「全体」「つながり」を意味するホリスティック。心身ともにバランスの取れた健康美を育む、その秘訣とは?ファッションからライフスタイルまで、幅広い年代の女性たちに提案を届けるスタイリングディレクター・大草直子さんのセルフケアから紐解きます。いつも元気に見える大草さんの、自分を慈しみ、認めるという、ケアや考え方を聞きました。前編・後編に分けてお届けします。
選んだお茶で自分の心や体の状態をチェック
大草さんがセルフケアに目覚めたのは、40代に入ってから。仕事に子育てにと目まぐるしく動いていた時間が一段落してからだったといいます。
「子どもが小さかった頃は、とりあえず自分よりも家族が優先。お風呂に一緒に入っても、子どもは潤って自分は乾いていくばかり……という毎日でしたが、肌も髪もまだ若かったですからね。40代半ば近くなって、ようやく自分に手をかけられるようになりました。」
そうして実践するようになった習慣の数々は、ごくごくシンプルだけれど、心地よさのポイントを押さえたもの。まず朝は、一杯の常温の水を摂り、体を健やかに目覚めさせることから始めます。
「寝ている間に飛んだ水分を補給することで、『朝だよ』と体にサインを送る効果になりますね。お茶が好きなので、日中飲むのは紅茶だったりハーブティーだったり、日本茶だったり。気分や体調で選べるように、いつも7種類ほどの茶葉をストックしています。選んだお茶で、その日の自分の状態に気づくこともできるので。」
空間にバイブスを与える花のある暮らし
滑り出した1日に弾みをつけるのが、軽い運動と身近に置く花。自分の気分に合った花を暮らしの中に取り入れることも、ルーティーンのひとつになりました。
「セルフで手に取れる花屋さんが近所にできてから、季節の花をというよりも、お茶と同じくそのときの気分や感覚で選んでいます。花を選ぶのも洋服と同じで、結局はコーディネートなんですよね。高いお花を何本も取り揃えなくても、3日に1回くらい花器を変えてみたり、その向きを変えたり、あるいは置く場所を変えてみたり……それだけで印象も気分も変わります。生き物である花は、そこにあるだけで空間にバイブスを与えているというエビデンスがあるそうですが、それはこういうことなんだなぁと感じますね。」
花もお茶も、その日の気分で手に取ったもので、自分の心や体の状態を確認するという大草さん。ちょっとユニークなセルフチェック法ですが、楽しみながらできそうなところが、大草さんらしいポイントです。後編も引き続き、いつも元気に見える大草さんのセルフケアを伺います。
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大草直子さん
1972年東京都生まれ。編集者を経てスタイリストに。雑誌、広告等でのスタイリングからファッションブランドのディレクション、ウェブマガジンやオウンドメディア「AMARC」の編集、執筆など精力的に活動中。近刊に『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社)がある。