『田舎暮らし』によってもたらされたことに、年齢を重ねたことも加わった根本からの変化も感じるという、財前さんのインタビュー記事後編。前編をお見逃しの方は下のリンクから。
田舎暮らしから見えた、財前直見さんの『過去・今・未来』 #01
田舎暮らしがくれたもの
⚪︎自然と向き合う健やかさ
畑に仕事に大忙しの日々。土を耕し、手入れをし、収穫、採れたてをすぐ下処理、調理と、自然のペースに追われています。「でもアキレス腱が伸びる感覚が気持ちよく、心身共に健康に!」
⚪︎作ることのクリエイティビティ
自然と遊ぶように農作業するじいじと、収穫物を「どうおいしくしようか」と腕まくりして料理するばあばのように、財前さんも「うまくやるより楽しむ」を大切に向き合っているそう。
⚪︎余すことなくいただく幸せ
最盛期は、その日食べるだけでは持て余してしまうほど採れる野菜や果物は、保存食やシロップに。「漬物、干ししいたけ、果実酒、砂糖漬けなどにして、長く愛おしくいただきます。」
手作りがマインドフルネスに
「手作りが好きなのは、丁寧な暮らしというより、愛おしい食材たちを生かしたい、もったいない精神からです。新鮮さを味わう料理に、時間がおいしくしてくれる保存食にと、夢中になりますね。」財前さんは、ばあばがコレクションして今は着ていない着物も、カーテンやスカートにリメイクして、今の暮らしで活躍させています。
財前さん:料理も裁縫も黙々と手を動かして、ときにはひたすら千切りにしたり、ミシンをかけたりの単純作業を繰り返して仕上げますが、この集中する時間が好きです。今、目の前のことだけに集中すると、無心になれて思考がクリアになる、マインドフルネスのような作用が。もやもやすることを抱えていても、俯瞰して見られる心の余裕が生まれます。
愛着に加え、手を動かして作る行動そのものの心のセルフケア効果も手作りの良さということです。
財前さん:ばあばから教えてもらったレシピを書き出して、感じたこと書き添えてまとめていますが、書くこともセルフケアに有効。今思うことをノートに書き出すだけでも、心の整理になるのでおすすめです。脳トレとして、利き手ではない左手で文字を書いて、右脳を鍛える、なんてこともしていますよ。
50代からの力を分けたい気持ち
現在57歳の財前さんは、人生100年時代なら中間地点の50歳の時に「社会貢献や誰かの役に立てることができないかな」と、自分が持っているものを分けたい気持ちが芽生えたそう。年齢を重ねていく中で、誰かの困りごとを解決する力をつけようと、メンタル心理カウンセラー、行動心理士、終活ライフケアプランナーなどの資格を取得しました。
財前さん:人が幸せになるには物々交換より能力交換による、血の通ったコミュニケーションが大切だと思っていて…。資格の勉強をし、親世代のことを考える中で、先の人生を考える私オリジナルの『ありがとうファイル』に行きつきました。これは、終活やエンディングノートのような『閉じる』とは違う、これからの人生を充実させるための、『夢のある楽しい』ツール。好きなことや大切にしていることを書き出し、お気に入りの写真やレシピをファイリングしていくと、これからやりたいことが見えてきて、楽しい想像がどんどん湧いてきます。50代は人生の棚卸しタイミングであり、自分軸で生きやすくなる世代かなと思っています。自分で自分を褒めながら、明るい未来を思い描いていけたらいいですよね。
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財前直見 Naomi Zaizen
1966年生まれ。1985年俳優デビュー。シリアスからコメディ作品まで、数々の映画・ドラマに出演。2007年より東京から地元大分へ移住し、父、母、息子と暮らす。畑仕事をする姿を投稿したインスタグラムや収穫野菜のレシピが話題を呼び「財前直見の暮らし彩彩』(NHK)などに出演。