「毎日トリートメントをしているのに、なぜか髪がゴワつく」と感じている方は、良かれと思って続けている毎日のヘアケアが、かえって髪の負担になっている「サイン」かもしれません。
その正体は、シャンプーやトリートメントの成分が髪に蓄積してしまう「ビルドアップ(被膜毛)」という現象です。
以下では、あなたの髪がビルドアップしているかどうかの簡単なセルフチェック法から、蓄積してしまったビルドアップを自宅で解消する正しいリセットケア、そしてもう繰り返さないための効果的な予防習慣まで、網羅的に解説します。
もう髪のゴワつきやベタつきで悩まないために、まずはその本当の原因から見直してみてください。
髪の「ビルドアップ」について詳しく解説
毎日トリートメントをしているのに、なぜか髪がゴワつくと髪の不調を感じているなら、その原因は良かれと思って行っているヘアケアによる「ビルドアップ」の可能性があります。
以下では、まずビルドアップとは一体何なのか、なぜ起こってしまうのか、そして髪にどのようなサインが現れるのかといった、基本的な知識を詳しくまとめました。
髪のビルドアップ(被膜毛)とは?
髪のビルドアップとは、シャンプーやトリートメント、スタイリング剤に含まれるシリコンや油分といったコーティング成分が、髪の表面に過剰に蓄積してしまった状態を指します。
別名では、「被膜毛(ひまくもう)」とも呼ばれており、これは髪に膜が張られたように見えるからです。
本来、これらのコーティング成分は、髪の指通りを良くしたり、外部の刺激から守ったりする良い役割を持っています。
しかし、毎日のシャンプーで落としきれずに、少しずつ蓄積していった場合は注意しましょう。
この状態が続くとかえって髪を重くし、ゴワつきやベタつきといった不調を招く原因になってしまうからです。
良かれと思って行っているヘアケアが、使い方によっては髪の負担となる可能性もあります。
なぜ起こる?ビルドアップの主な4つの原因
髪のビルドアップは、何か特別なことが原因で起こるわけではありません。
その多くは、普段の何気ないヘアケア習慣の中に潜んでいます。主な原因として、以下の4つの点が考えられます。
- ビルドアップの原因
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- 製品の成分:シリコンや油分が多く配合されたアイテムを毎日使い続けると、髪にコーティング成分が蓄積しやすくなる。
- 洗浄力の不足:マイルドに仕上がる洗浄力が弱めのシャンプーは、コーティング成分を完全に落としきれないリスクがある。
- すすぎ残し:シャンプーやトリートメントを十分にすすいでいないと、その成分が髪に残留する。
- スタイリング剤の過剰使用:ヘアオイルやワックスなどを毎日たっぷりと使用すると、シャンプーで落としきれずにビルドアップが進みやすくなる。
このように、日々のヘアケアの積み重ねが、気づかないうちに髪の負担となっている可能性があります。
あなたの髪がビルドアップしているかどうか自分でチェックするための方法
トリートメントをしても髪のゴワつきが改善しない、スタイリングが決まらないといった不調は、もしかするとビルドアップが原因である可能性があります。
「私の髪もビルドアップかも?」と感じたら、まずはご自身の髪の状態を客観的に見つめ直してみましょう。
以下では、ご自宅で簡単にできるセルフチェックの方法をご紹介します。
【見た目と手触り編】普段の髪に現れる5つのサイン
まずは、特別なことをしなくても普段の乾いた髪で感じられる、最も分かりやすいサインから確認します。
- 見た目や手触りでビルドアップを確認する方法
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- ツヤがない:光をきれいに反射できなくなり、髪本来のツヤが失われて全体的にくすんで見えるようになる。
- 手触りが悪い:指を通した時に、表面が滑らかではなく、ゴワゴワするだけでなく、中にはザラザラした手触りになる。
- 髪が重い:特に根元がベタつき、髪全体がぺたっとして重く感じるようになる。ふんわり感がなく、ボリュームが出しにくいのも特徴のひとつ。
- 乾きにくい:髪の表面がコーティングされているため、ドライヤーで乾かしても水分が飛びにくく、以前よりも乾かすのに時間がかかってしまう。
- まとまらない:髪がゴワつきも含めてヘアセットがしにくくなる。ヘアアイロンなどでセットしても、すぐに崩れてしまうケースも増える。
これらの見た目や手触りの変化は、ビルドアップが始まっている初期段階で感じやすいサインです。
補足:「悪いゴワつき」と「良いハリ・コシ」の違い
髪の「ゴワつき」と聞くと、一般的にダメージのサインと捉えられがちですが、じつは2つの異なる種類があります。
- ゴワつきの違い
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- ビルドアップによる「悪いゴワつき」:髪の表面に余分なコーティング剤が蓄積し、指通りが悪く、ベタつきを伴うのが大きな特徴。髪が重く、しなやかさが少ない。
- 補修成分による「良いハリ・コシ(しっかり感)」:ヘマチンやケラチンのような髪の補修成分が内部に浸透し、髪の密度が高まった場合は「ハリ・コシ」が生まれる。これを一時的に「ゴワつき」と感じる方もいるが、これは髪が健康な状態に近づいているサインであると認識する。
少なくとも、ベタつきはなく、髪に芯ができたような弾力が感じられるのなら、髪の補修成分が浸透している良い状態だと思っておきましょう。
ご自身の髪の質感がどちらに近いかを見極めてください。
【シャンプー&頭皮編】洗う時にわかる3つのサイン
普段の見た目や手触りだけでなく、毎日のお風呂の時間でもビルドアップのサインは確認できます。
シャンプーをする際に、以下の内容に心当たりがないかチェックしてみましょう。
- お風呂に入った時に確認してほしい内容
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- 泡立ちが悪い:蓄積した油分やコーティング成分は、シャンプーの泡立ちを妨げるため、いつもと同じ量のシャンプーを使った場合でも泡立ちが悪くなる。
- 濡れた髪の指通りが悪い:髪が濡れている時に指を通すと、髪がキシキシする。場合によっては、毛先が絡まってしまう。
- 頭皮のベタつき:シャンプーでしっかり洗ったはずなのに、頭皮がスッキリせず、どこか油っぽさが残っている感じがする場合も注意する。
これらのシャンプー時のサインは、普段使っているヘアケア製品が髪や頭皮に残りやすくなっている証拠です。
もし当てはまる項目があれば、ビルドアップが進んでいる可能性が高いと言えます。
【スペシャルチェック編】髪の体力やカラーでわかるサイン
最後に、見た目や手触りだけでなく、髪の健康状態や美容室での施術中に判断するためのチェック方法をご紹介します。
- 美容室の施術
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- 髪の弾力テスト:抜け落ちた髪の毛を1本、指でつまんでやさしく引っ張った場合、髪がほとんど伸びずに「プチッ」と簡単に切れてしまう場合は要注意。
- ヘアカラーの染まり具合:美容室でヘアカラーをする際に、「カラー剤が染み込みにくい」と美容師に言われた場合も要注意。
これまでに紹介したセルフチェック項目に、もし複数当てはまるようであれば、あなたの髪はビルドアップを起こしていると思っておきましょう。
しかし、心配はいりません。この状態は、適切なケアができればリセットできます。
髪のビルドアップをリセットするためのセルフケア方法
上記のセルフチェックで、ご自身の髪がビルドアップしている可能性に気づいた方もいると思います。
しかし、心配はいりません。
この状態は、美容室での特別な施術に頼らなくても、まずはご自宅でできるセルフケアを試してみましょう。
以下では、週に一度のスペシャルケアから、毎日の習慣の見直し、そしてネットで噂されているケアの注意点まで、髪を健やかな状態にリセットするための具体的な方法をご紹介します。
週1回のクレンジングと炭酸シャンプーでリセットする
普段のシャンプーでは落としきれない蓄積したコーティング成分を、しっかりと取り除く以下のような「スペシャルケア」を取り入れてみてください。
そのために有効なアイテムが、「クレンジミングシャンプー」や「炭酸シャンプー」です。
- ビルドアップをリセットしやすいアイテムの一例
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- クレンジングシャンプー:通常のシャンプーよりも洗浄力が高く、髪に付着したシリコンや油分を落としやすいアイテム。
- 炭酸シャンプー:炭酸のきめ細かい泡が、髪や頭皮にこびりついた汚れを浮かせてやさしく取り除けるアイテム。
- クレイシャンプー:クレイ(泥)が持つ吸着力を利用して、汚れや余分な皮脂を吸着して洗い流しやすくできるアイテム。
これらのスペシャルケアは、髪だけでなく「頭皮クレンジング」にもつながります。
頭皮クレンジングの効果や正しいやり方について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
※参考:頭皮クレンジングは意味ない?それはやり方がダメ!リラックスしたい人におすすめ
これらのシャンプーは洗浄力が高いため、毎日使うと髪や頭皮に必要な潤いまで奪ってしまう可能性があります。
普段お使いのシャンプーとは別に、「週に1〜2回」の定期的なケアとして取り入れてみましょう。
スペシャルケアで髪をリセットした後は、トリートメントでいつも以上にしっかりと保湿を行い、髪に潤いを補給するのも忘れないようにしてください。
普段のケアでは、毎日の「洗う」「つける」習慣を見直す
週に一度のスペシャルケアと並行して、ビルドアップを再び繰り返さないためにも、毎日の基本的なヘアケア習慣を見直しましょう。
- ビルドアップを繰り返さないための方法
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- すすぎを徹底する:シャンプーやトリートメントの「すすぎ残し」を防ぐために、ぬめり感がなくなるまでしっかりすすぐこと。
- トリートメントは毛先中心につける:トリートメントは、髪のダメージが気になる毛先を中心に、中間までなじませること。
- 製品選びと使用量を見直す:普段使う製品の見直しも必須。どんな製品でも記載されている使用量を守るのも大事。
これらの基本的な習慣を少し意識するだけで、髪に余分な成分が蓄積しにくくなり、きれいな状態をキープしやすくなるはずです。
大切なのは「リセットケア」の習慣化
髪のビルドアップケアは、一度リセットしたらそれで終わり、というわけではありません。
日々の生活の中で、コーティング成分はまた少しずつ蓄積していく可能性があるからです。
きれいな髪をキープするためにも、適切なケアを日々の習慣に組み込みましょう。
例えば、「毎週日曜日はクレンジングシャンプーで髪をリセットする日」と決めて、定期的に髪を素の状態に戻してあげてください。
もし、ご紹介したセルフケアを続けてもなかなか状態が改善しない場合は、自己判断でより強いケアを試すのではなく、一度信頼できる美容師に相談するのもおすすめです。
あなたの髪に合った最適な解決策を提案してくれます。
ネットでも噂されている除去方法と注意点
ビルドアップの解消法をインターネットで検索すると、「重曹」や「食器用洗剤」で落とせる、といった情報を見かけます。
しかし、手軽に試せるからといって、安易に信じるのはやめましょう。
以下では、ネットで噂される方法の注意点を解説します。
- 【非推奨】重曹・食器用洗剤・ボディーソープなどを使った方法
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- 理由:これらは髪専用ではないため、洗浄力が強すぎて、髪や頭皮のpHバランスを崩す可能性がある。
- リスク:深刻な乾燥やキューティクルの損傷、頭皮のトラブルの原因にもなり得る。ビルドアップを除去する以上に髪を傷める可能性が高いので要注意。
- 洗浄力の高いシャンプー、炭酸シャンプーは使い方に注意する
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- 効果: ビルドアップ除去に効果的。
- 正しい使い方: 毎日使うと乾燥を招くため、「週に1〜2回のケア」として、普段のシャンプーと使い分けるのがおすすめ。
安全にビルドアップを解消するためには、安易な噂に頼るのではなく、「髪のために作られた専用のクレンジング製品を、適切な頻度で正しく使うこと」が大切です。
髪と頭皮の健康を第一に考えたケアを心がけましょう。
髪のビルドアップを防ぐための正しいヘアケア習慣
一度髪をリセットできたら、その良い状態をできるだけ長くキープしたいと感じる方も少なくないのではないでしょうか?
ビルドアップは、日々の何気ないヘアケア習慣の積み重ねによって再び起こる可能性があります。
そこで以下では、ビルドアップを未然に防ぎ、軽やかな「素髪」の状態を保つための正しい習慣について解説します。
基本は「シャンプー選び」と「すすぎ」にあり
ビルドアップ予防のための基本的な方法は、毎日の洗髪にあります。
特に「シャンプー選び」と「すすぎ」の2点を見直すだけでも、髪に余分なものが蓄積しにくくなるので、普段のケアに取り入れてみましょう。
- ビルドアップを予防するための基本のケア
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- シャンプーは目的別に「使い分ける」:毎日使うシャンプーは、髪や頭皮への負担が少ないアミノ酸系や、コーティング成分の蓄積が少ないノンシリコンタイプなどを中心に選ぶ。クレンジングシャンプーは週に1〜2回の髪をリセットする日を設けて使う。
- 「すすぎ」はぬめりがなくなるまで徹底する:髪に残ったトリートメント成分は、ビルドアップの原因になるため、ぬめり感が完全になくなるまで丁寧にすすぎ切る。
このように、毎日行う「洗う」という行為の中でのシャンプーの選び方と、最後のすすぎを少し意識するだけで、ビルドアップのリスクは大きく減らせます。
「つけすぎ」を防ぐためのトリートメントとスタイリング剤の使い方
髪をきれいに見せるためのトリートメントやスタイリング剤は、髪に付ける量が多すぎた場合や、髪質に合わないものを使った場合であっても、ビルドアップの原因になってしまいます。
そこで、髪の毛に「つける」ケアの正しい習慣を身につけましょう。
- つけすぎを防ぐ使い方
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- 製品に記載された「適量」を守る:シリコンや油分が多く配合されたアウトバストリートメントやスタイリング剤は、製品に記載されている使用量を必ず守る。
- 髪質に合った「重すぎない」製品を選ぶ:ご自身の髪質に対して、コーティング力が強すぎて仕上がりが重い感じる製品を使わない。
- 定期的に使用製品を見直す:ヘアケアの効果を感じにくくなったら、一度クレンジングシャンプーで髪をリセットすること。
このように、製品の量や種類を正しく見極めることが、トリートメントやスタイリング剤の効果を最大限に引き出しながら、ビルドアップを防ぐための鍵となります。
週に一度の「リセットデー」を習慣にする
これまでに解説した日々のケアに加えて、ビルドアップを防ぐための総仕上げとして、ぜひ「定期的なリセット」を習慣にしてみてください。
どんなに気をつけていても、毎日のヘアケアでコーティング成分が少しずつ蓄積してしまう可能性はあります。
スタイリング剤の性質や、それをしっかり落とすためのシャンプーの知識について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
※参考:スタイリング剤の性質を知らない?特徴に合わせたシャンプーの使い方を伝授
例えば「毎週日曜日はクレンジングシャンプーで髪をリセットする日」といったように、髪についた成分をリセットするスペシャルケアの日をスケジュールに組み込んでしまいましょう。
定期的に髪をリセットできれば、知らず知らずのうちに蓄積した不要な成分をきれいに取り除けます。
定期的にビルドアップしないためのヘアケアできれいな髪をキープしよう
今回は、髪のゴワつきやベタつきの原因となる「ビルドアップ」について、その正体からご自宅でできるリセット方法、そして再発させないための予防習慣まで詳しく解説しました。
ビルドアップは、特別なことではなく、日々のヘアケアの積み重ねの中で誰にでも起こりうる現象です。
髪に良い成分を与えるケアだけでなく、時には余分なものを取り除く「リセットケア」を意識しましょう。
そして普段から「つけすぎない」「しっかりすすぐ」といった基本を守ってください。
もし髪の不調を感じたら、難しく考えすぎずに、まずは「週に一度、クレンジングシャンプーで髪をリセットする日」を設けることから試してみてはいかがでしょうか?
今回紹介した内容が、あなたの髪の悩みを解消し、ご自身の髪と上手に付き合っていくための一助となれば幸いです。
正しい知識とケアで、軽やかで美しい髪をキープしていきましょう。
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