりの味わいが特長で、煮付け・焼き魚・寿司・干物などで愛されています。

どんちっちカレイ

カレイは淡白ながらも上品な味わいで、干物の生産量は日本一!
ミズカレイ(ムシガレイ)・エテカレイ(ソウハチ)・ササカレイ(ヤナギムシカレイ)の3種類があり、特にササカレイは全国的にも希少な高級魚です。

さらに、これらの『どんちっち三魚』の他にも四季折々に獲れる新鮮な魚介類を
浜田港 四季のお魚
として販売。春夏秋冬の珍味をお届けしています。

ウチワエビ 上品な甘みと瑞々しい身質で知られるアマダイ、伊勢海老にも劣らない美味と言われるウチワエビ、フランス料理の高級食材として知られるバトウ(マトウダイ)など、その種類は実に多彩!(写真はウチワエビ)

魚介類 また、和洋中のあらゆる料理に合うスルメイカや、全国的にも大型で脂ノリの良いアナゴ、最高級のダシの元でありながら、お値ごろに味わえるトビウオなど、親しみやすい安価な魚介類も多数。

「浜田漁港」の未来に向けた取り組み

『どんちっち』ブランドをはじめとするこれらの名産品は、平成14(2002)年に立ち上げられた、「浜田市水産物ブランド化戦略会議」を中心とした浜田漁港の漁業関係者の努力の賜物です。

かつての浜田漁港は、最盛期の平成2(1990)年には漁獲量19万8千トン・水揚げ高116億円を誇る日本有数の漁港でした。しかしその後、長引く不況や魚価の低迷によって、漁師の収入減や後継者不足・魚の資源枯渇など、出口の見えない悪循環に陥りました。

ですが、他の漁港が関さば・関あじ・氷見ブリ等に代表される「魚のブランド化」によって、漁業の活性化や魚価の回復を成し遂げたことに着目。そして浜田漁港でも、マアジ・ノドグロ・カレイといった名物の売り出しを目指して、漁業関係者が一致団結して“浜田ブランド”を確立したのです。

こうして全国的に名をはせるようになった『どんちっち三魚』。ただの美味しい名物ではなく、浜田の漁業を未来につなげています。

浜田漁港の風景 島根県西部沖の豊かな漁場が、特別なアジと海産物を育む。(浜田漁港の風景)

親しみやすくもグルメな珍味を、石見を訪れたならぜひ『どんちっちアジ』を食べてみたい。

●どんちっちアジについて

HP:http://www.city.hamada.shimane.jp/www/contents/1001000002251/
電話:0855-25-9520(島根県浜田市・産業経済部・水産振興課)
営業時間:8:30~17:15(お問い合わせ時間)
休日:土・日・祝・年末年始

取材協力・ 写真提供: 浜田市 産業経済部 水産振興課/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら

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