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日本中で大人気! 「大栄西瓜」はなぜ美味しい?
『大栄西瓜』とは、鳥取県の北栄町(旧・大栄町)で栽培されているブランドスイカ。
スイカの名産地として知られる鳥取県ですが、中でも最初にスイカ栽培が始まった町で、全国的にその名をとどろかせています。
その特長はとっても大玉で甘いこと!
なんと平均3Lサイズという大きさで、重さは8kg~9.5kgもあります。
(規格は鳥取県のもの)
糖度の基準は11度とやや控えめに思えますが、『大栄西瓜』の真価は「皮の近くまで糖度が落ちない」こと。
中心部だけでなく、皮ぎわまで美味しく食べられます。
スーパーでは「糖度12度」や「13度」のスイカをよく見かけますが、これは中心付近を測っていることが多いそう。
『大栄西瓜』は最後まで美味しく食べられるように、皮ぎわまで糖度がのるように育てています。
さらに清涼感いっぱいのシャリシャリした食感で、歯ざわりと食味が良いのも魅力!
これらの美味しさの秘密は、交配後50日以上育ててから収穫しているためだそうです。
※スイカの交配とは:花のめしべにおしべの花粉を手作業またはミツバチを利用して付けて、受粉させること(実がなるために不可欠!)
さらにサンプルの実を切って中身と育ち方を見て、完熟度によっては+1日~2日ほど出荷を延ばすなど、大きくて甘いスイカになるように気を配っています。
『大栄西瓜』はどれを買ってもハズレなし!
普通のスイカは中心が甘くても皮に近づくほど糖度が落ちるけど、『大栄西瓜』は皮ぎわまで甘くてどこを食べても美味しい。
厳しい基準で選びぬかれた、安定した品質のブランドスイカ。
実は栄養豊富なスイカ。なんとスポーツドリンク以上の栄養素が!
スイカはみずみずしさと水分の多さから、「あまり栄養がない」と思われがちです。
ですが実はカリウムやビタミンC・A・B群などの栄養素が豊富で、マグネシウムなどのミネラルも含まれているので、夏のおやつにピッタリです。
たとえばカリウムの量は一般的なスポーツ飲料に比べて約4.5倍。さらにマグネシウムは約3.6倍など、水分だけでなくさまざまな栄養素を含んでいます。
いわば「食べるスポーツドリンク」で、利尿作用もあるのでむくみの改善なども期待できます。
(文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)
美味しい「大栄西瓜」の見分け方
美味しい『大栄西瓜』の見分け方は、軸のまわりが少し凹んでいるもの。
これがよく熟しているサインだそうです。
さらに手の平で軽くたたいてみて、その音が少し低いものがおすすめ。
高い音がするスイカはやや未熟で、甲高い音よりも低めの音がよく響くスイカが美味しいそうです。
また、メロンのように収穫した後に追熟しないので、お店で買った直後が食べごろ!
直射日光の当たらない、室温よりも涼しい場所で保管して、早めに食べきりましょう。
ですが冷やし過ぎると甘さを感じにくくなるので、食べる直前に冷蔵庫で冷やすのがおすすめです。
※カットしたスイカは傷みやすいため、切り口をラップなどで覆って冷蔵庫で保存しましょう
たゆまぬ努力でブランド化。100年を超える『大栄西瓜』の歴史。
『大栄西瓜』のふるさとの鳥取県北栄町(旧・大栄町)は、もともとスイカ栽培に向いた土地ではありませんでした。
中国地方の最高峰・大山(だいせん)の噴火によって積もった「黒ボク土」に恵まれていたものの、日本では「肥沃な土」の代名詞のように言われるそれは、世界の穀倉地帯として知られるウクライナなどの「黒い土」ほどの栄養はなかったのです。
※ウクライナ周辺の「黒い土(チェルノーゼム)」は、牧草などの腐植物が積み重なったもの。対して日本の「黒ボク土」は火山灰+ススキの腐植物のため、含まれる栄養素の質や量が異なる(腐植物とは:動植物が微生物に分解されたもの)
そこで美味しいスイカが育つようにたい肥を入れ続けたり、山にダムを造って農業用水を安定的に供給できるようにしたり、スイカを適切に管理できるようにハウス栽培を推進したり、そのすみずみまで水が行き渡るように水道を整備したり、土地の改良・整備・栽培技術の向上などに努めてきました。
そんな先人たちの努力が実り、北栄町は日本でも有数のスイカ産地になったのです。
そして『大栄西瓜』は今や日本屈指のブランドスイカとして、全国に出荷されています。
厳しい品質チェックをパスした『大栄西瓜』は、大きさ・甘さともに十分でとってもジューシー!
これは栽培のときに「ツル引き」と呼ばれる手間のかかる作業を何度も繰り返しているから。
※つる引きとは:伸びたツルを同じ方向にそろえて花芽や脇芽を剪定すること
こうすることでスイカが大きく育つスペースが確保できて、実に栄養が行き届いて甘く大きくなります。
また、たくさんのツルが同じ方向に同じ長さで伸びるので、実の成るタイミングがそろって交配がスムーズにできます。
スイカは夏の風物詩! 七夕や海水浴で食べて夏を感じよう。
「『大栄西瓜』には116年という長く積み上げてきた歴史があります。ただ美味しいスイカというだけでなく、日本の歴史の中で風物詩として愛されてきた存在ですので、ぜひ夏を感じる食べ方をしてみてください」
と、JA鳥取中央「北栄営農センター」の園芸課課長・廣谷(ひろたに)さん。
「たとえば七夕や海の日に食べたり、海水浴に持って行ってスイカ割りを楽しんでいただければ、夏の良い想い出になると思います。夏バテ対策などで日常的に召し上がってくださる方々も増えていますが、ぜひ昔ながらの季節と文化を感じる食べ方もお試しください」
古くから浮世絵に描かれたり、俳句に詠まれたりして、日本の夏の風物詩だったスイカ。
俳句ではまさに夏の季語になっていて、ノスタルジックな夏の行事や遊びによく似合います。
美味しい『大栄西瓜』を夏の行事のお供にして、日本ならではの夏の想い出を作ってみませんか?
- DATA
大栄西瓜
HP:https://www.jan-agri.com/product/summer/daiei-suika/
オンラインショップ:https://www.jan-agri.com/ (JA 全農とっとり)
取材協力・
写真提供:
JA鳥取中央北栄営農センター,鳥取県/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)