鳥取県の伝統工芸・「因州(いんしゅう)和紙」を受け継ぐ創業90年超の老舗。和紙を3次元に漉きあげる革新的な技術を生み出し、独自の「立体漉き和紙」としてブランド化。ランプシェード・壁紙・ステーショナリーなど、多彩な製品で現代の暮らしを彩っている。
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「現代に活きる和紙」をテーマに、モダンでクリエイティブな和紙製品をお届け。
楮(こうぞ)などの植物を原料に、丁寧に漉きあげる和紙。強く、美しく、しなやかな性質を持ち、光を柔らかく透かす趣(おもむき)深さもあって、風情豊かな日本の暮らしの中で永らく愛されてきました。
そんな和紙を、モダンかつハイテクにリニューアルしたのが『谷口・青谷和紙』。
1枚の平面ではなく、立体的な3次元に漉きあげる革新的な技術で、紙業界を超えてインテリア界・デザイン界にも新風を巻き起こしています。
和紙そのものを3次元に漉き上げる、革新的な技術!
この『立体漉き和紙』を開発したのは、“和紙プロデューサー”として名をはせている代表取締役の谷口博文氏でした。貴重な伝統工芸でありながら、時代の流れに埋もれつつあった「因州和紙」を現代化を図りながらリファイン(洗練)。ランプシェード・ステーショナリー・ラッピング・壁紙など、今の暮らしに馴染むアイテムを生み出しています。
「その延長上に『立体漉き和紙』はあります。開発のきっかけは、照明に携わる方との出会いでした」と谷口氏は振り返ります。
「まずは『和紙を半球形に漉けないだろうか?』とのご提案を頂いて、鳥取県工業試験場の全面的な助力を得て、2年かけて技術開発と量産化にこぎつけました。その後に、今度は極めて困難な『球形和紙』の開発への想いが強くなりました。そこで引き続き鳥取県工業試験場の助力を得て、1996年に世界初の『立体漉き和紙』の開発に成功しました。いずれも試行錯誤の連続で、粘り強さが必要でしたが、お蔭様で今は多くの企業やアーティストとコラボレーションするに至っています。」
こうして日本唯一の『立体漉き和紙』が誕生!
和紙の未来を切り拓き、紙の可能性をも広げています。
「ひょっとして和紙!?」 驚きと感動をもたらす独特の質感。
「『なんだか見ていてくつろぐなぁ。触ってみると……ひょっとして和紙!?』というのが弊社の理想です」と谷口氏は語ります。
「今は和室がある住宅が減っており、そんな住宅事情に合わせて洋室にもマッチする和紙製品を作っています。特に弊社の代表的な製品かつ多くのアーティストや企業とコラボしている『和紙ランプ』は、和紙の伝統を伝えるとともに、寛ぎや落ち着きを感じていただけるアイテムとなっています」
和紙=和室という思いこみをくつがえす「こなれ感」。洋室にもしっくり馴染む万能のインテリアです。
インテリアの可能性と独創性を広げる、充実のラインナップ。
こうしたそうそうたる製品の中でも特におすすめなのが、自社でデザインを起こした「Naturalシリーズ」だそう。さらに「Mokumokuシリーズ」という雲をイメージした一群は、角度ごとに見え方が異なるアシンメトリーなラインが好評です。
いずれもぼんやり眺めているだけで、豊かな気持ちになれる逸品。日々目にするインテリアを、癒しの装置に高めてくれます。
『立体漉き和紙』は海外へ、そして宇宙へ!
和紙業界だけでなく、紙業界全体にも革新をもたらしている『谷口・青谷和紙』。海外にもその名は広まっていて、フランスの「メゾン・エ・オブジェ」やイタリアの「ミラノサローネ」など、世界の一流の家具見本市でも注目されています。
そんな『谷口・青谷和紙』が、さらに宇宙にまで旅立つかも!? という画期的なニュースがあります。
「ある時、東海大学の角田教授から『宇宙探査車両のホイールとして使えないだろうか?』というご連絡を頂きました。折り畳みできて、積みこむ時にかさばらず、質量が少なくて繊維が長くて破れにくい――そんな多くの利点を持つ『谷口・青谷和紙』が、いつの日かタイヤとなって月面を走る日が来るかもしれません。とても夢があり、和紙の未来も広がるお話だと思います」
日本の伝統の和紙が、海外へ、そして宇宙へ。
伝統を受け継いで未来を見据える『谷口・青谷和紙』の挑戦は、まだまだ続きます。
- DATA
谷口・青谷和紙株式会社
HP:https://www.aoyawashi.co.jp/
住所:鳥取県鳥取市青谷町河原358-1
電話:0857-86-0116
営業時間:8:00~17:00
休日:土・日・祝日
取材協力・
写真提供:
谷口・青谷和紙株式会社/無断転載禁止
ライター:風間梢(プロフィールはこちら)